WO2004080586A1 - 微粒子、その製造方法及び製造装置、並びに注射剤及びその製造方法 - Google Patents

微粒子、その製造方法及び製造装置、並びに注射剤及びその製造方法 Download PDF

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Mitsuo Hiramatsu
Hiroshi Satozono
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Abstract

被処理液2中における有機化合物5を微粒子化して、その有機化合物5の微粒子を製造する方法において、有機化合物5の吸光帯より長い波長のレーザ光を被処理液2に照射し、有機化合物5を微粒子化して有機化合物5の微粒子を製造する。この製造方法によれば、被処理液2中の有機化合物5における光化学反応を充分に防止しながら微粒子を製造できる。これにより、有機化合物における光化学反応を充分防止しながら微粒子を製造できる微粒子の製造方法及び製造装置、微粒子、並びに注射液剤及びその製造方法が実現される。

Description

明糸田書
微粒子、 その製造方法及び製造装置、 並びに注射剤及ぴその製造方法
技術分野
【0 0 0 1〗 本 明は、 微粒子、 その製造方法及び製造装置、 並びに注射剤及 びその製造方法に係り、 より詳細には、 有機化合物の微粒子、 その製造方法及び 製造装置、 並びに注射剤及ぴその製造方法に関する。
背景技術
【0 0 0 2〗 有機化合物の微粒子化は、 極端な表面積の増大をもたらす。 この ため、 ί救粒子とその周囲との反応性が高まり、 かつ、 物質固有の性質が出現しや すくなるという利点がある。 また、 粒子が難溶性■不溶性の物質である場合、 そ の微粒子化により微粒子を溶媒中に擬似的に可溶化した状態 (微粒子が溶媒中に 懸濁している状態であるが、 光散乱がないため擬似的に可溶化しているように見 える状態) にすることもできる。
【0 0 0 3】 このため、 微粒子化の技術は、 新しい物質の調製方法を提供でき る可能性があり、 幅広い分野での応用が期待される。
【0 0 0 4】 このような微粒子化方法として、 従来、 特開 2 0 0 1— 1 1 3 1 5 9号公報に開示されるものがある。 同公報には、 レーザ光照射により有機化合 物の微粒子を生成する方法が開示されている。 この方法では、 有機化合物として 、 無機物と有機物の中間の性質を持ち、 分子構造が固くて丈夫な有機顔料や芳香 族縮合多環化合物が微粒子化の対象とされている。 そして、 微粒子の生成に際し 、 有機化合物の吸光帯における波長の光を有機化合物に照射することにより微粒 子の生成が図られている。
発明の開示
【0 0 0 5】 上述した微粒子化の技術を用いれば、 物質の新しい調製方法を提 供できる可能性があり、 幅広い分野での応用が期待される。 例えば、 創薬におい ては、 合成された新規物質の水などの溶媒に対する溶解度が低い場合、 その物質 の物理化学的研究やスクリーニングなどの探索ができず、 あるいは、 A DM E試 験 (吸収 ·分布 ·代謝 ·排泄試験) など、 動物での前臨床試験における一般毒性 、 一般薬理、 薬効薬理、 生化学的研究ができないこととなる。 これに対して、 有 機化合物の微粒子化を行うことにより、 様々な創薬候補物質の研究ができる可能 性がある。
【0 0 0 6〗 しかしながら、 前述した公報に記载の微粒子生成方法は、 以下に 示す課題を有していた。
【0 0 0 7〗 すなわち、 上記方法では、 分子構造の中に比較的弱い化学結合を 含む有機化合物の場合、 その吸光帯波長の光を照射することにより、 微粒子を生 成することはできるが、 同時に、 一部で電子励起状態を経由して有機化合物の光 化学反応が生じ、 有機化合物の分解が起こって、 不純物が生成されてしまう場合 があった。 特に、 有機化合物が体内に投与される薬物 (医薬品) の場合、 そのよ うな不純物は副作用の原因となり、 生体に悪影響を与えるおそれもあるため、 こ のような事態は極力避けなければならない。 すなわち、 製薬分野においては、 薬 物の加工等、 製薬プロセスにおける不純物生成の最少化は最優先課題である。
【0 0 0 8】 本発明は、 以上の問題点を解決するためになされたものであり、 有機化合物における光化学反応を充分に防止しながら微粒子を製造することがで きる微粒子の製造方法及び製造装置、 微粒子、 並びに注射剤及ぴその製造方法を 提供することを目的とする。
【0 0 0 9】 本発明者らは、 上記課題を解決するため、 薬物などの有機化合物 における光化学反応の発生を回避した上で、 被処理液における有機化合物の微粒 子化を可能にする光照射条件を追求した結果、 特定の光照射条件のレーザ光を有 機化合物に照射することにより上記課題を解決し得ることを見出し、 本発明を完 成するに至った。
〖0 0 1 0〗 すなわち、 本発明による微粒子の製造方法は、 被処理液の溶媒中 の有機化合物を微粒子化して、 その有機化合物の微粒子を製造する製造方法であ つて、 有機化合物及び溶媒が混合された被処理液を準備する準備ステップと、 有 機化合物の吸光帯より長い波長のレーザ光を被処理液に照射することによって、 有機化合物を微粒子化するレーザ光照射ステップとを備えることを特徴とする。
【 0 0 1 1〗 この製造方法によれば、 被処理液中の有機化合物にその吸光帯よ り長い波長のレーザ光が照射されると、 被処理液中の有機化合物における光化学 反応を充分に防止しながらその有機化合物の微粒子を製造することができる。
[ 0 0 1 2 ] 上記製造方法において、 上記有機化合物が、 そのごく一部のみ被 処理液中の溶媒に溶解するもの、 すなわち被処理液中の溶媒に難溶であるか、 被 処理液中の溶媒に不溶なものである場合には、 レーザ光照射による有機化合物の 微粒子化により、 有機化合物を、 被処理液中の溶媒に擬似的に可溶化させること ができる。 すなわち有機化合物の微粒子を被処理液中に含ませた状態とすること ができる。 ここで、 「被処理液中の溶媒に難溶」 とは、 汎用型分光光度計 (HITA CHI U-3500) を用い、光路長を 1 c mとして被処理液の吸光度を測定した場合 に最大の吸光度が 0. 0 1以上となることをいい、 最大の吸光度が 0 . 0 1未満 となる場合に有機化合物が被処理液中の溶媒に不溶であるとする。
【0 0 1 3】 上記微粒子の製造方法においては、 有機化合物の吸光帯より長い 波長のレーザ光の被処理液への照射光強度を、 上記有機化合物において 2光子吸 収が生じる照射光強度未満とすることが好ましい。
【0 0 1 4】 有機化合物で 2光子吸収が生じる照射光強度を持つレーザ光を有 機化合物に照射した場合、 せっかく光化学反応を起こさせないように有機化合物 の吸光帯より長い波長のレーザ光を用いたにも関わらず、 有機化合物に光化学反 応が生じる傾向がある。 2光子吸収が生じる照射光強度未満の照射光強度を持つ レーザ光を有機化合物に照射することで、 有機化合物における光化学反応をより 充分に防止しながら有機化合物の微粒子を製造することが可能となる。
〖0 0 1 5〗 上記製造方法においては、 被処理液へのレーザ光の照射中に、 被 処理液中の有機化合物の吸光度を測定して有機化合物の微粒子化状態をモニタす ることが好ましい。 この場合、 微粒子化状態がモニタされるため、 微粒子化状態 に応じてレーザ光照射の停止 ·継続を決定することができ、 有機化合物への必要 以上のレーザ光照射を回避することが可能となる。
【0 0 1 6〗 また、 上記製造方法においては、 チャンバ内の被処理液を透過し たレーザ光の透過光強度を測定しながら、 チャンバに照射され上記吸光帯より長 い波長のレーザ光の照射光強度を変えることにより、 有機化合物で 2光子吸収が 生じる照射光強度を求めることが好ましい。
【0 0 1 7〗 被処理液を収容するチャンバに、 チャンバを透過したレーザ光の 透過光強度を測定しながら、 チャンバに照射されるレーザ光の照射光強度を変え ると、 ある照射光強度で有機化合物において 2光子吸収が生じるようになる。 こ のとき、 チャンバを透過したレーザ光の透過光強度が急激に減少する。 このため 、 2光子吸収が生じる照射光強度を容易に求めることができる。
【0 0 1 8】 上記製造方法においては、 被処理液へのレーザ光の照射前または 照射中に、 被処理液中で製造される微粒子を被処理液中に安定して分散させる安 定化剤を被処理液に添加することが好ましい。 この場合、 安定化剤により、 一旦 製造された微粒子が、 被処理液中で安定して分散され、 微粒子同士の凝集が充分 に防止されるため、 微粒子の製造効率を向上させることができる。 ここで、 安定 化剤は界面活性剤であることが好ましい。 この場合、 微粒子の製造効率を向上さ せることができることに加えて、 有機化合物における光化学反応をより充分に防 止し、 照射波長より長い波長のレーザ光を有機化合物に照射して有機化合物を微 粒子化することが可能となる。
【0 0 1 9】 界面活性剤は、 微粒子の製造効率を向上させ、 照射するレーザ光 の波長を長くする上で有用なものであるが、 微粒子が製造された後は、 除去する ことが望ましい。 そこで、 上記のように被処理液に界面活性剤を添加した後は、 被処理液を希釈して微粒子と界面活性剤とを分離させ、 微粒子の凝集体である凝 集微粒子を得ることが好ましい。 なお、 微粒子の製造後に得られる凝集微粒子は 、 再分散時における取扱いが容易となる。
【0 0 2 0】 また、 上記微粒子の製造方法において、 有機化合物が薬物である 場合には、 薬物とレーザ光との光化学反応が充分に防止されるため、 薬物の薬効 を失うことなくその微粒子を製造することができる。 また、 上記被処理液中の溶 媒は、 水であることが好ましい。 また、 薬物の微粒子化により薬物の表面積が増 大し、 生体組織への吸収性が向上するため、 即効性のある微粒子を得ることがで きる。 さらに、 薬物が水に一部しか溶解しない、 すなわち水に難溶なもの、 ある いは水に不溶なものである場合は、 その薬物を水中において擬似的に可溶化する ことができる。
【0 0 2 1】 また、 本発明による微粒子の製造装置は、 被処理液の溶媒中の有 機化合物を微粒子化して、 その有機化合物の微粒子を製造する製造装置であって 、 所定の吸光帯を有する有機化合物及び溶媒が混合された被処理液を収容するた めのチャンバと、 チャンバ内に収容される被処理液に、 有機化合物の吸光帯より 長い波長のレーザ光を照射するレーザ光源とを備えることを特徴とする。
【0 0 2 2】 この微粒子製造装置によれば、 レーザ光源により、 チャンバ内に 収容される被処理液に有機化合物の吸光帯より長い波長のレーザ光を照射すると 、 被処理液内の有機化合物における光化学反応を充分に防止しながら有機化合物 を微粒子化することが可能となる。
【0 0 2 3】 また、 この場合、 被処理液中の有機化合物の吸光帯を測定して有 機化合物の微粒子化状態をモユタするためのモニタ用吸光帯測定手段を備えるこ とが好ましい。 このとき、 モニタ用吸光帯測定手段により有機化合物の吸光帯を 測定してその微粒子化状態をモニタすると、 微粒子化状態に応じてレーザ光照射 の停止■継続を決定できるため、 有機化合物への必要以上のレーザ光照射を回避 することができる。
[ 0 0 2 4 ] 上記レーザ光源は波長可変レーザであることが好ましい。 この場 合、 有機化合物の吸光帯に基づき、 適切な波長のレーザ光を被処理液中の有機物 に照射することが可能となる。
【0 0 2 5】 上記製造装置は、 チャンバから被処理液の一部を排出させ、 その 被処理液中の有機化合物の吸光帯を測定して、 有機化合物に照射するレーザ光の 波長を決定するための照射波長決定用吸光帯測定手段をさらに備えており、 照射 波長決定用吸光帯測定手段が、 チャンバから排出される被処理液から固形物を分 離することが可能な分離フィルタを有し、 分離フィルタにより固形物が分離され た被処理液中の有機化合物の吸光帯を測定するものであることが好ましい。
【0 0 2 6】 この製造装置によれば、 有機化合物の吸光帯が不明であっても、 チャンバから排出される被処理液中における有機化合物の吸光帯を照射波長決定 用吸光帯測定手段により直ちに測定することができる。 そして、 この吸光帯測定 手段で測定される有機化合物の吸光帯に応じて、 波長可変レーザの照射波長を上 記吸光帯より長い波長に設定でき、 その照射波長のレーザ光を有機化合物に照射 することが可能となる。
【0 0 2 7】 また、 有機化合物がその一部のみ被処理液中の溶媒に溶解するも の、 即ちその溶媒に難溶であっても、 分離フィルタにより、 チャンバから排出さ れる被処理液から固形物が分離される。 このため、 照射波長決定用吸光帯測定手 段において、 分離フィルタを透過した被処理液中の溶媒における有機化合物につ いて吸光帯が固形物による散乱がなく的確に測定される。 なお、 有機化合物が、 その溶媒、 例えば水に不溶な場合には、 その有機化合物が可溶な有機溶媒、 例え ばジメチルスルホキシドと水との混合溶媒を用いて、 別途、 分光光度計を用いて 吸収スぺクトルを測定し、 その有機化合物の吸光帯を知ることにより適切なレー ザの照射波長を決定することができる。
【0 0 2 8】 上記製造装置は、 チヤンバ内の被処理液を透過するレーザ光の透 過光強度を測定する透過光強度測定装置と、 レーザ光源によりチャンバに照射さ れるレーザ光の照射光強度を調整する照射光強度調整手段とをさらに備えている ことが好ましい。 【0 0 2 9】 この製造装置によれば、 レーザ光源により、 被処理液中の有機化 合物の吸光帯における最長波長より長い波長のレーザ光がチャンバ内の被処理液 に照射され、 被処理液を透過したレーザ光の透過光強度が、 透過光強度測定装置 により測定される。 このとき、 照射光強度調整手段によりレーザ光の照射光強度 を増加させると、 ある照射光強度で有機化合物において 2光子吸収が生じるよう になる。 このとき、 レーザ光の透過光強度が急激に減少する。 このため、 2光子 吸収の生ずる照射光強度を容易に求めることができる。
【0 0 3 0〗 ここで、 チャンバが、 上記吸光帯より長い波長のレーザ光であつ て上記有機化合物で 2光子吸収が生じる照射光強度のレーザ光を、 2光子吸収が 生じない照射光強度のレーザ光より大きく吸収するものであることが好ましい。 【0 0 3 1】 この場合、 有機化合物で 2光子吸収が生じる照射光強度になると 、 レーザ光が有機化合物のみならずチャンバでも大きく吸収されるため、 レーザ 光の透過光強度がより大きく減少する。 このため、 有機化合物で 2光子吸収が生 じる照射光強度を一層容易に求めることができる。
【0 0 3 2】 さらに、 本発明による微粒子の製造方法は、 レーザ光照射ステツ プにおいて、 有機化合物の吸光帯よりも長い波長のレーザ光として、 有機化合物 の吸光帯とは異なる波長であって溶媒に対して作用する所定波長のレーザ光を被 処理液に照射することが好ましい。
【0 0 3 3】 また、 本発明による微粒子の製造装置は、 レーザ光源が、 チャン バ内に収容される被処理液に、 有機化合物の吸光帯よりも長い波長のレーザ光と して、 有機化合物の吸光帯とは異なる波長であって溶媒に対して作用する所定波 長のレーザ光を照射することが好ましい。
【0 0 3 4】 このような製造方法及び装置によれば、 被処理液中に含まれる有 機化合物の吸光特性にかかわらず、 有機化合物の吸光帯とは異なり、 溶媒に作用 する波長 (好ましくは溶媒が吸収する波長) のレーザ光 (好ましくは赤外レーザ 光) を照射して有機化合物の微粒子化を実現している。 これにより、 溶媒中の有 機化合物における光化学反応の発生を充分に防止しつつ、 有機化合物を微粒子化 することができる。
【0 0 3 5〗 上記した製造方法及び装置において、 有機化合物がその一部のみ 溶媒に溶解するもの、 すなわち、 溶媒に難溶であるか、 もしくは溶媒に不溶なも のである場合には、 上述したように、 レーザ光照射による有機化合物の微粒子化 により、 有機化合物を、 溶媒に対して擬似的に可溶化させることが可能となる。 すなわち、 難溶または不溶の有機化合物の微粒子を含む液体を製造することがで きる。
[ 0 0 3 6 ] また、 上記した製造方法及び装置において、 被処理液に照射する レーザ光の波長は、 9 0 0 n m以上の波長であることが好ましい。 あるいは、 レ 一ザ光の波長は、 溶媒の吸光帯の波長であることが好ましい。 これにより、 溶媒 に対してレーザ光が作用することによる有機化合物の微粒子化を充分に実現しつ つ、 被処理液中の有機化合物における光化学反応の発生を確実に防止することが できる。
【0 0 3 7】 また、 レーザ光の被処理液への照射光強度を、 有機化合物におい て 2光子吸収が生じる照射光強度未満とすることが好ましい。 有機化合物で 2光 子吸収が生じる照射光強度を持つレーザ光を有機化合物に照射した場合、 光化学 反応を起こさせない波長のレーザ光を用いたにも関わらず、 2光子吸収によって 有機化合物に光化学反応が生じる場合がある。 これに対して、 2光子吸収が生じ る照射光強度未満の照射光強度を持つレーザ光を有機化合物に照射することで、 有機化合物における光化学反応の発生をより確実に防止することができる。
【0 0 3 8】 また、 被処理液を冷却しつつレーザ光を被処理液に照射すること が好ましい。 これにより、 レ一ザ光を照射 ·した際の熱分解による有機化合物の劣 化等を防止することができる。
〖0 0 3 9〗 また、 製造方法は、 被処理液へのレーザ光の照射中に、 被処理液 中の有機化合物の吸光度を測定して有機化合物の微粒子化状態をモニタすること が好ましい。 同様に、 製造装置は、 被処理液中の有機化合物の吸光度を測定して 有機化合物の微粒子化状態をモニタするモニタ用吸光帯測定手段を備えることが 好ましい。 この場合、 微粒子化状態がモニタされるため、 微粒子化状態に応じて レーザ光照射の停止■継続を決定することができ、 有機化合物への必要以上のレ 一ザ光照射を回避することが可能となる。
【0 0 4 0〗 また、 上記製造方法においては、 チヤンバ内の被処理液を透過し たレーザ光の透過光強度を測定しながら、 チヤンバに照射されるレーザ光の照射 光強度を変えることにより、 有機化合物で 2光子吸収が生じない照射光強度を求 めることが好ましい。
【0 0 4 1】 被処理液を収容するチャンバに対し、 チャンバを透過したレーザ 光の透過光強度を測定しながら、 チャンバに照射されるレーザ光の照射光強度を 変えると、 ある照射光強度で有機化合物において 2光子吸収が生じるようになる 。 このとき、 チャンバを透過したレーザ光の透過光強度が急激に変化する。 この ため、 2光子吸収が生じない照射光強度を容易に求めることができ、 実際には 2 光子吸収が生じない照射光強度で使用される。
【0 0 4 2】 また、 被処理液へのレーザ光の照射前または照射中に、 被処理液 中で製造される微粒子を被処理液中に安定して分散させる安定化剤を被処理液に 添加することが好ましい。 この場合、 安定化剤により、 一旦製造された微粒子が 被処理液中で安定して分散され、 微粒子同士の凝集が充分に防止されるため、 微 粒子の製造効率を向上させることができる。 ここで、 安定化剤は界面活性剤であ ることが好ましい。 この場合、 微粒子の製造効率を向上させることができること に加えて、 有機化合物における光化学反応をより充分に防止しつつ、 レーザ光を 有機化合物に照射して有機化合物を微粒子化することが可能となる。
【0 0 4 3〗 また、 上記製造装置においては、 レーザ光源は、 波長可変レーザ 光源であることが好ましい。 この場合、 有機化合物の吸光帯や、 溶媒の吸光特性 等に基づき、 適切な波長のレ一ザ光を被処理液に照射することが可能となる。 【0 0 4 4】 また、 製造装置は、 チャンバ内の被処理液を透過するレーザ光の 透過光強度を測定する透過光強度測定装置と、 レーザ光源によりチャンバに照射 されるレーザ光の照射光強度を調整する照射光強度調整手段とをさらに備えてい ることが好ましい。
[ 0 0 4 5 ] このような構成によれば、 レーザ光源により所定波長のレーザ光 がチャンバ内の被処理液に照射され、 被処理液を透過したレーザ光の透過光強度 力 透過光強度測定装置により測定される。 ここで、 照射光強度調整手段により レーザ光の照射光強度を増加させると、 ある照射光強度で有機化合物において 2 光子吸収が生じるようになる。 このとき、 レーザ光の透過光強度が急激に変化す る。 これにより、 2光子吸収が生じない照射光強度を容易に求めることができる
【0 0 4 6】 ここで、 チャンバは、 上記吸光帯より長い波長のレーザ光であつ て上記有機化合物で 2光子吸収が生じる照射光強度のレーザ光を、 2光子吸収が 生じない照射光強度のレーザ光より大きく吸収するものであることが好ましい。 【0 0 4 7】 この場合、 有機化合物で 2光子吸収が生じる照射光強度になると 、 レーザ光が有機化合物のみならずチャンバでも大きく吸収されるため、 レーザ 光の透過光強度がより大きく減少する。 このため、 有機化合物で 2光子吸収が生 じない照射光強度を一層容易に求めることができる。
【0 0 4 8】 また、 被処理液中に含まれる有機化合物は、 分子間力が比較的弱 い物質、 例えば、 薬物のようにその融点が 2 5 0 °C以下であることが好ましい。 このように融点が低い有機化合物は、 レーザ光が溶媒に対して作用することによ つて微粒子化しやすい。 したがって、 レーザ光照射による有機化合物の微粒子化 を好適に実現することができる。
【0 0 4 9〗 また、 微粒子化の対象となる有機化合物が薬物である場合には、 レーザ光照射による薬物における光化学反応が充分に防止される。 このため、 薬 物の薬効を失うことなくその微粒子を製造することができる。 また、 薬物の微粒 子化により薬物の表面積が増大し、 生体組織への吸収性が向上するため、 即効性 のある微粒子を得ることができる。 更に、 薬物が溶媒に難溶または不溶なもので ある場合は、 その薬物を溶媒中において擬似的に可溶化することができる。 また 、 このように有機化合物が薬物である場合、 溶媒としては水を用いることが好ま しい。 あるいは、 水以外の溶媒を用いても良い。
【0 0 5 0】 また、 本発明による微粒子は、 上述した微粒子の製造方法により 製造される微粒子である。 難溶性物質または不溶性物質であっても、 このような 微粒子によれば、 擬似的に可溶化させることが可能となる。
[ 0 0 5 1 ] さらに、 本発明による注射剤の製造方法は、 上述した微粒子の製 造方法により微粒子を含む液体、 例えば微粒子を含む注射用水を製造し、 この液 体に等張化剤を添加するか、 あるいは等張化剤存在下において微粒子を製造する 方法により微粒子を含む注射剤を製造することを特徴とする。 このような製造方 法によれば、 水に難溶であるか、 あるいは不溶な薬物をその光化学反応を充分に 防止しながら水に可溶化できる。 このため、 水に難溶であるか、 あるいは不溶な 薬物であっても注射剤として製造することができる。 また薬物が微粒子化される ため、 生体に対して即効性のある注射剤を製造することができる。
【0 0 5 2】 また、 本発明による注射剤は、 上述した注射剤の製造方法により 製造される注射剤である。 このような注射剤においては、 薬物が微粒子化されて その表面積が増大しており、 その微粒子は、 生体に対して高い吸収性を有する。 このため、 この注射剤は、 生体に注射した場合に即効性を有する。
図面の簡単な説明
【0 0 5 3】 図 1は、 微粒子の製造装置の第 1実施形態を示す概略図である。
[ 0 0 5 4 ] 図 2は、 微粒子の製造方法の一例を示すフローチャートである。
[ 0 0 5 5 ] 図 3は、 実施例 1に係る酪酸ク口ベタゾンの吸光度特性を示すグ ラフである。
【0 0 5 6〗 図 4は、 レーザ光照射前後の酪酸クロベタゾン飽和溶液の吸光度 特性を示すグラフである。
【0 0 5 7】 図 5は、 実施例 1に係る照射時間による酪酸ク口べタゾン溶液の 吸光度特性変化を示すグラフである。
【0 0 5 8〗 図 6は、 実施例 1に係るレーザ光照射後の経過時間による酪酸ク 口ぺタゾン溶液の吸光度特性変化を示すグラフである。
【0 0 5 9〗 図 7は、 実施例 2に係るレーザ光照射前後のカルパマゼピン溶液 の吸光度特性を示すグラフである。
【0 0 6 0〗 図 8は、 実施例 3に係る界面活性剤の添加濃度とカルバマゼピン 溶液の吸光度特性との関係を示すグラフである。
【0 0 6 1】 図 9は、 実施例 4に係る界面活性剤の添加濃度と酪酸ク口べタゾ ン溶液の吸光度特性との関係を示すグラフである。
【0 0 6 2】 図 1 0は、 微粒子の製造装置の第 2実施形態の構成を概略的に示 すプロック図である。
【0 0 6 3】 図 1 1は、 ί敷粒子の製造方法の他の例を示すフローチャートであ る。
【0 0 6 4】 図 1 2は、 溶媒の代表的な吸収ピーク波長及び吸光度を示す表で ある。
【0 0 6 5】 図 1 3は、 エチルアルコールの吸光度の波長依存性を示すグラフ である。
【0 0 6 6】 図 1 4は、 ポリェチレングリコール 4 0 0の吸光度の波長依存性 を示すグラフである。
【0 0 6 7】 図 1 5は、 グリセロールの吸光度の波長依存性を示すグラフであ る。
【0 0 6 8】 図 1 6は、 微粒子化処理の前後での酪酸ク口ベタゾン懸濁液の吸 光度の波長依存性を示すグラフである。
【0 0 6 9〗 図 1 7は、 微粒子化処理後での酪酸ク口ベタゾン純度のレーザ光 波長依存性を示すグラフである。
【0 0 7 0】 図 1 8は、 赤外波長領域における酪酸ク口ベタゾンの吸光特性を 示すグラフである。
【0 0 7 1〗 図 1 9は、 微粒子化効率のレーザ光波長依存性を示すグラフであ る。
[ 0 0 7 2 ] 図 2 0は、 微粒子の製造装置の変形例の構成を概略的に示すプロ ック図である。
[ 0 0 7 3 ] 図 2 1は、 微粒子の製造方法の他の例を示すフローチャートであ る。
発明を実施するための最良の形態
【0 0 7 4】 以下、 図面とともに本発明による微粒子、 その製造方法、 及び製 造装置、 並びに注射剤及びその製造方法の好適な実施形態について詳細に説明す る。 なお、 図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、 重複する説明を 省略する。 また、 図面の寸法比率は、 説明のものと必ずしも一致していない。
【0 0 7 5】 図 1は、 本発明に係る微粒子製造装置の第 1実施形態を示す概略 図である。 図 1に示すように、 微粒子製造装置 1は、 被処理液 2を収容するため のチャンバ 3を備えている。 チャンバ 3は、 例えば石英で構成されている。 被処 理液 2は、 水 4と、 水 4中に懸濁される難溶性薬剤 5とから構成され、 難溶性薬 剤 5は、 水 4中に極僅かに溶解される溶解物質と、 水 4に溶解されない非溶解物 質 (固形物) とから構成される。
【0 0 7 6】 難溶性薬剤 5としては、 水 4に対して難溶であり且つ吸光帯 (紫 外吸光帯) の少なくとも一部が水自身の紫外吸光帯より長い波長を有する難溶性 薬剤が好ましい。 このような難溶性薬剤 5としては、 例えば副腎皮質ホルモンで ある酪酸クロべタゾンや、 カルバマゼピン、 イブプロフィンが挙げられる。
[ 0 0 7 7 ] チャンバ 3の下部には被処理液 2をチヤンバ 3から抜き出す抜水 管 6が接続されている。 抜水管 6には、 バルブ 8と、 チャンバ 3から棑出される 被処理液 2を透過し被処理液 2から難溶性薬剤 5の非溶解物質を分離する分離フ ィルタ 7とが設置されている。 また、 微粒子製造装置 1は、 吸光帯分析用チャン バ 9を含む照射波長決定用吸光帯測定装置 1 0を備えている。 そして、 抜水管 6 は、 照射波長決定用吸光帯測定装置 1 0の吸光帯分析用チャンバ 9に接続されて いる。 従って、 バルブ 8を開くと、 微粒子製造用チャンバ 3内の被処理液 2の一 部が抜水管 6よりチャンバ 3から抜き出され、 分離フィルタ 7により、 被処理液 2から難溶性薬剤 5の非溶解物質が分離され、 分離フィルタ 7を透過した溶解物 質を含む被処理液 2が吸光帯分析用チヤンバ 9に導入され、 照射波長決定用吸光 帯測定装置 1 0により水 4に溶解した溶解物質の吸光帯が測定されるようになつ ている。
【0 0 7 8】 このように製造装置 1が照射波長決定用吸光帯測定装置 1 0を備 えることにより、 吸光帯が不明な難溶性薬剤 5についても、 チャンバ 3から排出 される被処理液 2を吸光帯分析用チャンバ 9に導入して直ちにその吸光帯を測定 することができる。 また吸光帯分析用チャンバ 9に導入される被処理液 2からは 、 分離フィルタ 7により非溶解物質が確実に除去されるため、 溶解物質の吸光帯 を的確に測定することができる。 なお、 抜水管 6、 分離フィルタ 7、 バルブ 8、 吸光帯測定装置 1 0により照射波長決定用吸光帯測定手段が構成されている。
【0 0 7 9】 また、 微粒子製造装置 1は、 チヤンバ 3内の難溶性薬剤 5にレー ザ光を照射し且つレーザ光の波長を変化させることが可能な波長可変レーザ 1 1 と、 波長可変レーザ 1 1から出射されるレーザ光の照射光強度を調整する照射光 強度調整手段 1 1 aを備えている。 波長可変レーザ 1 1は、 難溶性薬剤 5の吸光 帯より長い波長のレーザ光を出射することが可能である。 照射光強度調整手段 1 1 aとしては、 例えば高い光耐圧のある減衰フィルタや光干渉 ·反射を利用した 光減衰器などが挙げられる。 またチヤンバ 3に対して波長可変レーザ 1 1と反対 側には、 波長可変レーザ 1 1から出射されチャンバ 3を透過するレーザ光の透過 光強度を測定する透過光強度測定装置 1 2が配置されている。 【0 0 8 0】 さらに、 微粒子製造装置 1は、 チャンバ 3内の吸光帯を測定でき るモニタ用吸光帯測定装置 1 4を備えている。 モニタ用吸光帯測定装置 1 4は、 チャンバ 3を収容するボックスと、 ボックス内に設けられる分光光源及び光検出 器とを備えており、 チヤンバ 3内の被処理液 2中の有機化合物の吸光度を測定し て難溶性薬剤の微粒子化状態をモニタすることができるようになっている。 また ボックスには、 波長可変レーザ 1 1から出射されたレーザ光がチヤンバ 3を経て 透過光強度測定装置 1 2に到達するようにレーザ光通過口が形成されている。 こ のようにモニタ用吸光帯測定装置 1 4により被処理液 2の吸光帯変化をモニタす ることは、 被処理液 2への良好なレーザ光照射時間を決定する上で重要であり、 難溶性薬剤 5への必要以上のレーザ光照射を回避できるという役割を果たす。
【0 0 8 1】 さらに、 照射波長決定用吸光帯測定装置 1 0、 波長可変レーザ 1 1、 モニタ用吸光帯測定装置 1 4、 照射光強度調整手段 1 1 a及び透過光強度測 定装置 1 2には、 制御装置 1 3が電気的に接続されている。 制御装置 1 3は、 照 射波長決定用吸光帯測定装置 1 0、 波長可変レーザ 1 1、 モニタ用吸光帯測定装 置 1 4、 照射光強度調整手段 1 1 a及び透過光強度測定装置 1 2を制御する。
【0 0 8 2】 次に、 前述した敫粒子製造装置 1を用いた微粒子の製造方法につ いて、 図 2のフローチャートを用いて説明する。
【0 0 8 3】 まず水 4と難溶性薬剤 5とを混合した後、 撹拌して被処理液 2を 調製することによって被処理液 2を準備する (準備ステップ)。被処理液 2におい ては、 撹拌により、 難溶性薬剤 5の一部が水 4に溶解されて溶解物質となり、 残 りは、 水 4に溶解されずに非溶解物質となる。
【0 0 8 4】 続いて、 微粒子製造用チヤンバ 3内に被処理液 2を導入する (S 2 0 1 )。 このとき、制御装置 1 3により、抜水管 6に設置されたバルブ 8が開か れ、 -被処理液 2の一部がチヤンバ 3から抜水管 6に抜き出される。 そして、 分離 フィルタ 7において、 被処理液 2から難溶性薬剤 5の非溶解物質が分離され、 残 りが溶解液として吸光帯分析用チャンバ 9に導入される ( S 2 0 2 )。 【0 0 8 5】 次に、 吸光帯分析用チヤンバ 9に導入された溶解液中の難溶性薬 剤 5の溶解物質について、 吸光帯測定装置 1 0により吸光帯を測定する。 測定さ れた吸光帯の結果は、 制御装置 1 3に転送され、 制御装置 1 3において、 溶解物 質についての吸光帯の測定結果に基づき、 最長波長 λ。が決定される (S 2 0 3 )。 ここで、 吸光帯の最長波長; L。とは、 吸光度特性において、 吸光帯の長波長側 における山の付け根における波長であって、 より長波長の領域にある可視光領域 の吸光度と比較して、 明らかに溶解物質の電子遷移吸収と思われる吸光度の変化 が確認できる波長のことを言う。
【0 0 8 6】 こうして最長波長; L。が決定された後、 最長波長 λ。よりも長い波 長が、 後述する微粒子製造に用いるレーザ光照射波長 として決定される。 そ して、 制御装置 1 3により、 波長可変レーザ 1 1が制御され、 波長可変レーザ 1 1において、 レーザ光の照射波長が、 上記のようにして決定したレーザ光照射波 長 に設定される (S 2 0 4 )。 このとき、 難溶性薬剤 5が酪酸クロベタゾンで ある場合、 レーザ光照射波長 λ!は、 最長波長 λ。よりも 7 0 n m以上長い波長で あることが好ましい。 この場合、 難溶性薬剤 5における光化学反応をより充分に 防止することができる。
【0 0 8 7】 次に、 レーザ光照射波長; I iはそのままにして、 微粒子製造時の レーザ光の照射光強度を決定する。 まず波長可変レーザ 1 1により、 ί敷粒子製造 用チャンバ 3にレーザ光を照射し、 微粒子製造用チヤンバ 3を透過するレーザ光 の透過光強度を透過光強度測定装置 1 2で測定する。 そして、 微粒子製造用チヤ ンバ 3を透過したレーザ光の透過光強度を透過光強度測定装置 1 2で測定しなが ら、 照射光強度調整手段 1 1 aによりチャンバ 3に照射されるレーザ光の照射光 強度を変える。 こうしてレーザ光の照射光強度とレーザ光の透過光強度との関係 が得られる。 ここで、 難溶性薬剤 5に 2光子吸収が生じる場合には、 レーザ光の 透過光強度の急激な低下が観測される。 よって、 難溶性薬剤 5で 2光子吸収の生 ずる照射光強度を容易に決定することができる。 そして、 制御装置 1 3により照 射光強度調整手段 1 1 aが制御され、 透過光強度調整装置 1 2 'により、 レーザ光 の照射光強度が、 上記のようにして決定した 2光子吸収の生ずる照射光強度より 小さい照射光強度となるように調整される ( S 2 0 5 )。
【0 0 8 8〗 この状態で、 制御装置 1 3により波長可変レーザ 1 1を作動させ 、 波長可変レーザ 1 1によりレーザ光を微粒子製造用チヤンバ 3に照射させる。 これにより、 難溶性薬剤 5が微粒子化されて難溶性薬剤 5の微粒子が製造される ( S 2 0 6、 レーザ光照射ステツプ)。
【0 0 8 9〗 ここで、 難溶性薬剤 5が医薬品の場合は、 微粒子の製造時に、 必 要以上のレーザ光照射を避けるよう処理をすることが求められる。 そのため、 被 処理液 2について、 レーザ光照射時間に対する被処理液 2の吸光度変化をモニタ 用吸光帯測定装置 1 4で測定し(S 2 0 7 )、 目的の処理が達成されたか判断し( S 2 0 8 )、 目的の処理が達成された場合にはレーザ光の照射を止め、 目的の処理 が達成されていない場合にはレーザ光の照射を継続する。 具体的には、 目的の処 理が達成されたかどうかは、 波長可変レーザ 1 1により被処理液 2に対してレー ザ光照射を行い、 モニタ用吸光帯測定装置 1 4で測定された吸光帯変化を測定す ることにより判断し、 吸光帯の時間変化がほとんど見られなくなつた場合に目的 の処理が達成できたものとすればよく、 処理時間は、 レーザ光照射を開始してか ら、 レーザ光照射時間に対して吸光帯がほとんど変化しなくなるまでの時間とす ればよい。
【0 0 9 0】 こうして難溶性薬剤 5を微粒子化することで、 難溶性薬剤 5を擬 似的に水 4中に可溶化させることが可能となる。 また難溶性薬剤 5が微粒子化さ れても、 難溶性薬剤 5の水 4中における可溶化状態を長期間にわたって安定に保 持することができる。 更に、 レーザ光として、 難溶性薬剤 5の吸光帯における最 長波長よりも長い波長のレーザ光が用いられるため、 難溶性薬剤 5にレーザ光が 照射されても、 その光化学反応が充分に防止され、 難溶性薬剤 5の変質が十分に 防止される。 従って、 難溶性薬剤 5の持つ薬効を失うことなくその微粒子を得る ことができる。
【0 0 9 1】 また 2光子吸収の生ずる照射光強度未満の照射光強度を持つレー ザ光を難溶性薬剤 5に照射することにより、 難溶性薬剤 5に生じる光化学反応が より充分に防止され、 難溶性薬剤 5の変質がより充分に防止される。
〖0 0 9 2〗 こうして得られる難溶性薬剤 5の微粒子は、 水に擬似的に可溶化 されているだけでなく、 難溶性薬剤 5の持つ薬効を充分に保持している。 このた め、 難溶性薬剤 5の微粒子化前の形態では評価できなかった物理化学的研究、 ス クリ一二ングなどの候捕化合物の探索、 決定や、 ADME試験 (吸収■分布 ·代謝 -排泄試験)、 動物での前臨床試験における一般毒性、 一般薬理、 薬効薬理、 生化 学的研究、 及び臨床試験などができるようになる。 したがって、 入手した化合物 ライブラリ一や新規に合成された薬物、 あるいは天然物が水に対して難溶であつ たとしても、 投資を無駄にすることがない。 また難溶性薬剤 5の微粒子は、 微粒 子化前の状態に比べて充分に大きな表面積を有している。 したがって、 生体組織 への吸収性が向上し、 生体に対する即効性を有するようになる。
【0 0 9 3】 また上記微粒子製造方法により、 極めて多種類の生体に投与可能 な薬物を得ることができるため、 薬物の投与選択性を飛躍的に拡大することがで きる。
【0 0 9 4】 なお、 上記微粒子製造方法においては、 レーザ光の照射前又は照 射中に、 被処理液 2に薬物の微粒子の安定性を高める分散させる安定化剤を添加 することが好ましい。 このように被処理液 2に安定ィヒ剤を添加すると、 安定化剤 により難溶性薬剤 5が水 4中に安定して分散されるため、 微粒子の製造効率を向 上させることができる。 上記安定化剤は界面活性剤であることが好ましい。 この 場合、 微粒子の製造効率を向上させることができることに加えて、 照射波長より 長い波長のレーザ光を難溶性薬剤 5に照射しても、 難溶性薬剤 5の光化学反応を より充分に防止しながら難溶性薬剤 5の微粒子化が可能となる。
【0 0 9 5〗 安定化剤は、 難溶性薬剤 5を水 4中で分散させる性質を有し且つ 生体に悪影響を与えないものであればよく、このような安定化剤としては、 「医薬 品添加物辞典」、 あるいは 「医薬品添加物ハンドプック」 に記載されているもの、 例えば Tween20, Tween60, TweenSO, Tween85,ソノレビタントリオレエート、 ソノレビタンモノ レゥレート、 ソルビタンモノバルミデート、 ソルビタンモノステ ァレート、 ポリオキシエチレン、 ソルビタンモノパルミテ一卜、 トリエタノール ァミン、 シクロデキス トリン、 アルブミンなどが挙げられる。
【0 0 9 6〗 上述したように薬剤の微粒子化を行う上で界面活性剤を使用する ことは有用であるが、 薬剤の微粒子化を行った後は、 界面活性剤の存在は好まし いとは言えない。 このため、 例えば被処理液 2を希釈して微粒子と界面活性剤と を分離し、 その微粒子の凝集体である凝集微粒子を得ることが好ましい。 ここで 、 凝集微粒子は、 遠心分離等の分離方法により得ることができる。 なお、 微粒子 の製造後に得られる凝集微粒子は、 再分散時における取扱いが容易となる。
【0 0 9 7】 なお、 上述した製造方法においては、 微粒子の製造時に被処理液 2の吸光度変化をモニタ用吸光帯測定装置 1 4で測定し、 目的の処理が達成され た場合にレーザ光の照射を停止するようにしたが、 微粒子の製造前に、 予め被処 理液 2と同一の被処理液についてレーザ光照射による処理時間を決定してもよい 。 処理時間の決定は、 モニタ用吸光帯測定装置 1 4により有機化合物の吸光帯を 測定し、 レーザ光照射を開始してから、 吸光帯の時間変化がほとんど見られなく なるまでの時間とすればよい。 伹し、 微粒子の製造前に予め処理時間を決定して いる場合は、 微粒子の製造時において、 その処理時間が経過した時点でレーザ光 の照射を止めればよく、 微粒子の製造時にモニタ用吸光帯測定装置 1 4で被処理 液 2中の薬剤の微粒子化状態をモニタしなくてもよい。
【0 0 9 8】 次に、 本発明に係る注射剤の製造方法の実施形態について説明す る。
〖0 0 9 9〗 まず上記微粒子製造装置 1を用いて、 注射用水 4に擬似的に可溶 化された難溶性薬剤 5の微粒子を含む液体を製造する。 この液体の製造方法は、 上述した微粒子の製造方法と同様である。 なお、 難溶性薬剤 5のレーザ光照射前 又は照射中に、 被処理液 2に安定ィ匕剤を添カ卩しても良いのは、 上述した微粒子製 造方法と同様である。
【0 1 0 0〗 続いて、 この液体に等張化剤を添加して注射剤を製造する。 ここ で、 等張化剤は、 生体の血液と注射液の浸透圧を等しくするように調整する機能 を有しており、 このような等張化剤としては、 例えばシ 3糖、 生理食塩水などが 挙げられる。
[ 0 1 0 1 ] この製造方法によれば、 難溶性薬剤 5をその光化学反応を充分に 防止しながら注射用水 4に可溶化できる。 このため、 難溶性薬剤 5であっても、 注射剤として製造することができる。 また難溶性薬剤 5が微粒子化されるため、 生体に対して即効性のある注射剤を製造することができる。
【0 1 0 2】 こうして製造される注射剤は、 難溶性薬剤 5の薬効を充分に保持 した薬物微粒子を含んでいるため、 難溶性薬剤 5自体が生体にとって有害でない 限り、 難溶性薬剤 5と同様の薬効を呈することができる。 また、 難溶性薬剤 5が 微粒子化されて微粒子の表面積が増大するため、 その微粒子は、 生体に対して高 い吸収性を有する。 このため、 この注射剤は、 生体に注射した場合に即効性を有 する。
【0 1 0 3】 なお、 上述した製造装置 1においては、 制御装置 1 3が、 照射波 長決定用吸光帯測定装置 1 0、 波長可変レーザ 1 1、 モニタ用吸光帯測定装置 1 4、 照射光強度調整手段 1 1 a及び透過光強度測定装置 1 2を制御しているが、 制御装置 1 3は、 必ずしも必要ではない。 従って、 オペレータが、 上記照射波長 決定用吸光帯測定装置 1 0、 波長可変レーザ 1 1、 モニタ用吸光帯測定装置 1 4 、 照射光強度調整手段 1 1 a及び透過光強度測定装置 1 2を制御するようにして あよい。
【0 1 0 4】 また上記製造装置 1においては、 微粒子製造用チヤンバ 3の材質 が石英となっているが、 チャンバ 3は、 難溶性薬剤 5において 2光子吸収が生じ る照射光強度のレーザ光を、 2光子吸収が生じない照射光強度のレーザ光より大 きく吸収するものであればよく、 必ずしも石英に限られるものではない。 このよ うなチヤンバ 3の材質としては、 石英以外に、 例えば合成石英、 紫外線透過ガラ ス、 紫外線透過高分子 (ポリマー) などが挙げられる。
〖0 1 0 5〗 さらに、 上記実施形態では、 照射波長決定用吸光帯測定装置 1 0 で難溶性薬剤 5の吸光帯を測定するために被処理液 2中の溶媒として水が用いら れているが、 これには限定されない。 エタノール、 プロピレングリコール、 ポリ エチレングリコール等の水溶性の有機溶剤、 あるいは植物油を用いることも可能 である。
【0 1 0 6】 また、 ある薬剤が水に全く溶解しない、 即ち水中でその薬剤の吸 光帯を測定することができない不溶性薬剤である場合には、 その薬剤の一部を溶 解させて吸光帯を測定できるようにするために、 水に代えて、 例えばェチルアル コール、 ァセトン、 ジメチルスルホキシド等の有機溶媒、 又はそれら有機溶媒と 水との混合液を用いて、 別途、 分光光度計によりその吸光帯を測定し、 適切な微 粒子製造用レーザ光照射波長を決定することができる。
【0 1 0 7】 ただし、 有機溶媒を用いると、 水を用いる場合に比べて吸光帯の 最長波長がシフトする傾向がある。 このため、 薬剤の吸光帯を測定する場合には 、 溶媒として有機溶媒と水との混合液を用いることが好ましい。 また薬剤にレー ザ光を照射してその微粒子を製造する場合は、 生体への悪影響を防止する観点か ら、 溶媒として水を用いる必要がある。
【0 1 0 8】 さらに、 上記実施形態では、 薬剤として酪酸ク口ベタゾンゃカル バマゼピン等の難溶性、 あるいは不溶性薬剤が挙げられているが、 これら難溶性 、 あるいは不溶性薬剤に限定されない。
【0 1 0 9】 さらに、 上記実施形態では、 薬物として、 医薬品物質である酪酸 クロベタゾンゃカルバマゼピンが用いられているが、 本発明の微粒子製造方法及 び注射液の製造方法は、 上記医薬品物質のみならず医薬品候補物質 (天然物、 化 合物ライプラリー等)、 あるいは医薬部外品、 化粧品等にも適用可能である。
【01 10】 また、 上記実施形態では、 難溶性薬剤 5の微粒子を製造する場合 に難溶性薬剤 5の吸光帯を測定しているが、 難溶性薬剤 5の吸光帯が予め分かつ ている場合には、 難溶性薬剤 5の吸光帯を測定する必要がない。 このため、 上記 吸光帯測定装置 10、 透過光強度測定装置は不要である。 伹し、 モニタ用吸光帯 測定による適切な照射時間の決定に制御装置 1 3が必要であるため、 モニタ用吸 光帯測定装置 14は必要である。 ここで、 レーザ光照射時に波長可変レーザ 1 1 をそのまま使用しても良いが、 波長可変レーザ 1 1に代えて、 難溶性薬剤 5の吸 光帯よりも長い波長のレーザ光を出射する波長固定レーザを用いてもよい。
【01 1 1】 次に、 実施例により、 本発明の内容をより具体的に説明するが、 本発明は、 この実施例に限定されるものではない。
[01 1 2] (実施例 1 )
【01 1 3】 難溶性薬剤として、 副腎皮質ホルモンである酪酸クロべタゾン ( Clobetasone Butyrate) の微粒子化を試みた。
【01 14】 まず、 酪酸クロベタゾンの粉末を水中に懸濁し、 10分放置後に 1 μιηのメッシュを持つフィルタを通して、 微量に酪酸クロベタゾンの溶け込ん だ溶解液 (酪酸クロべタゾン溶液) を得た。 そして、 この溶解液について汎用型 分光光度計 (HITACHI U-3500) を用いて吸光度特性を測定した。 この溶解液 の吸光度特性を図 3に示す。 なお、 測定に際して光路長は 10 mmとした。 図 3 に示す吸光度特性から、 吸光帯の最長波長え。が 28 O nm付近であることが分 かる。 '
【01 1 5】 次に、 酪酸クロベタゾンの粉末を含む被処理液に 2光子吸収の生 じない照射光強度 ( i= 355 nm, 380 m J / c m 2Pulse, FWHM=4 n s, 2 OH z , 照射時間 1 5分) で継続的にレーザ光を照射した。 このとき、 レーザ光照射波長を 355 nmとしたのは、 図 4に示すように、 355 n m (Y
AG 3倍高調波) の光照射によって、 酪酸クロベタゾンの飽和水溶液では、 照射 前後の吸光度特性に変化がみられず、 最長波長 。より 7 0 n m程度長い波長を 選択すれば、 高強度の照射光でも光化学反応を避けることが可能であると考えた からである。
【0 1 1 6〗 レーザ光照射前後で吸光度特性を測定した結果を図 5に示す。 図 5の破線で示すように、 照射前では酪酸ク口ベタゾン粉末の懸濁による散乱ロス
(波長依存性の無い特性) のみだけが観測されていたが、 図 5の実線及び一点鎖 線で示すように、 照射時間の増加にともなって酪酸ク口ベタゾン自身の吸光度特 性が出現してきた。 これは、 物質固有の性質が溶解液中で観測されている状態で あり、 酪酸クロベタゾンの粒子が微粒子化していることを示している。 なお、 図 5において、 実線は、 レーザ光照射して 1 0分後に測定した吸光度特性であり、. 一点鎖線は、 レーザ光照射して 2 0分後に測定した吸光度特性である。
【0 1 1 7】 またレーザ光照射後に溶解液を観察したところ、 溶解液は透明と なっていた。 これより、 難溶性薬剤である酪酸ク口ベタゾンが水に擬似的に可溶 化されていることが分かった。
【0 1 1 8】 なお、 この微粒子化した溶解液についてレーザ光照射後の吸光度 特性の経時変化を測定したところ、 図 6に示すように 6日後でも微粒子の凝集に よる沈殿が少なく、 比較的安定性が高いことが伺えた。 また図 6に示す処理直後 (一点鎖線) 及び 6 0後 (実線) の紫外吸光カーブが同様であり、 また図 3の溶 解した酪酸ク口べタゾン自身の特性とも同様であることから、 処理後においても 酪酸クロベタゾンに変質が起こっていないと判断できる。 すなわち、 3 5 5 n m
(Y A G 3倍高調波) において、 照射前後の吸光度特性に変化がみられず、 最長 波長 λ。より 7 0 n m程度長い波長を選択すれば、 高強度の照射光でも光化学反 応を避けることが可能であることを示している。 なお、 破線で示す吸光度特性は 、 レーザ光照射前のものである。 ,
〖0 1 1 9〗 以上のように、 酪酸クロベタゾンの微量溶解液の吸光帯測定から 最長波長え。を求め、微粒子化のために、 最長波長え。より長い波長である 3 5 5 n mを選択し、 2光子吸収の生じない照射光強度において微粒子化処理が実現で きることが分かった。 また、 溶解液中では、 微粒子が、 分散した状態で比較的長 い間安定していることも判明した。
[01 20;] (比較例 1 )
[0121 ] レーザ光源として、 248 nmのレーザ光を発する K r一 Fレー ザを用いた以外は実施例 1と同様にして酪酸ク口ベタゾン溶液にレーザ光照射を 行った。 その結果、 レーザ光照射前後における吸光度特性に変化が観測された。 つまりその波長では光化学反応が生じることが分かった。
[0122] (実施例 2)
[0123] 水にカルバマゼピンの粉末を分散させ、 充分に攪拌した後に遠心 分離で水中を浮遊している粒子を取り除き、 カルバマゼピン (carbamazepine) の飽和溶液を調製した。 そして、 光路長を 1mmとした以外は実施例 1と同様に して、 その飽和溶液について紫外吸光度特性を測定した。 結果を図 7の破線で示 す。 図 7に示すように、 カルバマゼピンの紫外吸光度特性においては、 波長 3 2 0 nm以上でほとんど吸収がないことが分かる。
【0124】 続いて、 2 m g Zm 1の濃度となるようにカルバマゼピンを水に 懸濁して懸濁液を調製し、 YAGレーザの 3倍波 (^^= 35511111, 430m j/c m2Pulse, FWHM= 4 n s, 20Hz, 照射時間 1 5分) を懸濁液に照 射したところ、 被処理液が更に濁る状態になり、 結果的に非常に大きな体積の沈 殿物になった。 この沈殿物は、 水分子を多く含んだ状態で微粒子が凝集沈殿した ものである。 この一部を取り出し純水に懸濁したところ、 処理前のサンプルでは なかな力溶解しなかったものが、 瞬時に溶解した。 これは、 サンプルがレーザに よって粉砕され、 粒径が小さくなり溶解性が向上したために生じた現象と考えら れる。 このことから、 レーザ光照射によりカルバマゼピンが粉碎され、 粒径が小 さくなつたものと考えられる。
[0125] 次に、 処理後の沈殿物を飽和に近い状態まで水中に溶解させ、 そ の溶解液について紫外吸光度特性を測定した。 結果を図 7の実線で示す。 図 7に 示すように、 レーザ光照射前後の溶解液についての紫外線吸光度特性を比較する と、 両者の紫外線吸収特性は非常に類似しており、 光照射による光化学反応は問 題になるほど生じていないことが分かる。
【0126〗 以上のことから、 カルバマゼピンの光粉砕が、 上記レーザ光照射 条件で、 光化学反応なしに達成できることが分かった。
[01 27] (実施例 3 )
【0128】 カルバマゼピンを水に懸濁して lmg/m 1の濃度の懸濁液を 2 m l用意し、 これを石英角セル (1 cmX l cm) に入れて、 微粒子化のための レーザ光照射を行った。 レーザ光照射は YAGレーザの 3倍波 (ぇ 1=355 n m, 3 10m J/cm2Pulse, FWHM=4 n s, 20 H z ) で 1 5分間行った 。 レーザ光照射後、 カルバマゼピンについて、 実施例 1で用いた汎用型分光光度 計により吸光度 (A1) を測定した。 結果を図 8の破線で示す。
【0129】 続いて、 界面活性剤を添加した場合の微粒子化に及ぼす影響を調 查した。 界面活性剤としては Tween20を使用し、 原液の 1000分の 1、 100 分の 1、 10分の 1の濃度となるように水に希釈した界面活性剤液を作製し、 上 記懸濁液 1. 9 m 1と各濃度の界面活性剤液 0. 1m lを混合し、 それぞれ 2 m 1の被処理液とした。 そして、 上記と同様にして各被処理液にレーザ光を照射し 、 レーザ光照射後の界面活性剤の濃度と、 推定される吸光度 (A1) との関係を 求めた。 結果を図 8に示す。 図 8中、 実線が iL 000分の 1の濃度の界面活性剤 液を使用した被処理液、 一点鎖線が 100分の 1の濃度の界面活性剤液を使用し た被処理液、 二点鎖線が 10分の 1の濃度の界面活性剤液を使用した被処理液の 吸光度特性を示す。 なお、 点線は、 レーザ光照射前の懸濁液の吸光度特性を示す 〖0130〗 なお、 上記汎用型分光光度計で測定した吸光度の測定値 (R) は 、 微粒子化されたカルバマゼピン自身の光吸収 (Al)、 光散乱 (S)、 及び添加 した界面活性剤の光吸収 (A 2 ) を含む。 A 1は、 カルバマゼピンの微粒化状態 を示しており、 光吸収が大き V、ほどカルバマゼピンの平均粒径が小さいと推定さ れる。 そこで、 処理後のカルバマゼピンの粒径を評価するため、 図 8における縦 軸の吸光度は、 各波長の光散乱による吸光度の増大分( S )が力ルバマゼピンの吸 収の無い 5 0 0 n mの測定ィ直 ( S 1 ) であると近似し、 A 1 R—A 2— S 1の 演算を用いて吸光度の測定値 Rを吸光度 A 1に補正して表示してある。
【0 1 3 1〗 図 8に示すように、 界面活性剤の添加濃度が高いほど、 力ルバマ ゼピン自身の吸光度が大きく出現する傾向があることから、 界面活性剤の添加に は、 力ルバマゼピンの微粒子化効率を向上させる効果があると推測される。 また 、 このカルバマゼピンの飽和溶解液の吸光度特性よりも、 微粒子化処理された力 ルバマゼピンの吸光度が大きいことから、 微粒子化処理により、 カルバマゼピン の粒径がサブミクロン以下の大きさになっているものと推測される。 更に、 界面 活性剤を添加していない場合、 及び界面活性剤を添加した場合のいずれの場合も 、 吸光度特性カーブの形状が互いに類似していることから、 レーザ光照射により 光化学反応は起こっていないものと考えられる。
【0 1 3 2】 (実施例 4 )
【0 1 3 3】 カルバマゼピンに代えて酪酸ク口ベタゾンを用いた以外は実施例 3と同様にして被処理液にレーザ光を照射した。 そして、 実施例 3と同様にして 、 レーザ光照射後の吸光度特性を測定した。 結果を図 9に示す。 図 9中、 実線が 1 0 0 0分の 1の濃度の界面活性剤液を使用した被処理液、 一点鎖線が 1 0 0分 の 1の濃度の界面活性剤液を使用した被処理液、 二点鎖線が 1 0分の 1の濃度の 界面活性剤液を使用した被処理液の吸光度特性を示す。 なお、 破線は、 界面活性 剤を使用しなレ、被処理液の吸光度特性を示す。
【0 1 3 4】 図 9に示すように、 この被処理液では、 酪酸ク口ベタゾンの微粒 子化を行うために 4 0 0 m J Z c m 2Pulse程度のレーザ光照射強度を必要とす るところ、 実際のレーザ光照射強度は 3 1 O m J / c m 2Pulseであるため、 界面 活性剤の添加がない場合にほとんど酪酸ク口べタゾン自身の光吸収、 つまり微粒 子化が観測されない。 しかしながら、 界面活性剤の添加濃度を高くするほど、 光 吸収が大きく出現する傾向にあることから、 粒径がサブミク口ン以下の微粒子が 生成されていると推測される。
【0 1 3 5】 以上のことから、 界面活性剤の添加に、 この酪酸クロベタゾンに おレヽて微粒子化処理の効率を向上させる効果があることは実施例 3のカルバマゼ ピンと同様であるが、 界面活性剤の添加には更に、 微粒子化現象の生じる光照射 強度のしきい値を低くする効果があると考えられる。 微粒子化現象のしき 、値を 低くすることは、 特に光化学反応を避けたい場合に有用である。
【0 1 3 6】 本発明による微粒子の製造方法及び製造装置についてさらに説明 する。
【0 1 3 7】 図 1 0は、 本発明による微粒子の製造装置に関する第 2実施形態 の構成を概略的に示すブロック図である。 図 1 0に示すように、 本微粒子製造装 置 6は、 被処理液 5 2を収容するためのチャンバ 5 3を備えている。 チャンバ 5 3は、 例えば石英で構成されている。 被処理液 5 2は、 溶媒である水 5 4と、 水
5 4中に懸濁される有機化合物である難溶性薬物 5 5とから構成されている。 ま た、 難溶性薬物 5 5は、 水 5 4中に極僅かに溶解される溶解物質と、 水 5 4に溶 解されない非溶解物質 (固形物) とから構成される。 難溶性薬物 5 5としては、 例えば、 ステロイド外用薬である酪酸クロべタゾンや、 抗てんかん薬であるカル バマゼピン、 鎮痛薬であるイブプロフェン等が挙げられる。
【0 1 3 8】 また、'微粒子製造装置 6は、 チャンバ 5 3内の被処理液 5 2に所 定波長のレーザ光を照射するレーザ光源 6 1を備えている。 レーザ光源 6 1は、 微粒子化対象の有機化合物である薬物 5 5の吸光帯とは異なる波長 (好ましくは 吸光帯よりも長い波長) であって、 溶媒である水 5 4に対して作用する波長 (好 ましくは水 5 4が吸収する波長) のレーザ光を出射することが可能な光源である 。 このレーザ光源 6 1としては、 レーザ光に設定すべき波長があらかじめ分かつ ている場合には、 波長固定レーザ光源を用いることができる。 あるいは、 レーザ 光源 6 1として、 レーザ光の波長を変化させることが可能な波長可変レーザ光源 を用いても良い。 この場合、 有機化合物の吸光帯や、 溶媒に対して作用する光の 波長などに基づき、 適切な波長のレーザ光を適宜に設定して照射することができ
【0 1 3 9】 また、 レーザ光源 6 1に対し、 必要に応じて、 レーザ光源 6 1か ら出射されるレーザ光の照射光強度を調整する照射光強度調整手段が設けられる 。 照射光強度調整手段としては、 例えば高い光耐圧のある減衰フィルタや光干渉 -反射を利用した光減衰器などが挙げられる。 図 1 0においては、 レーザ光源 6 1とチャンバ 5 3との間に、 減衰フィルタなどの照射光強度調整器 6 1 aを配置 した例を示している。 またチャンバ 5 3を挟んでレーザ光源 6 1の反対側の所定 位置には、 レーザ光源 6 1から出射されチャンバ 5 3を透過するレーザ光の透過 光強度を測定する透過光強度測定装置 6 2が配置されている。
【0 1 4 0】 さらに、 微粒子製造装置 6は、 チャンバ 5 3内の吸光帯を測定で きるモニタ用吸光帯測定装置 6 4を備えている。 モニタ用吸光帯測定装置 6 4は 、 チャンバ 5 3を収容するボックスと、 ボックス内に設けられる分光用光源及び 光検出器とを備えており、 チャンバ 5 3内の被処理液 5 2での吸光度を測定して 難溶性薬物の微粒子化状態をモニタすることができるようになっている。
【0 1 4 1】 このように、 モニタ用吸光帯測定装置 6 4で被処理液 5 2の吸光 帯変化をモニタすることにより、 薬物 5 5の微粒子化状態がモニタされる。 この とき、 微粒子化状態に応じてレーザ光照射の停止 ·継続を決定するなど、 被処理 液 5 2への良好なレーザ光照射時間や照射条件を決定する際に参照することがで き、 難溶性薬物 5 5への必要以上のレーザ光照射を回避できるという役割を果た す。 また、 この測定装置 6 4のボックスには、 レーザ光源 6 1から出射されたレ 一ザ光がチヤンバ 5 3を経て透過光強度測定装置 6 2に到達するようにレーザ光 通過口または通過窓が形成されている。 なお、 図 1 0においては、 測定装置 6 4 の具体的な構成について図示を省略している。
【0 142】 レーザ光源 61、 モニタ用吸光帯測定装置 64、 照射光強度調整 器 61 a、 及び透過光強度測定装置 62には、 コンピュータなどからなる制御装 置 63が電気的に接続されている。 制御装置 63は、 上記した製造装置 6の各部 の動作を制御する。
[0143] 次に、 図 10に示した微粒子製造装置 6を用いた本発明による微 粒子の製造方法について、 図 1 1のフローチヤ一トを用いて説明する。
【0 144】 まず水 54と難溶性薬物 55とを混合した後、 撹拌して被処理液 52を調製することによつて被処理液 52を準備する。 被処理液 52においては 、 撹拌により、 難溶性薬物 55の一部が水 54に溶解されて溶解物質となり、 残 りは、 水 54に溶解されずに非溶解物質となる。 続いて、 微粒子製造用チャンバ 53内に被処理液 52を導入する (ステップ S 701)。 そして、有機化合物であ る薬物 55の吸光帯とは異なる波長であって、 溶媒である水 54に対して作用す る波長により、 レーザ光源 61から被処理液 52へと照射するレーザ光の波長 λ 2を設定する (S 702)。 このレーザ光の波長としては、 好ましくは薬物 5 5の 吸光帯よりも長い波長、 さらに好ましくは赤外域の波長、 が選択される。
【0145】 溶解物質である薬物 5 5の吸光帯の最長波長 λ。がわかっている 場合には、 その波長; I。を参照して、微粒子製造に用いるレーザ光の波長; L2を決 定することが好ましい。 例えば、 波長 λ 2は、 最長波長 I。よりも長い波長であつ て、 溶媒である水 54に対して作用する波長が選択される。
【0146】 そして、 制御装置 63によってレーザ光源 61が制御され、 レー ザ光源 6 1において、 照射するレーザ光波長が上記のようにして決定したレーザ 光波長 L 2に設定される。 また、 波長 λ 2があらかじめ設定されている場合には、 その波長え 2のレーザ光を出射する波長固定レーザ光源をレーザ光源 6 1として も良レヽ。
[0 1471 ここで、 レーザ光照射波長; I 2は、 900 nm以上の波長である ことが好ましい。 あるいは、 レーザ光照射波長 λ 2は、 溶媒の吸光帯の波長であ ることが好ましい。 これにより、 後述するように、 溶媒に対するレーザ光の作用 による有機化合物の微粒子化を充分に実現しつつ、 溶媒中の有機化合物における 光化学反応の発生を確実に防止することができる。
〖0 1 4 8〗 次に、 レーザ光照射波長え 2はそのままにして、 微粒子製造時の レーザ光の照射光強度を決定する ( S 7 0 3 )。 まずレーザ光源 6 1により、微粒 子製造用チャンバ 5 3にレーザ光を照射し、 微粒子製造用チャンバ 5 3を透過す るレーザ光の透過光強度を透過光強度測定装置 6 2で測定する。 そして、 微粒子 製造用チャンバ 5 3を透過したレーザ光の透過光強度を透過光強度測定装置 6 2 で測定しながら、 照射光強度調整器 6 1 aによりチャンバ 5 3に照射されるレー ザ光の照射光強度を変える。 こうしてレーザ光の照射光強度とレーザ光の透過光 強度との関係が得られる。
【0 1 4 9】 ここで、 難溶性薬物 5 5に 2光子吸収が生じる場合には、 レーザ 光の透過光強度の急激な変化が観測される。 よって、 上記のように照射光強度と 透過光強度との関係を測定することにより、 難溶性薬物 5 5で 2光子吸収が生じ ない照射光強度を容易に決定することができる。 そして、 制御装置 6 3により照 射光強度調整器 6 1 aが制御され、 レーザ光の照射光強度が、 上記のようにして 決定した 2光子吸収が生じる照射光強度より小さい照射光強度となるように調整 される。
【0 1 5 0】 有機化合物に 2光子吸収が生じる照射光強度を持つレーザ光を薬 物 5 5などの有機化合物に照射した場合、 光化学反応を起こさせない波長のレー ザ光を用いたにも関わらず、 2光子吸収によつて有機化合物に光化学反応が生じ る場合がある。 これに対して、 2光子吸収が生じる照射光強度未満の照射光強度 を持つレーザ光を有機化合物に照射することで、 有機化合物における光化学反応 をより確実に防止することができる。
[ 0 1 5 1 ] この状態で、 制御装置 6 3によりレーザ光源 6 1を作動させ、 レ 一ザ光源 6 1から出射された波長; L 2のレーザ光を微粒子製造用チャンバ 5 3に 照射させる。 これにより、 チャンバ 5 3内の被処理液 5 2において、 難溶性薬物 5 5が微粒子化され、 難溶性薬物 5 5の微粒子が製造される ( S 7 0 4 )。
【0 1 5 2〗 ここで、 難溶性薬物 5 5が医薬品の場合は、 微粒子の製造時に、 必要以上のレーザ光照射を避けるよう処理をすることが求められる。 そのため、 被処理液 5 2について、 レーザ光照射時間に対する被処理液 5 2の吸光度変化を モニタ用吸光帯測定装置 6 4で測定することによって微粒子化状態をモニタし、 目的の処理が達成されたか判断する。 そして、 目的の処理が達成された場合には レーザ光の照射を止め、 目的の処理が達成されていなレ、場合にはレーザ光の照射 を継続する (S 7 0 5、 S 7 0 6 )。
【0 1 5 3】 具体的には、 目的の処理が達成されたかどうかは、 レーザ光源 6 1により被処理液 5 2に対してレーザ光照射を行い、 モニタ用吸光帯測定装置 6 4で測定された吸光帯変化を測定することにより判断し、 吸光帯の時間変化がほ とんど見られなくなった場合に目的の処理が達成できたものとすればよく、 処理 時間は、 レーザ光照射を開始してから、 レーザ光照射時間に対して吸光帯がほと んど変化しなくなるまでの時間とすればよい。
【0 1 5 4】 本実施形態による微粒子の製造方法及び製造装置の効果について 説明する。
【0 1 5 5】 上記した微粒子の製造方法及び製造装置によれば、 有機化合物の 吸光帯とは異なり、 水 5 4などの溶媒に作用する波長 (好ましくは溶媒が吸収す る波長) のレーザ光を照射して、 有機化合物の微粒子化を実現している。 これに より、 溶媒中の有機化合物における光化学反応の発生を充分に防止しつつ、 有機 化合物を微粒子化することができる。 特に、 有機化合物がその一部のみ溶媒に溶 解するもの、 すなわち、 溶媒に難溶であるか、 もしくは溶媒に不溶なものである 場合には、 レーザ光照射を用いて有機化合物を微粒子化することにより、 有機化 合物を、 溶媒に対して擬似的に可溶化させることが可能となる。 したがって、 難 溶または不溶の有機化合物の微粒子を含む液体を製造することができる。
【0 1 5 6】 すなわち、 上記した実施形態では、 難溶性薬物 5 5をレーザ光照 射によつて微粒子化することで、 難溶性薬物 5 5が擬似的に水 5 4中に可溶化さ れる。 また難溶性薬物 5 5が微粒子化されても、 難溶性薬物 5 5の水 5 4中にお ける可溶化状態を長期間にわたつて安定に保持することができる。
【0 1 5 7〗 さらに、 レーザ光として、 難溶性薬物 5 5の吸光帯とは異なる波 長のレーザ光を用い、 レーザ光を薬物 5 5に直接に作用させるのではなく、 その レーザ光を溶媒である水 5 4に作用させることによって薬物 5 5を微粒子化して いる。 したがって、 水 5 4中の薬物 5 5における光化学反応の発生を充分に防止 して、 薬物 5 5の持つ薬効を失うことなく微粒子化を達成することができる。
【0 1 5 8】 また、 被処理液 5 2中に含まれている薬物 5 5などの有機化合物 の吸光特性に関係なく、 水 5 4などの溶媒に作用 (例えば吸収) がある波長のレ 一ザ光だけで微粒子化処理が実現できる。 この場合、 有機化合物の吸光帯の波長 に合わせてレーザ光波長を設定する方法等に比べて、 微粒子製造装置 6に使用さ れる光源の波長が限定できる。 したがって、 微粒子製造に適した特定波長のレー ザ光源を開発でき、 大量処理や処理コス トの面で有用である。 このような光源と しては、 例えば半導体レーザ光源が考えられる。 例えば、 溶媒が水であれば、 有 機化合物にかかわらず、 水の吸収帯の波長、 またはそれに基づいて設定された波 長のレーザ光を出射するレーザ光源を用いることができる。
【0 1 5 9】 具体的なレーザ光波長については、 9 0 0 n m以上の波長とする ことにより、 有機化合物における光化学反応による不純物の生成が充分に抑制さ れる条件で、 有機化合物の微粒子化処理を実現することができる。 また、 レーザ 光波長を溶媒の吸光帯の波長とすることにより、 レーザ光を溶媒に対して充分に 吸収させて、 高効率で微粒子化を達成することができる。
〖0 1 6 0〗 また、 難溶性物質または不溶性物質であっても、 上記した製造方 法及び装置によって製造される本発明による微粒子によれば、 擬似的に可溶化さ せることが可能となる。
【0 1 6 1】 薬物などの有機化合物の溶媒としては、 上記したように水を用い ることが好ましい。 あるいは、 水以外の溶媒を用いても良い。 そのような溶媒と しては、 1価アルコールであるエチルアルコール、 2価アルコールであるグリコ ール類 (プロピレングリコール、 ポリエチレングリコール等)、 3価アルコールで あるグリセロールなどがある。 また、 植物油であるダイズ油、 トウモロコシ油、 ゴマ油、 ラッカセィ油なども溶媒として用いることができる。 これらの溶媒は、 注射剤として使用する場合に、 非水性注射剤の有機溶媒として好適に用いること ができる。
【0 1 6 2】 図 1 2は、 溶媒の代表的な吸収ピーク波長 (n m) 及び吸光度 ( 全て、 光路長 1 c m換算の値を吸光度としている) を示す表である。 この表では 、 医薬品として添加が認可されている溶媒である水、 ダイズ油、 トウモロコシ油 、 ェチルァノレコーノレ、 ポリエチレングリコーノレ 4 0 0、 及びグリセローノレについ て吸収ピーク波長及び吸光度を示している。 また、 図 1 3、 図 1 4、 図 1 5は、 エチルアルコール、 ポリエチレングリコーノレ 4 0 0、 及びグリセロールの吸光度 の波長依存性を示すグラフである。
【0 1 6 3】 これらの吸収ピーク波長は、 いずれも 9 0 0 n m以上であり、 こ のようなピーク波長、 あるいはその近傍の波長にレーザ光の波長; L 2を設定する ことにより、 レーザ光を溶媒に充分に吸収させて、 溶媒中にある有機化合物を高 効率で微粒子化することができる。 例えば、 溶媒として水を用いている場合、 レ 一ザ光の波長え 2を 1 4 5 0 n m、 1 9 4 0 n mなどに設定することが好ましい
【0 1 6 4】 ここで、 上記した微粒子化処理においては、 被処理液 5 2を冷却 しつつレーザ光を被処理液 5 2に照射することが好ましい。 これにより、 レーザ 光を照射した際の熱分解による薬物 5 5などの有機化合物の劣化等を防止するこ とができる。 【0 1 6 5】 また、 上記したように、 2光子吸収が生じる照射光強度未満の照 射光強度を持つレーザ光を被処理液 5 2に照射することが好ましい。 これにより 、 難溶性薬物 5 5に生じる光化学反応がより充分に防止され、 難溶性薬物 5 5の 変質がより充分に防止される。
〖 0 1 6 6〗 また、 被処理液 5 2中に含まれる薬物 5 5などの有機化合物は、 その融点が 2 5 0 °C以下であることが好ましい。 このように融点が低い有機化合 物は、 レーザ光が溶媒に対して作用することによって微粒子化しやすい。 したが つて、 レーザ光照射による有機化合物の微粒子化を好適に実現することができる 【0 1 6 7】 すなわち、 レーザ光を溶媒に作用させることによって有機化合物 を微粒子化する上記方法では、 有機化合物での分子間力が強い場合には、 有機化 合物を微粒子化することが難しい。 これに対して、 融点が 2 5 0 °C以下の有機化 合物は、 比較的分子間力が弱い物質であり、 したがって、 レーザ光照射によって 好適に微粒子化することができる。
【0 1 6 8】 上記のようにして得られる難溶性薬物 5 5の微粒子は、 水 5 4に 擬似的に可溶化されているだけでなく、 難溶性薬物 5 5の持つ薬効を失うことな く充分に保持している。 このため、 難溶性薬物 5 5の微粒子化前の形態では評価 できなかった物理化学的研究、 スクリーニングなどの候補化合物の探索、 決定や 、 A DM E試験 (吸収 ·分布 ·代謝 ·排泄試験)、 動物での前臨床試験における一 般毒性、 一般薬理、 薬効薬理、 生化学的研究、 及び臨床試験などができるように なる。
[ 0 1 6 9 ] したがって、 入手した化合物ライプラリーや新規に合成された薬 物、 あるいは天然物が水に対して難溶であったとしても、 投資を無駄にすること がない。 また難溶性薬物 5 5の微粒子は、 微粒子化前の状態に比べて充分に大き な表面積を有している。 したがって、 生体組織への吸収性が向上し、 生体に対す る即効性を有するようになる。 また上記微粒子製造方法により、 極めて多種類の 生体に投与可能な薬物を得ることができるため、 薬物の投与選択性を飛躍的に拡 大することができる。 また、 このような微粒子化処理は、 薬物以外の有機化合物 に対しても有効である。
【0 1 7 0】 なお、 上記した製造方法においては、 レーザ光の照射前または照 射中に、 被処理液 5 2において薬物の微粒子を安定して分散させる安定化剤を添 加することが好ましい。 このように被処理液 5 2に安定化剤を添加すると、 安定 化剤により難溶性薬物 5 5が水 5 4中に安定して分散されるため、 微粒子の製造 効率を向上させることができる。 上記安定化剤は界面活性剤であることが好まし い。 この場合、 微粒子の製造効率を向上させることができる。
【0 1 7 1】 安定化剤は、 難溶性薬物 5 5を水 5 4中で分散させる性質を有し 、 かつ生体に悪影響を与えないものであればよく、 このような安定化剤としては 、 「医薬品添加物辞典」、 あるいは 「医薬品添加物ハンドプック」 に記載されてい るもの、 例えばポリソルベート類、 ソルビタンエステル類、 トリエタノールアミ ン、 シクロデキストリン、 アルブミン等が挙げられる。
【0 1 7 2】 なお、 上述した製造方法においては、 微粒子の製造時に被処理液 5 2の吸光度変化をモニタ用吸光帯測定装置 6 4で測定し、 目的の処理が達成さ れた場合にレーザ光の照射を停止するようにしたが、 微粒子の製造前に、 あらか じめ被処理液 5 2と同一の被処理液についてレーザ光照射による処理時間を決定 してもよい。 処理時間の決定は、 上記したように、 モニタ用吸光帯測定装置によ り有機化合物の吸光帯を測定し、 レーザ光照射を開始してから、 吸光帯の時間変 化がほとんど見られなくなるまでの時間とすればよい。 ただし、 微粒子の製造前 にあらかじめ処理時間を決定している場合は、 微粒子の製造時において、 その処 理時間が経過した時点でレーザ光の照射を止めればよい。 したがって、 このよう な場合には、 モニタ用吸光帯測定装置 6 4を設置せず、 微粒子の製造時に測定装 置 6 4で被処理液 5 2中の薬物の微粒子化状態をモニタしなくてもよい。
[ 0 1 7 3 ] 次に、 本発明に係る注射剤の製造方法の実施形態について説明す る。
【0 1 7 4】 まず、 図 1 0に示した微粒子製造装置 6を用いて、 注射用水 5 4 に擬似的に可溶化された難溶性薬物 5 5の微粒子を含む液体を製造する。 この液 体の製造方法は、 上述した微粒子の製造方法と同様である。 なお、 難溶性薬物 5 5のレーザ光照射前または照射中に、 被処理液 5 2に安定化剤を添加しても良い のは、 上述した微粒子製造方法と同様である。
【0 1 7 5】 続いて、 この液体に等張化剤を添加して注射剤を製造する。 ここ で、 液体に添加される等張化剤は、 生体の血液と注射液の浸透圧を等しくするよ うに調整する機能を有しており、 このような等張化剤としては、 例えばショ糖、 生理食塩水などが挙げられる。 なお、 等張化剤の存在下で難溶性薬物の微粒子を 製造しても良い。
【0 1 7 6】 このような製造方法によれば、 難溶性薬物 5 5をその光化学反応 を充分に防止しながら注射用水 5 4に可溶化できる。 このため、 難溶性薬物 5 5 であっても、 注射剤として製造することができる。 また難溶性薬物 5 5が微粒子 化されるため、 生体に対して即効性のある注射剤を製造することができる。
【0 1 7 7】 こうして製造される注射剤は、 難溶性薬物 5 5の薬効を充分に保 持した薬物微粒子を含んでいるため、 難溶性薬物 5 5と同様の薬効を呈すること ができる。 また、 難溶性薬物 5 5が微粒子化されて微粒子の表面積が増大するた め、 その微粒子は、 生体に対して高い吸収性を有する。 このため、 この注射剤は 、 生体に注射した場合に即効性を有する。
【0 1 7 8】 なお、 上述した製造装置 6においては、 制御装置 6 3が、 レーザ 光源 6 1、 モニタ用吸光帯測定装置 6 4、 照射光強度調整器 6 1 a、 及び透過光 強度測定装置 6 2を制御しているが、 制御装置 6 3は、 必ずしも必須ではな 、。 したがって、 操作者が、 上記レーザ光源 6 1、 モニタ用吸光帯測定装置 6 4、 照 射光強度調整器 6 1 a、 及び透過光強度測定装置 6 2を制御するようにしてもよ い。 【0 1 7 9】 また、 上記製造装置 6においては、 微粒子製造用チヤンバ 5 3の 材質が石英となっているが、 チャンバ 5 3は、 必ずしも石英に限られるものでは ない。 ただし、 このチャンバ 5 3の材質としては、 難溶性薬物 5 5において 2光 子吸収が生じる照射光強度のレーザ光を、 2光子吸収が生じない照射光強度のレ 一ザ光より大きく吸収するものを用いることが好ましい。 このようなチャンバ 5 3の材質としては、 石英以外に、 例えばシリコン等の半導体基板によるチヤンバ 、 合成石英、 ガラス、 高分子 (ポリマー) などが挙げられる。
【0 1 8 0〗 さらに、 照射波長決定用吸光帯測定装置を用いて難溶性薬物 5 5 の吸光帯を測定する場合には、 そのために被処理液 5 2中の溶媒として水が用い られることが好ましいが、 これには限定されない。 このような溶媒としては、 上 述したように、 エチルアルコール等の水溶性の有機溶剤、 あるいは植物油を用い ることも可能である。
【0 1 8 1】 また、 ある薬物が水に全く溶解しない、 即ち水中でその薬物の吸 光帯を測定することができない不溶性薬物である場合には、 その薬物の一部を溶 解させて吸光帯を測定できるようにするために、 水に代えて、 例えばェチルアル コール、 アセトン、 ジメチルスルホキシド等の有機溶媒、 又はそれら有機溶媒と 水との混合液を用いて、 別途、 分光光度計によりその吸光帯を測定し、 適切な微 粒子製造用レーザ光照射波長を決定することができる。
【0 1 8 2】 ただし、 有機溶媒を用いると、 水を用いる場合に比べて吸光帯の 最長波長がシフトする傾向がある。 このため、 薬物の吸光帯を測定する場合には 、 溶媒として有機溶媒と水との混合液を用いることが好ましい。 また薬物にレー ザ光を照射してその微粒子を製造する場合は、 生体への悪影響を防止する観点か ら、 溶媒として水などの所定の溶媒を用いる必要がある。
[ 0 1 8 3 ] また、 上記実施形態では、 薬物として酪酸ク口ベタゾンゃ力ルバ マゼピン等の難溶性、 あるいは不溶性薬物が挙げられているが、 これら難溶性、 あるいは不溶性薬物に限定されない。 さらに、 上記実施形態では、 薬物として、 医薬品物質である酪酸ク口ベタゾンゃカルバマゼピンが用いられているが、 本発 明の微粒子製造方法及ぴ注射液の製造方法は、 上記医薬品物質のみならず医薬品 候補物質 (天然物、化合物ライブラリ一等)、 あるいは医薬部外品、 化粧品等にも 適用可能である。
〖0184〗 次に、 実施例により、 本発明の内容をより具体的に説明するが、 本発明は、 この実施例に限定されるものではない。
【0185】 本実施例においては、 難溶性薬物として、 副腎皮質ホルモンであ る酪酸クロべタゾン (Clobetasone B tyrate) の微粒子化を試みた。 酪酸クロべ タゾン粉末を濃度 0. 5mg/m 1で超音波を用いて水中に 10分間懸濁した後 、 得られた懸濁液 (酪酸ク口ベタゾン懸濁液) 3 m 1を石英製で 1 c mX 1 c m
X4 cmの角セルに入れた。 また、 角セル中の懸濁液に均等なレーザ光照射が可 能なように、 液を攪拌するための攪拌マグネットスティックを入れた。 懸濁液の 温度は、 温度依存性に関する実験以外では、 すべて室温 25 °Cとした。
【0186】 また、 本実施例では、 レーザ光照射による微粒子化及び光化学反 応の波長依存性を調査する必要性から、 連続的に波長可変な OPOパラメトリツ ク発振器を微粒子化のための光源として用いた。 照射レーザ光のパルス幅は FW HM4 n s、 繰返し周波数は 10 H zとした。
【0187】 図 16は、 上述した方法を用いた微粒子化処理の前後での酪酸ク 口べタゾン懸濁液の吸光度の波長依存性を示すグラフである。 このグラフにおい て、 横軸は光の波長 (nm) を、 縦軸は懸濁液の吸光度を示している。 また、 グ ラフ Aはレーザ光照射前の吸光特性を示し、 グラフ Bはレーザ光照射後 (微粒子 化処理後) の吸光特性を示している。
【0188】 グラフ Aに示すように、 微粒子化処理前の酪酸クロべタゾン懸濁 液では、 その吸光特性は、 ほとんど光散乱損失によるものとなり、 波長依存性が 小さい平坦な吸光特性となっている。 この懸濁液に対し、 酪酸クロべタゾンを微 粒子化するため、 波長 1 06411 m、 パルス当たりの照射光強度 1 700m J/ cm2の YAGパルスレーザ光を 1時間照射した。 この照射処理後では、 グラフ Bに示すように、 酪酸クロべタゾン自体の吸光特性が出現するようになった。 こ の現象は、 懸濁液の微粒子化が、 サブマイクロメ一ターオーダーまで進行したこ とを示している。
【0189】 次に、 レーザ光の照射波長を変えて実験を行うとともに、 高速液 体クロマトグラフィー (HPLC) を用いて、 レーザ光照射による微粒子化処理 後の酪酸クロベタゾンの純度 (SIGMA製、最低純度 98%を使用) を測定し、 そ のレーザ光波長依存性を調べた。 各波長でのレーザ光照射強度は、 図 16に示し たようなサブマイクロノ一タオーダーの微粒子化が観測できるレベルに選定し、 1時間のレーザ光照射処理を行った。
【0190】 図 17は、 微粒子化処理後での酪酸ク口ベタゾン純度のレーザ光 波長依存性を示すグラフである。 このグラフにおいて、 横軸は懸濁液に照射する レーザ光の波長 (nm) を、 縦軸は酪酸クロべタゾン純度 (°/0) を示している。 【0191】 なお、 照射するレーザ光の波長が 500〜 800 n mの範囲では 、 非常に高出力の光強度でなければ酪酸ク口ベタゾンの微粒子化を行うことがで きない。 そのため、 グラフが示すように、 酪酸クロべタゾンの一部が光化学反応 を引き起こし、 大幅な純度の劣化が観測された。 また、 波長 500 nm以下では 、 微粒子化処理に必要な光強度が比較的小さいため劣化も小さいが、 1光子あた りのエネルギーが大きく、 また酪酸ク口ベタゾンがレーザ光を直接吸収するため 、 同様に光化学反応が起きる。 その結果、 劣化が起こり薬物処理に許容される不 純物の生成率とはなっていない。
【0192】 これに対して、 図 17に示すように、 波長 90 Onm以上の赤外 レーザ光を用いて微粒子化処理を行うことにより、 薬物などの有機化合物におけ る光化学反応の発生がほとんどない条件で微粒子化処理を実現することが可能で ある。 なお、 光強度が高すぎると熱分解による純度の劣化も考えられるので、 そ のような場合には、 被処理液を冷却することによってその温度を低くすることが 好ましい。
【0 1 9 3】 図 1 8は、 赤外波長領域における酪酸ク口ベタゾンの吸光特性を 示すグラフである。 このグラフにおいて、 横軸は光の波長 (n m) を、 縦軸は酪 酸クロベタゾンの吸光度を示している。 また、 グラフ Cは流動パラフィンのみで の吸光特性を示し、 グラフ Dは酪酸ク口ベタゾン及ぴ流動パラフィンの混合液で の吸光特性を示している。
【0 1 9 4〗 ここでは、 ヌジョ一ル法を用いて赤外波長領域における酪酸ク口 ベタゾンの吸光特性の測定を行った。 ヌジヨール法は、 粒子状のサンプルに流動 パラフィンを添加し、 乳鉢ですりつぶしてオイル状に加工し、 その混合液と、 流 動パラフィンとの吸光特性の差からサンプル自体の吸光特性を評価する方法であ る。 吸光度の測定においては、 光路長 1 0 0 / mの石英セルを用いた。
【0 1 9 5】 グラフ Dに示すように、 酪酸クロべタゾン及び流動パラフィンの 混合液の吸光特性には、 光散乱と若干の吸光帯とが現れている。 この吸光特性を グラフ Cに示す流動パラフィンのみでの吸光特性と比較すると、 矢印 P、 Qで示 された 1 7 0 0 n m帯及び 2 3 0 0 n m帯の吸光帯で両者は合致している。 この こと力、ら、 9 0 0〜2 5 0 0 n mの波長域においては、 酪酸クロべタゾン自体に は大きな吸光帯はなく、 したがって、 この波長域のレーザ光を微粒子化処理のた めに照射したとしても、 酪酸クロべタゾンにおける光化学反応の発生は充分に小 さいと考えられる。
【0 1 9 6】 次に、 レーザ光波長 4 2 0〜 2 1 5 0 n mの波長範囲において微 粒子化効率を求めた。 図 1 9は、 微粒子化効率のレーザ光波長依存性を示すグラ フである。 このグラフにおいて、 横軸はレーザ光の波長 (n m) を、 縦軸は波長 5 7 0 n mにおける微粒子化効率を 1として規格化した微粒子化効率を示してレ、 る。
〖0 1 9 7〗 ここで、 微粒子化効率の算出手法としては、 まず、 微粒子化の度 合を示す酪酸クロベタゾンの吸光度を求め、 照射光強度で割り算し、 さらに波長 5 7 0 n mにおける微粒子化効率で規格化して各波長の微粒子化効率を比較した 。 また、 この図 1 9には、 水の吸光度の波長依存性のグラフを微粒子化効率のデ ータと対応させて示している。
[ 0 1 9 8 ] このグラフに示すように、 照射するレーザ光の波長が 5 7 0 n m のときに微粒子化効率が最も悪く、 波長 4 2 0〜6 0 0 η ηιでも大きな差はない 。 一方、 波長 9 0 0 n m以上では効率良く微粒子化が行われている。 また、 水は 9 6 0 n m、 1 4 5 0 n m、 1 9 4 0 n mに吸光帯を持っているが、 水に吸収が ある波長において微粒子化効率が特に高くなることが判明した。 このことは、 レ 一ザ光照射による微粒子化処理が、 近赤外の波長域において酪酸ク口ベタゾンな どの有機化合物には光の吸収がなくても、 水などの溶媒に作用する (吸収がある ) 波長を選択すれば、 微粒子化処理が可能であることを示している。
【0 1 9 9】 本発明による微粒子、 その製造方法、 及び製造装置、 並びに注射 剤及びその製造方法は、 上記した実施形態及び実施例に限られるものではなく、 様々な変形が可能である。
【0 2 0 0】 図 2 0は、 図 1 0に示した微粒子の製造装置の変形例を示すプロ ック図である。 本微粒子製造装置 6において、 水 5 4と難溶性薬物 5 5とから構 成される被処理液 5 2を収容するチャンバ 5 3、 レーザ光源 6 1、 照射光強度調 整器 6 1 a、 透過光強度測定装置 6 2、 制御装置 6 3、 及びモニタ用吸光帯測定 装置 6 4については、 図 1 0に示した構成と同様である。
【0 2 0 1】 本構成例においては、 チヤンバ 5 3の下部に、 被処理液 5 2をチ ヤンバ 5 3から抜き出す抜水管 5 6が接続されている。 抜水管 5 6には、 バルブ 5 8と、 チャンバ 5 3から排出される被処理液 5 2を透過し被処理液 5 2から難 溶性薬物 5 5の非溶解物質を分離する分離フィルタ 5 7とが設置されている。 ま た微粒子製造装置 6は、 吸光帯分析用チャンバ 5 9を含む照射波長決定用吸光帯 測定装置 6 0を備えている。
[ 0 2 0 2 ] そして、 抜水管 5 6は、 照射波長決定用吸光帯測定装置 6 0の吸 光帯分析用チャンバ 5 9に接続されている。 従って、 バルブ 5 8を開くと、 微粒 子製造用チヤンバ 5 3内の被処理液 5 2の一部が抜水管 5 6よりチャンバ 5 3か ら抜き出され、 分離フィルタ 5 7により、 被処理液 5 2から難溶性薬物 5 5の非 溶解物質 (固形物) が分離される。 そして、 分離フィルタ 5 7を透過した溶解物 質を含む被処理液 5 2が吸光帯分析用チヤンバ 5 9に導入され、 照射波長決定用 吸光帯測定装置 6 0により水 5 4に溶解した溶解物質の吸光帯が測定されるよう になっている。
【0 2 0 3〗 このように、 製造装置 6が照射波長決定用吸光帯測定装置 6 0を 備えることにより、 吸光帯が不明な難溶性薬物 5 5についても、 チャンバ 5 3か ら排出される被処理液 5 2を吸光帯分析用チャンバ 5 9に導入して直ちにその吸 光帯を測定することができる。 このようにして測定された吸光帯は、 例えば、 レ 一ザ光源 6 1から被処理液 5 2へと照射するレーザ光の波長を決定する際に参照 することができる。
【0 2 0 4】 また、 吸光帯分析用チャンバ 5 9に導入される被処理液 5 2から は、 分離フィルタ 5 7により非溶解物質が確実に除去されるため、 溶解物質の吸 光帯を的確に測定することができる。 なお、 抜水管 5 6、 分離フィルタ 5 7、 バ ルプ 5 8、 吸光帯測定装置 6 0により照射波長決定用吸光帯測定手段が構成され ている。 また、 このような吸光帯測定手段については、 薬物 5 5の吸光帯が既知 の場合や、 レーザ光の波長があらかじめ設定されている場合など、 不要であれば 、 図 1 0に示したように設けない構成としても良い。
【0 2 0 5】 照射波長決定用吸光帯測定装置 6 0、 レーザ光源 6 1、 モニタ用 吸光帯測定装置 6 4、 照射光強度調整器 6 1 a、 及び透過光強度測定装置 6 2に は、 コンピュータなどからなる制御装置 6 3が電気的に接続されている。 制御装 置 6 3は、 上記した製造装置 6の各部の動作を制御する。
【0 2 0 6】 図 2 1は、 図 2 0に示した微粒子製造装置 6を用いた微粒子の製 造方法を示すフローチャートである。 HI 2 1に示す製造方法でのステップ S 8 0 1〜S 8 0 6は、 図 1 1に示した製造方法でのステップ S 7 0 1〜S 7 0 6と同 様であるが、 照射光波長 λ 2を決定するステップ S 8 0 2において溶解液の吸光 帯測定を行っている点が異なる。
【0 2 0 7〗 すなわち、 図 2 0に示した構成の製造装置 6では、 レーザ光の波 長を設定する上で必要があれば、 微粒子化の対象となる薬物 5 5を含む被処理液 5 2に対して、 以下のように、 吸光帯の測定を行っても良い。 まず、 制御装置 6 3により抜水管 5 6に設置されたバルブ 5 8が開かれ、 被処理液 5 2の一部がチ ヤンバ 5 3から抜水管 5 6に抜き出される。 そして、 分離フィルタ 5 7において 、 被処理液 5 2から難溶性薬物 5 5の非溶解物質が分離され、 残りが溶解液とし て吸光帯分析用チャンバ 5 9に導入される (S 8 0 2 a )。
【0 2 0 8】 次に、 吸光帯分析用チヤンバ 5 9に導入された溶解液中の難溶性 薬物 5 5の溶解物質について、 吸光帯測定装置 6 0により吸光帯を測定する (S 8 0 2 b )。 測定された吸光帯の結果は、制御装置 6 3に転送され、制御装置 6 3 において、 溶解物質についての吸光帯の測定結果に基づき、 最長波長 λ。が決定 される。 ここで、 吸光帯の最長波長 λ。とは、 吸光度特性において、 吸光帯の長 波長側における山の付け根における波長であって、 より長波長の領域での吸光度 と比較して、 明らかに溶解物質の電子遷移吸収と思われる吸光度の変化が確認で きる波長のことを言う。
【0 2 0 9】 こうして溶解物質である薬物 5 5の吸光帯の最長波長; L。が決定 された後、 その波長; I。を参照して、微粒子製造に用いるレーザ光の波長; 1 2が決 定される。 例えば、 波長 λ 2は、 最長波長 λ Qよりも長い波長であって、 溶媒であ る水 5 4に対して作用する波長に決定される (S 8 0 2 c )。 そして、制御装置 6 3によってレーザ光源 6 1が制御され、 レーザ光源 6 1において、 照射するレー ザ光波長が上記のようにして決定したレーザ光波長 λ 2に設定される。
〖 0 2 1 0〗 ただし、 この波長 λ 2の設定については、 薬物 5 5の吸光帯があ らかじめ分かっている場合などには、 図 1 1に示したように、 図 2 1に示すステ ップ S 8 0 2 a〜S 8 0 2 cを行わずに波長; L 2を設定しても良い。 また、 波長 λ 2があらかじめ設定されている場合には、その波長; I 2のレーザ光を出射する波 長固定レーザ光源をレーザ光源 6 1としても良い。
産業上の利用可能性
〖0 2 1 1〗 以上説明したように本発明による微粒子の製造方法及び製造装置 によれば、 有機化合物の吸光帯より長い波長のレーザ光が用いられることで、 有 機化合物にレーザ光が照射されても、 有機化合物における光化学反応を充分に防 止しながらその微粒子を製造することができる。
[ 0 2 1 2 ] また、 難溶性物質または不溶性物質であっても、 本発明の微粒子 によれば、 擬似的に可溶化させることが可能となる。
【0 2 1 3】 また、 本発明による注射剤によれば、 生体に注射した場合に即効 性を有するようになる。
【0 2 1 4】 さらに、 本発明による注射剤の製造方法によれば、 水に不溶であ る力 水に一部し力溶解しない薬物であっても注射剤として製造することができ る。 また、 生体に対して即効性を有する注射剤を製造することができる。
【0 2 1 5】 また、 被処理液の溶媒中の有機化合物を微粒子化して、 その有機 化合物の微粒子を製造する際に、 有機化合物の吸光帯とは異なる波長であって溶 媒に対して作用する所定波長のレーザ光を被処理液に照射する方法及び装置等に よれば、 被処理液中に含まれる有機化合物の吸光特性にかかわらず、 溶媒に作用 する所定波長の光を照射することによって有機化合物の微粒子化が実現される。 これにより、 溶媒中の有機化合物における光化学反応の発生を充分に防止しつつ 、 有機化合物を微粒子化することができる。
【0 2 1 6】 また、 難溶性物質または不溶性物質であっても、 本発明の微粒子 によれば、 微粒子化して擬似的に可溶化させることが可能となる。 また、 本発明 の注射剤によれば、 生体に注射した場合に即効性を有するようになる。 さらに、 本発明による注射剤の製造方法によれば、 水に不溶であるか、 水に一部しか溶解 しない薬物であっても注射剤として製造することができる。 また、 生体に対して 即効性を有する注射剤を製造することができる。

Claims

言青求の範囲
1 . 被処理液の溶媒中の有機化合物を微粒子化して、その有機化合物の 微粒子を製造する製造方法であって、
有機化合物及び溶媒が混合された被処理液を準備する準備ステップと、 前記有機化合物の吸光帯よりも長い波長のレ一ザ光を前記被処理液に照射する ことによって、 前記有機化合物を微粒子化するレーザ光照射ステツプと を備えることを特徴とする微粒子の製造方法。
2 . 前記有機化合物がその一部のみ前記溶媒に溶解するものであること を特徴とする請求項 1記載の製造方法。
3 . 前記有機化合物が前記溶媒に不溶であることを特徴とする請求項 1 または 2記載の製造方法。
4 . 前記レーザ光の前記被処理液への照射光強度を、前記有機化合物に おいて 2光子吸収が生じる照射光強度未満とすることを特徴とする請求項 1〜 3 のいずれか一項記載の製造方法。
5 . 前記被処理液への前記レーザ光の照射中に、前記被処理液中の前記 有機化合物の吸光度を測定して前記有機化合物の微粒子化状態をモニタすること を特徴とする請求項 1〜 4のいずれか一項記載の製造方法。
6 . チャンバ内の前記被処理液を透過した前記レーザ光の透過光強度を 測定しながら、 前記チャンバに照射される前記レーザ光の照射光強度を変えるこ とにより、 前記有機化合物で 2光子吸収が生じる照射光強度を求めることを特徴 とする請求項 1〜 5のいずれか一項記載の製造方法。
7 . 前記被処理液への前記レーザ光の照射前または照射中に、前記被処 理液中で製造される微粒子を前記被処理液中に安定して分散させる安定化剤を前 記被処理液に添加することを特徴とする請求項 1〜 6のいずれか一項記載の製造 方法。
8 . 前記安定化剤が界面活性剤であることを特徴とする請求項 7記載の 製造方法。
9 . 前記被処理液に前記界面活性剤を添加した後、前記被処理液を希釈 して前記微粒子と前記界面活性剤とを分離させ、 前記微粒子の凝集体である凝集 微粒子を得ることを特徴とする請求項 8記載の製造方法。
1 0 . 前記レーザ光照射ステップにおいて、前記有機化合物の吸光帯よ りも長い波長の前記レーザ光として、 前記有機化合物の吸光帯とは異なる波長で あつて前記溶媒に対して作用する所定波長のレーザ光を前記被処理液に照射する ことを特徴とする請求項 1〜 9のいずれか一項記載の製造方法。
1 1 . 前記レーザ光の波長は、前記溶媒の吸光帯の波長であることを特 徴とする請求項 1 0記載の製造方法。
1 2 . 前記レーザ光の波長は、 9 0 0 n m以上の波長であることを特徴 とする請求項 1〜 1 1のいずれか一項記載の製造方法。
,
1 3 . 前記被処理液を冷却しつつ前記レーザ光を前記被処理液に照射す ることを特徴とする請求項 1〜 1 2のいずれか一項記載の製造方法。
1 4 . 前記有機化合物は、その融点が 2 5 0 °C以下であることを特徴と する請求項 1〜 1 3のいずれか一項記載の製造方法。
1 5 . 前記有機化合物は、薬物であることを特徴とする請求項 1〜 1 4 のいずれか一項記載の製造方法。
1 6 . 被処理液の溶媒中の有機化合物を微粒子化して、その有機化合物 の微粒子を製造する製造装置であって、
所定の吸光帯を有する有機化合物及び溶媒が混合された被処理液を収容するた めのチャンノくと、
前記チャンバ内に収容される前記被処理液に、 前記有機化合物の吸光帯よりも 長い波長のレーザ光を照射するレーザ光源と
を備えることを特徴とする微粒子の製造装置。
1 7 . 前記レーザ光源は、波長可変レーザであることを特徴とする請求 項 1 6記載の製造装置。
1 8 . 前記チヤンバから前記被処理液の一部を排出させ、その被処理液 中の有機化合物の吸光度を測定して、 前記有機化合物に照射するレーザ光の波長 を決定するための照射波長決定用吸光帯測定手段をさらに備えており、
前記照射波長決定用吸光帯測定手段が、 前記チャンバから排出される前記被処 理液から固形物を分離することが可能な分離フィルタを有し、 前記分離フィルタ により前記固形物が分離された前記被処理液中の前記有機化合物の吸光度を測定 するものであることを特徴とする請求項 1 7記載の製造装置。
1 9 . 前記チヤンバ内の前記被処理液を透過する前記レーザ光の透過光 強度を測定する透過光強度測定装置と、
前記レーザ光源により前記チャンバに照射される前記レーザ光の照射光強度を 調整する照射光強度調整手段と
をさらに備えることを特徴とする請求項 1 6〜1 8のいずれか一項記載の製造装 置。
2 0 . 前記チャンバは、前記吸光帯より長い波長のレーザ光であって前 記有機化合物で 2光子吸収が生じる照射光強度のレーザ光を、 2光子吸収が生じ ない照射光強度のレーザ光より大きく吸収するものであることを特徴とする請求 項 1 9記載の製造装置。
2 1 . 前記レーザ光源は、前記チャンバ内に収容される前記被処理液に 、 前記有機化合物の吸光帯よりも長い波長の前記レーザ光として、 前記有機化合 物の吸光帯とは異なる波長であって前記溶媒に対して作用する所定波長のレーザ 光を照射することを特徴とする請求項 1 6〜 2 0のいずれか一項記載の製造装置
2 2 · 前記レーザ光の波長は、前記溶媒の吸収帯の波長であることを特 徴とする請求項 2 1記載の製造装置。
2 3 · 前記レーザ光の波長は、 9 0 0 n m以上の波長であることを特徴 とする請求項 1 6〜2 2のいずれか一項記載の製造装置。
2 4 . 前記被処理液中の前記有機化合物の吸光度を測定して前記有機化 合物の微粒子化状態をモニタするモニタ用吸光帯測定手段を備えることを特徴と する請求項 1 6〜2 3のいずれか一項記載の製造装置。
2 5 . 請求項 1〜 1 5のいずれか一項記載の微粒子の製造方法により製 造される微粒子。
2 6 . 請求項 1 5記載の微粒子の製造方法により微粒子を含む液体を製 造し、 この液体に等張化剤を添加して注射剤を製造することを特徴とする注射剤 の製造方法。
2 7 . 請求項 2 6記載の注射剤の製造方法により製造される注射剤。
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