明 細 書
水素発生装置
技術分野
本発明は、 水素発生装置に関する。
背景技術
この種の従来技術としては、 水蒸気改質法及び部分酸化改質法 を用いた装置が知られている。
前者の水蒸気改質法は、 反応管内にメタノ ールと水を混入して. 反応管に熱を加えることによって両者を下式の如く反応させ、 水 素を得るものである。
C H 3 0 H 十 H 2 0 → C 0 2 + 3 H 2
上記水蒸気改質法の長所としては、 得られる改質ガス中の水素 濃度が高いことが挙げられるが、 短所として①水の貯蔵手段及び 加熱手段が必要であるため構造が複雑であり小型化が困難である こと、 ②吸熱反応であるために加熱が必要であるこ と、 が挙げら れる。 このため、 装置の搭載性 (装置が大型化する) 、 始動性
(始動開始から十分な水素が得られるまでに時間が掛かる) 、 応 答性 (発生される水素量を一時的に増大させたい場合に必要量か 発生されるまでに時間が掛かる) が悪いという問題点があつた。
このような問題点から後者の部分酸化改質法が提案されている この方法を用いた装置としては、 特開昭 6 3— 1 4 7 8 0 2号公 報に開示されるような装置が知られている。 これは、 メ タ ノ ール と酸素 (空気) の混合物を触媒が収納されたハウジング内に流入 させるこ とによって、 両者を下式の如く反応させ、 水素を得るも のである。
C H 3 0 H + 1 /20 2 → C 0 2 + 2 H 2
上記部分酸化改質法の長所としては、 ①構造がシンプルである
ために装置を小型化できること、 ②発熱反応であるために反応を 起こさせるための熱源が不要であるこ と、 が挙げられる。 このた め、 装置の搭載性 (即ち、 小型化) 、 始動性、 応答性を良好なも のとすることができる。
上記した特開昭 6 3 — 1 4 7 8 0 2号公報に開示されるような 部分酸化改質法を利用した水素発生装置では、 始動してから水素 が発生するまでの時間を水蒸気改質法を利用した装置に比べて短 くすることができるが、 始動直後の常温状態では触媒の活性が低 いためにメタノールと酸素との反応が十分に成されず十分な水素 発生量を得るこ とができない。 そして、 十分な水素発生量を得る ためには、 触媒が通常作動温度 ( 3 0 0て〜 4 0 0て) にまで達 している必要がある。
発明の開示
本発明は、 装置を始動させてから十分な水素発生量を得るこ と ができるまでの時間を低減することができる水素発生装置の提供 を技術的課題とする。
上記した技術的課題を解決するために請求項 1 の発明において 講じた技術的手段は、 内部空間内に触媒が充満されているハウジ ングと、 内部空間内に開口 した供給管と、 内部空間内で反応して 発生される改質ガスが内部空間から出るための吹き出し管と、 供 給管に接続されたメタノール供給手段と、 供給管に接続された酸 素供給手段とを備えた水素発生装置において、 供給管の開口部近 傍に配設された加熱手段を備えたこ とである。
請求項 2の発明において講じた技術的手段は、 内部空間内に触 媒が充満されているハウジングと、 内部空間内に開口 した供給管 と、 内部空間内で反応して発生される改質ガスが内部空間から出 るための吹き出し管と、 供給管に接梡されたメタノール供給手段
と、 供給管に接続された酸素供給手段とを備えた水素発生装置に おいて、 供給管と吹き出し管とを連通する連通管上に設けられ改 質ガスを貯蔵する改質ガス貯蔵手段と、 改質ガス貯蔵手段の供給 管側及び吹き出し管側の連通管上に配設され、 連通管の遮断及び
5 連通を切り換える切り換え手段とを備えたことである。
供給管の開口部近傍において改質ガス中の水素と、 酸素とを効 果的に燃焼させるため、 請求項 3の発明において講じた技術的手 段は、 供給管の開口部近傍に位置する触媒に、 燃焼触媒を混入さ せるこ とである。
, ο 請求項 4の発明において講じた技術的手段は、 内部空間内に触 媒が充満されているハウジングと、 内部空間内に開口した供給管 と、 内部空間内で反応して発生される改質ガスが内部空間から出 るための吹き出し管と、 供給管に接铙されたメ タ ノ ール供給手段 と、 供給管に接続された酸素供給手段とを備えた水素発生装置に
, 5 おいて、 ハウジングを覆う囲い部材と、 ハウジングと囲い部材と の間の空間を温める加温手段を備えたことである。
請求項 5の発明において講じた技術的手段は、 内部空間内に触 媒が充満されているハウジングと、 内部空間内に開口した供給管 と、 内部空間内で反応して発生される改質ガスが内部空間から出
2 0 るための吹き出し管と、 供給管に接続されたメタノール供給手段 と、 供給管に接続された酸素供給手段とを備えた水素発生装置に おいて、 供給管が少なく とも大面積及び小面積の開口部を有し、 メ 夕ノール供給手段及び酸素供給手段から供耠されるメタノール と酸素が吹き出すための開口部を選択する開口部選択手段を備え
2 5 たこ とである。
請求項 6の発明において講じた技術的手段は、 内部空間内に触 媒が充溝されているハウジングと、 内部空間内に開口 した供給管
と、 内部空間內で反応して発生される改質ガスが内部空間から出 るための吹き出し管と、 供給管に接続されたメタノール供給手段 と、 供給管に接続された酸素供給手段とを備えた水素発生装置に おいて、 ハウジングを複数個より構成すると共に、 メ タノールと 酸素が供給されるハウジングを選択するハウジング選択手段を備 えたことである。
単位重量 , 単位容積当たりの水素発生量及び始動性を向上させ るために、 請求項 7及び請求項 8の発明において講じた技術的手 段は、 複数の開口部を有し、 開口部とメタノール供給手段及び酸
, ο 素供給手段との間に設けられた擾拌室を備えたこ とである。
請求項 1 の発明においては、 メタノール供給手段と酸素供給手 段より供耠管に供給されたメタノールと酸素は、 供給管の開口か ら触媒中に吹き出される。 メタノールと酸素の混合流体は、 触媒 に接触するこ とによつて下式の如く反応する。
i s C H 3 O H + 1 /20 2 → C 0 2 + 2 H 2
この反応によって発生した改質ガス (二酸化炭素と水素の混合 ガス) は、 吹き出し管より順次吹き出される。
更に、 始動時等、 触媒の温度が通常作動温度に達していないと きには、 供給管の開口部近傍に配設されている加熱手段によ って,
2 0 先ず供給管開口部近傍の触媒温度を向上させ、 その後メ タ ノ ール と酸素の混合流体を供給してその反応熱と加熱手段の熱とによ つ て短時間で通常作動温度にまで加熱される。
請求項 2の発明においては、 請求項 1 の発明と同様な作用でメ 夕ノールと酸素の混合流体が二酸化炭素と水素の混合ガスとな つ て吹き出し管より順次吹き出される。
更に、 水素発生装置の作動中は、 切り換え手段が、 改質ガス貯 蔵手段の吹き出し管側の連通管を連通状憨とし、 供給管側の連通
管を遮断することにより、 吹き出し管中の改質ガスの一部が改質 ガス貯蔵手段内に蓄えられる。 装置が停止されると、 切り換え手 段が、 改質ガス貯蔵手段の吹き出し管側の連通管をも遮断して、 改質ガス貯蔵手段内の改質ガスを密封しておく。 そして、 始動時 等、 触媒の温度が通常作動温度に達しておらずメタノールと空気 の反応が十分に起こ らない時には、 切り換え手段が、 改質ガス貯 蔵手段の供給管側の連通管を連通させると共に、 メタノール供給 手段の作動を停止させて、 ハウジング内に改質ガスと空気の混合 流体が供給されるようにする。 これによつて、 ハウジング内では、 改質ガス中の水素 (メタノールより も反応し易い) と空気とが下 式の如く反応して、 触媒燃焼し、 供給管の開口部近傍の温度が短 時間で向上される。
その後、 切り換え手段が、 改質ガス貯蔵手段の供給管側の連通 管を遮断すると共に、 メタノール供給手段の作動を開始するこ と によって、 メタノールと酸素とは活発に反応して十分な水素発生 量が得られる。
請求項 3の発明においては、 供給管の開口部近傍に位置する触 媒に燃焼触媒 (好ま しく は、 白金、 金、 パラジウム、 ロジウム等) を混入させるこ とにより、 供給管の開口部近傍において改質ガ ス中の水素と、 酸素とを効果的に燃焼させるこ とができる。
請求項 4の発明においても、 請求項 1 の発明と同様な作用でメ 夕ノ ールと酸素の混合流体が二酸化炭素と水素の混合ガスとなつ て吹き出し管より順次吹き出される。
更に、 始動時等、 触媒の温度が通常作動温度に達していないと きには、 加温手段によって囲い部材とハウジングとの間の空間を 温める。 これにより、 先ず触媒の温度を向上させ、 その後メ タノ ールと酸素の混合流体を供給してその反応熱と加熱手段の熱とに
よって短時間で通常作動温度にまで加熱される。
請求項 5 の発明においても、 請求項 1 の発明と同様な作用でメ 夕ノールと酸素の混合流体が二酸化炭素と水素の混合ガスとなつ て吹き出し管より順次吹き出される。
5 更に、 供給管が少なく とも大面積及び小面積の開口部を有して いて、 開口部選択手段により メ タノールと酸素の混合流体を大小 どちらの開口部から吹き出させるかを制御する。 始動時等、 触媒 の温度が通常作動温度に達していないときには、 混合流体の流速 を速く して温度上昇速度が速く なるようにするため、 小面積の開
, ο 口部から吹き出させるようにする。 そして、 触媒が通常作動温度 にまで達すれば温度上昇速度を速くする必要はないために、 開口 部選択手段は、 大面積の開口部から混合流体を吹き出させるよう にする。
請求項 6 の発明においても、 請求項 1 の発明と同様な作用でメ
, 5 タノールと酸素の混合流体が二酸化炭素と水素の混合ガスとなつ て吹き出し管より順次吹き出される。
更に、 ハウジングを複数個より構成することによって、 同じ水 素発生量を得るのに一個のハウジングのサイズを小さ くするこ と ができるために、 一個のハウジングの熱容量が減少される。 この 2 0 ため、 始動時等、 触媒の温度が通常作動温度に達していないとき でも、 混合流体を供給し始めればその反応熱は急激に触媒の温度 を上昇させ、 短時間で通常作動温度にまで加熱される。 又、 ハウ ジング選択手段により混合流体がどのハウジングに供給されるか を選択するこ とによって、 複数のハウジングに混合流体を供給す 2 5 るようにすれば、 急激に水素発生量を向上させるこ ともできる。
請求項 7の発明においては、 メタノールと酸素の混合流体が複 数の開口部から内部空間に流入される。
請求項 8の発明においては、 メ夕ノールと酸素の混合流体が、 開口部から内部空間に流入する前に攪拌室にて攪拌されてから内 部空間に流入される。
図面の簡単な説明
5 図 1 は、 本発明に係る第 1 実施例の水素発生装置の構成図を示 す。
図 2は、 本発明に係る第 2実施例の水素発生装置のハウ ジ ン グ 周辺の構成図を示す。
図 3 は、 本発明に係る第 3実施例の水素発生装置のハウ ジ ン グ , ο 周辺の構成図を示す (非作動時) 。
図 4 は、 本発明に係る第 3実施例の水素発生装置のハウ ジ ン グ 周辺の構成図を示す (触媒が通常作動温度にまで達していないと さ) 。
図 5 は、 本発明に係る第 3実施例の水素発生装置のハウ ジ ン グ 1 5 周辺の構成図を示す (通常作動状態) 。
図 6 は、 本発明に係る第 4実施例の水素発生装置のハウ ジ ン グ 周辺の構成図を示す (非作動時) 。
図 7は、 本発明に係る第 4実施例の水素発生装置のハウ ジ ン グ 周辺の構成図を示す (触媒が通常作動温度にまで達していないと
2 0 さ ) ο
図 8 は、 本発明に係る第 4実施例の水素発生装置のハウ ジ ン グ 周辺の構成図を示す (通常作動状態) 。
図 9 は、 本発明に係る第 5実施例の水素発生装置のハウ ジ ン グ 周辺の構成図を示す。
2 5 図 1 0 は、 本発明に係る第 6実施例の水素発生装置の断面図を 示す。
図 1 1 は、 図 1 0の A - A断面矢示図を示す。
本発明を実施するための最良の形態
本発明に係る実施例を図面に基づいて説明する。
実施例 1
図 1 は本発明に係る第 1 実施例の水素発生装置のモデル図であ る。 同図において、 ハウジング 1 0 の内部空間 1 0 a内には、 触 媒 1 1 が充満されている。 触媒 1 1 には、 銅触媒、 ニッケル触媒、 貴金属触媒等が用いられる。
ハウジング 1 0 の図中上面には、 ハウジングの内部空間 1 0 a 内に開口 した供給管 1 2が挿入されている。 この供給管 1 2 の開 口部 1 2 aの近傍には、 加熱手段である電熱ヒーター 1 3が配設 されている。
供給管 1 2は、 後述するメ タノ ール供給手段及び酸素供給手段 に接続されている。 メ タノ ール供給手段は、 液体のメ タノ ールを 貯えるメ タノ ールタ ンク 2 0 と、 このメ タノ ールタ ンク 2 0 内に 貯えられているメ タノ ールを供給管 1 2 に順次供給するためのメ 夕ノ ールボンブ 2 1 と、 液体のメ タ ノ ールを気化するための気化 器 2 2 とから構成されている。 酸素供給手段は、 酸素 (空気) を 取り入れる取り入れ口 3 0 と、 この取り入れ口 3 0から吸い込ん だ酸素のゴミ を取り除く フ ィ ルター 3 1 と、 酸素を供給管 1 2 に 順次供給するためのエアポンプ 3 2 とから構成されている。
一方、 ハウジング 1 0 の図中下面には、 ハウジング 1 0内で反 応して発生する改質ガスが流れだすための吹き出し管 1 4 が取り 付けられている。 この吹き出し管 1 4 を流れる改質ガスは、 例え ば燃料電池に供給されて電力の発生源と して利用される。
供給管 1 2 と吹き出し管 1 4 とは、 連通管 1 5 により接続され ている。 この連通管 1 5上には、 切り換え手段である ソ レ ノ イ ド バルブ 4 0、 4 1 と、 ソ レノ ィ ドバルブ 4 0 と 4 1 との間に配設
される水素タ ンク (改質ガス貯蔵手段) 1 6 と、 水素タ ンク 1 6 とソ レノ イ ドバルブ 4 1 との間に配設されている水素透過膜 1 7 とが配設されている。
尚、 電熱ヒーター 1 3、 ソ レノ イ ドバルブ 4 0、 4 1 、 メ タノ 5 一ルボンプ 2 1 、 エアポンプ 3 2の作動制御は、 図示しない制御 装置によ り成される。
上記した第 1 実施例の作用を説明する。
水素発生装置の始動時、 触媒の温度は常温となっているために 活性が低く 、 十分な水素発生量を得るこ とはできない。 このため、 ■ 0 電熱ヒーター 1 3 に電流を流して供給管 1 2の開口部 1 2 a近傍 (以下、 ホッ トスボッ ト H S と称す) の触媒の温度を向上させる c これと同時に、 ソ レノ ィ ドバルブ 4 0 を連通管 1 5 を連通する位 置に切り換え、 更にエアボンブ 3 2 を作動させる。
これにより、 ホッ トスボッ ト H Sの触媒は、 電熱ヒ一夕一 1 3 , 5 より発生するジュール熱と、 供給管 1 2から供給される水素と酸 素が触媒燃焼して発生する反応熱とにより、 短時間で通常作動温 度近く にまで加熱される。
このとき、 ホッ トスボッ ト H Sの触媒に、 燃焼触媒と して白金- 金、 パラ ジウム、 ロジウム等を混入させてお く と、 水素と酸素が
2 0 触媒燃焼し易 く なる。
又、 始動時、 触媒温度が常温と通常使用温度の中間 ぐ らいの温 度であった場合、 電熱ヒーター 1 3 のみを作動させるようにして もよい。
触媒が通常作動温度近く にまで加熱されたら、 電熱ヒー夕一へ
2 5 の電流供給を絶ち、 メ タノ ールポンプ 2 1 を作動させ、 ソ レ ノ ィ ドバルブ 4 0 を連通管 1 5 を遮断するように切り換える と共に、 ソ レ ノ イ ドバルブ 4 1 を連通管 1 5 を連通するように切り換える
これによつて、 供給管 1 2からはメタノールと酸素の混合流体が 供給されて反応し、 水素と二酸化炭素の改質ガスが吹き出し管 1 4 より流れ出す。
吹き出し管 1 4 を流れだした改質ガスの一部は連通管 1 5 に流 れ込み、 水素透過膜 1 7を通過した水素のみが水素タ ン ク 1 6に Ιτ / έされな 0
本発明においては、 始動時等、 触媒の温度が通常作動温度に達 していないときには、 電熱ヒーター 1 3のジュール熱、 水素と酸 素の触媒燃焼による反応熱で、 触媒を短時間で通常作動温度にま で加熱するこ とができ、 結果、 短時間で十分な水素発生量を得る ことができるものである。
実施例 2
図 2は本発明に係る第 2実施例のハウ ジン グ 1 0周辺の構成図 である。 同図において第 1 実施例との相違点についてのみ説明す な 0
同図において、 ハウ ジング 1 0は囲い部材 5 0 にて全体を覆わ れている。 囲い部材 5 0の底面には、 メタノールと酸素によって 燃えるバーナー (加温手段) 5 1 が設けられていて、 このパーナ 一 5 1 により、 始動時等、 触媒 1 1 の温度が通常作動温度に達し ていないとき、 バーナー 5 1 に点火してハウ ジ ン グ 1 0 と囲い部 材 5 0 との間の空間が加温される。 これにより、 バーナー 5 1 が 第 1 実施例の電熱ヒータ一 1 3 と同様な作用で触媒 1 1 を温め、 結果、 短時間で十分な水素発生量を得ることができる。
実施例 3
図 3〜図 5 は、 本発明に係る第 3実施例のハウ ジ ン グ 1 0周辺 の構成図である。 同図において、 第 1 実施例との相違点について のみ説明する。
第 3実施例の ^袷管 1 2は、 開口部が大と小の二個の開口部 1 2 b、 1 2 cを有した二重管構造となっていて、 メ タノールと 酸素の混合流体は開口部選択手段を構成する切換弁 1 8 により大 小どちらの開口部 1 2 b、 1 2 cから吹き出されるかが切り換え
5 りれる o
この第 3実施例においては、 始動時等、 触媒 1 1 の温度が通常 作動温度に達していないときには、 混合流体の流速を速く して温 度上昇速度を速くする必要があり、 制御装置は切換弁 1 8を制御 して混合流体を小面積の開口部 1 2 cから吹き出させるようにす , ο る (図 4 ) 。 そして、 触媒が通常作動温度にまで達すれば温度上 昇速度を速くする必要がないので、 制御手段は切換弁 1 8を制御 して混合流体を供給管 1 2の大面積の開口部 1 2 bから吹き出さ せるようにする (図 5 ) 。 これにより、 触媒 1 1 を短時間で通常 作動温度にまで加熱するこ とができ、 結果、 短時間で十分な水素
, 5 発生量を得ることができる。
実施例 4
図 6〜図 8 は、 本発明に係る第 4実施例のハウジング 1 0周辺 の構成図である。 同図において、 上記第 3実施例との相違点につ いてのみ説明する。
2 0 第 4実施例の供給管 1 2は、 開口部が大と小の二個の開口部
1 2 d、 1 2 eを有した構造となつていて、 メタノールと酸素の 混合流体は開口部選択手段を構成する切換弁 1 8 により大小どち らの開口部 1 2 d、 1 2 eから吹き出されるかが切り換えられる, 第 3及び第 4実施例の切換弁 1 8 は、 例えばソ レノィ ドバルブ
2 5 あ o
この第 4実施例においては、 始動時等、 触媒 1 1 の温度が通常 作動温度に達していないときには、 混合流体の流速を速く して温
度上昇速度を速くする必要があり、 制御装置は切換弁 1 8を制御 して混合流体を小面積の開口部 1 2 cから吹き出させるようにす る (図 7 ) 。 そして、 触媒が通常作動温度にまで達すれば温度上 昇速度を速くする必要がないので、 制御手段は切換弁 1 8を制御 5 して混合流体を供給管 1 2の大面積の開口部 1 2 bから吹き出さ せるようにする (図 8 ) 。 これにより、 触媒 1 1 を短時間で通常 作動温度にまで加熱するこ とができ、 結果、 短時間で十分な水素 発生量を得るこ とができる。
実施例 5
, ο 図 9 は、 本発明に係る第 5実施例のハウジング 1 0周辺の構成 図である。 同図において、 第 1 実施例との相違点についてのみ説 明する。
第 5実施例のハウジング 1 0は、 複数個 (第 5実施例では三個) 1 0 ' 、 1 0 ' '、 1 0 ' " より構成されていて、 それぞれのハウ
, 5 ジング 1 0 ' 、 1 0 ',、 1 0 ' ' ' には供給管 1 2 ' 、 1 2 ' '、
1 2 " ' が揷入されている。 メタノールと酸素の混合流体は、 ハ ウジング選択手段である選択弁 6 0 によっていずれのハウジング に供給されるか選択される。 尚、 それぞれのハウジング 1 0 ' 、 1 0 ' '、 1 0 " ' には、 吹き出し管 1 4 ' 、 1 4 ' '、 1 4 " ' 力
2 0 取り付けられ、 更にそれらは吹き出し管 1 4 に合流している。
この第 5実施例においては、 ハウジングを複数個より構成する こ とによって、 同じ水素発生量を得るのに一個のハウジングのサ ィズを小さ くするこ とができるので、 一個のハウジングの熱容量 が減少される。 このため、 始動時等、 触媒 1 1 の温度が通常作動
2 5 温度に達していないときでも、 混合流体を供給し始めればその反 応熱は急激に触媒の温度を上昇させ、 短時間で通常作動温度にま で加熱される。
又、 選択弁 6 0により混合流体がどのハウジングに供給される かを選択するこ とによって、 複数のハウジングに混合流体を供給 するようにすれば、 急激に水素発生量を向上させることもできる 実施例 6
図 1 0は第 6実施例の水素発生装置の断面図、 図 1 1 は図 1 0 の A— A断面矢示図である。 図 1 0 において、 円筒状のハウジン グ 1 0の内部空間 1 0 a内には、 触媒 1 1 が詰められている。 供 給管 1 2は、 ハウジング 1 0内を通って攪拌室 7 0の中央部に連 通していて、 その周りには複数 (第 6実施例では 8個) の開口部 1 2 aが設けられている。
この第 6実施例においては、 メタノールと酸素の混合流体が複 数の開口部 1 2 aから内部空間 1 0 a内に流入されるために触媒 を有効に利用するこ とができて、 結果、 単位重量 · 単位容積当た りの水素発生量を増大させ、 性能向上及び装置の小型化を招く こ とができる。 更に、 メタノールと酸素の混合流体が、 開口部 1 2 aから内部空間 1 0 aに流入する前に攪拌室 7 0にて攪拌されて から内部空間 1 0 a内に流入されるため、 混合流体が触媒に接触 したときに反応が起こりやすく、 始動性及び効率が向上される。
産業上の利用の可能性
請求項 1 の発明においては、 始動時等、 触媒の温度が通常作動 温度に達していないときには、 供給管の開口部近傍に配設されて いる加熱手段によって、 供給管開口部近傍の触媒温度は、 反応熱 と加熱手段の熱によって短時間で通常作動温度にまで加熱されて 結果、 短時間で十分な水素発生量を得るこ とができる。
請求項 2の発明においては、 改質ガス貯蔵手段内に蓄えられた 改質ガスを、 始動時等、 触媒の温度が通常作動温度に達していな いときに供給し、 改質ガス中の水素 (メ タノールより も反応し易
い) と酸素を反応させ、 触媒燃焼させるこ とにより供給管の開口 部近傍の温度を短時間で向上させる。 その後、 改質ガスの供給を 停止すると共に、 メタノール供給手段の作動を開始するこ とによ つて、 メ タノールと酸素とは活発に反応して十分な水素発生量が 得られる。 このため、 触媒が十分に温まっていないときからメタ ノールと酸素を反応させる方法より も、 短時間で十分な水素発生 量を得ることができる。
請求項 3の発明においては、 供給管の開口部近傍に位置する触 媒に燃焼触媒 (好ま しく は、 白金、 金、 パラジウム、 ロジウム等) を混入させることにより、 供給管の開口部近傍において改質ガ ス中の水素と、 酸素とを効果的に燃焼させることができる。
請求項 4の発明においては、 始動時等、 触媒の温度が通常作動 温度に達していないときには、 加温手段によって囲い部材とハウ ジングとの間の空間を温める。 これにより、 先ず触媒の温度を向 上させ、 その後メタノールと酸素の混合流体を供給してその反応 熱と加熱手段の熱とによって短時間で通常作動温度にまで加熱さ れて、 結果、 短時間で十分な水素発生量を得ることができる。 請求項 5の発明においては、 始動時等、 触媒の温度が通常作動 温度に達していないときには、 混合流体の流速を速く して温度上 昇速度が速く なるようにするため、 小面積の開口部から吹き出さ せるようにする。 そして、 触媒が通常作動温度にまで達すれば温 度上昇速度を速くする必要はないために、 開口部選択手段は、 大 面積の開口部から混合流体を吹き出させるようにする。 これによ り、 触媒を短時間で通常作動温度にまで加熱するこ とができ、 結 果、 短時間で十分な水素発生量を得るこ とができる。
請求項 6の発明においては、 ハウジングを複数個より構成する こ とによって、 同じ水素発生量を得るのに一個のハウジングのサ
ィズを小さ くするこ とができるために、 一個のハウジングの熱容 量が減少される。 このため、 始動時等、 触媒の温度が通常作動温 度に達していないときでも、 混合流体を供給し始めればその反応 熱は急激に触媒の温度を上昇させ、 短時間で通常作動温度にまで
5 加熱されて、 結果、 短時間で十分な水素発生量を得るこ とができ る。 又、 ハウジング選択手段により混合流体がどのハウジングに 供給されるかを選択するこ とによって、 複数のハウジングに混合 流体を供給するようにすれば、 急激に水素発生量を向上させるこ ともできる。
, ο 請求項 7の発明においては、 メタノールと酸素の混合流体が複 数の開口部から内部空間に流入されるために触媒を有効に利用す るこ とができて、 結果、 単位重量 · 単位容積当たりの水素発生量 を増大させ、 性能 · 始動性の向上及び装置の小型化を招く こ とが できる。
1 5 請求項 8の発明においては、 メタノールと酸素の混合流体が、 開口部から内部空間に流入する前に攪拌室にて攪拌されてから内 部空間に流入されるため、 混合流体が触媒に接触したときに反^ が起こ りやすく、 効率が向上される。
本発明による水素発生装置は、 燃料電池、 水素エンジン、 ガス
2 0 ター ビン、 水素を使う冶金や半導体製造分野に利用される。 又、 本発明は、 出発原料としてメタノールを用いたが、 これは経済的 に有利であるという理由からであり、 他のアルキルアルコールの 使用を制限するものでない。