WO2007105634A1

WO2007105634A1 - 無線ｉｃタグ、書類用媒体及び情報処理装置

Info

Publication number: WO2007105634A1
Application number: PCT/JP2007/054680
Authority: WO
Inventors: Hiroaki Miyaso
Original assignee: Matsushita Electric Industrial Co., Ltd.
Priority date: 2006-03-09
Filing date: 2007-03-09
Publication date: 2007-09-20
Also published as: EP2006797A9; EP2006797A2; JPWO2007105634A1; US20090051497A1; CN101395618A

Abstract

　書類用紙が複数枚綴じられた書類の形態においても書類用紙毎のタグ情報を読出せ、また、さらに両面印刷がされた書類用紙では、その裏表の別を簡素な構成で検知して書類用紙のページ毎のタグ情報を読出すことを図る。無線ＩＣタグ（１）を、リーダからの電波を受けたときのリーダとの情報のやりとりに関し、外光を受光して得られた受光信号に基づき、その受光信号によってはリーダへの応答を行わず、又は、やりとりするタグ情報が少なくともその一部にその受光信号に応じた受光情報を含むものとする。これによって、無線ＩＣタグ（１）は、それが１つであっても、そのタグが設けられた書類用紙への外光となる照明光の方向・向きを変えることによって、タグ情報を、外光を受光できる方向・向きの数だけ、その照明光の方向・向き毎に、それぞれ異なるものとすることができる。

Description

明細書

無線 ICタグ、書類用媒体及び情報処理装置

技術分野

[0001] 本発明は、情報の記憶ができ、かつ、無線で電力が供給されて電磁誘導又は電波でデータ通信を行うことができる無線 ICタグ、及び、そのタグとの間で情報のやりとりを行うリーダ、並びに、そのタグが設けられた紙、フィルムなど（以下、単に紙とも呼ぶ )を書類用紙又は印刷用紙として、その書類の紙面上の画像を読取って原稿とし、その原稿を別の用紙に印刷して書類の複写などを行うデジタル複合機などの情報処理装置に関する。

背景技術

[0002] 紙、フィルムなどを記録の媒体とした書類 (以下、書類の記録媒体を書類用紙と呼ぶ）についてその紙面上の画像を読取って原稿とし、その原稿を別の紙に印刷して書類の複写などを行うデジタル複合機において、その複写の際、読取った画像を原稿画像としてその原稿画像データを記憶装置に保存すると共にその原稿画像データを指し示す情報を含めさせたバーコードなどの模様画像を原稿画像に添えて印刷しておき、その後、その印刷がされた紙 (印刷紙と呼ぶ)を書類用紙とした書類が当該デジタル複合機にて複写されるとき、その紙面上のバーコードを読取り、そのバーコードが有する情報を基に、その原稿画像データを記憶装置内から検索し、取出して、そのデータに基づ、て印刷を行うことにより、先の複写物である印刷紙を元にした複写を繰返しても印刷された画像の画質が劣化しな、ものが商品化されて、る。ここで、バーコードなどの模様画像は、そこに含まれた情報がバーコードリーダなどの光学的な手段によって非接触の状態にてかつ容易に読み出される情報の簡便な保持の手段として機能している。

[0003] そして、このような機能を有したバーコードなどに相当するものとして、近年、バーコードよりも力なり多くの情報を保持することができる非接触型 IC (集積回路)カードや無線 ICタグなど、微小な ICメモリーチップを含んで、その対応するリーダ (データ読取り機）によって、非接触で、その電力が供給され、またそこに保持されたデータの読出しができるものが、交通機関の定期券や郵便物、荷物など、日常の様々な物に付けられて広く普及してきて、る。

[0004] ところで、その無線 ICタグ (単にタグとも呼ぶ）は、そこに保持される情報、その機能 •動作の制御に係る情報その他の情報 (タグ情報と総称する）のデータを、タグに対向してその授受を行う無線 ICタグ'リーダ (単にリーダとも呼ぶ。なお、本明細書にお V、ては、タグからの情報の読取りに限らずタグに対する情報の書込みの機能を含んだ物についても、単に「リーダ」の語を用いる。また、「やりとり」の語はその読取り及び書込みの総称として用いる。）とのデータの授受を電磁誘導又は電波で行うので、その指向性などに応じた範囲内において、バーコードに比べ、リーダとの間における、方向'向き、光学的遮蔽その他の空間条件の制限が少ない。ただ、郵便物、荷物などや印刷用紙に使用される場合には、定期券などのように 1枚毎にリーダとのデータの授受ができる場合では発生しない特有の問題がある。

[0005] すなわち、無線 ICタグは、郵便物、荷物などや印刷用紙に使用された場合、多数のタグが互いに近接して存在する状況がしばしばありえ、その状況においてもリーダとのデータの授受ができることが求められる力このようなとき、各タグでは、近接した他のタグとの間で、それぞれのタグに内蔵されたアンテナどうしの相互インダクタンスの影響により、 ICが作動するのに十分な電力を受電できない状態が発生する。

[0006] そこで、特許文献 1に示された無線 ICタグでは、タグ内の特定の位置に受光素子を内蔵し、外部からの光を受光したときのみ、タグのアンテナで受信した電波 (搬送波）を内部の電源生成手段に供給して、リーダとのデータの授受を行うものとしている。これにより、多数のタグが一群となった状態に対してもその特定の位置に対して光を当てることで、複数のタグが同時に動作することを防止し、そして対象のタグに必要十分な電力を供給できるとして、る。

[0007] 一方、プリンタやデジタル複合機にぉ、ても、前述のバーコードなどの模様画像に代えてこのような無線 ICタグを利用し、その印刷用紙をその一部にタグが貼付されたものとして、原稿画像の印刷がされた先の印刷紙を元にした複写を繰返したときの印刷画質の劣化を回避する特許文献 2に示されたようなシステムなどが提案されている特許文献 1 :特開 2003— 317050号公報 (第 3頁、第 5頁、第 9頁、図 2、図 4、図 6〜図 8)

特許文献 2：特開 2004 - 249499号公報

発明の開示

発明が解決しょうとする課題

[0008] し力しながら、上記従来構成の特許文献 2に示された無線 ICタグは、そのタグを有した印刷紙などの書類用紙が複数枚綴じられた書類の形態にされていると、その形態のままでは、リーダとのデータの授受の際、前述の特許文献 1に述べられているように、近接するタグどうしが影響しあうと、う問題がある。

[0009] また、仮にその影響が抑えられたとしても、書類の複写の際、その書類用紙 1枚毎の複写の時にも、リーダ力もの電波などが、複写の対象とされた特定の 1枚の書類用紙だけに限らず他の書類用紙にも届くので、他の書類用紙に付けられた無線 ICタグもリーダへ応答をしかねず、複写対象の 1枚についてだけが特定されてのリーダとのデータの授受ができないないという問題もある。それゆえ、このようなタグでは、そのタグを有した書類用紙が複数枚綴じられた書類においてその中の特定の書類用紙だけについて複写をするようなときには、その特定の書類用紙を 1枚毎抜き出して原稿台に置く必要があり、かつ、抜き取られた元の綴りはそこに含まれるタグがリーダへ応答することを避けるために原稿台から距離を取って離しておく必要がある。

[0010] また、書類用紙が複写される 1枚毎に原稿台に置かれるとしても、無線 ICタグは、リ一ダカもの電波などを、その書類用紙が読取りに対しておもて面 ·裏面のいずれの面を向けているかにかかわらず同じように受けるので、例えば、書類用紙が両面印刷された印刷紙である場合にその書類用紙の裏面のみを複写したいときであっても、複写対象が書類用紙のおもて面である力裏面であるかを区別した応答をすることができないという問題がある。そして、この問題は、従来構成のタグを印刷用紙に対してどのように貼付しょうとも、すなわち、貼付の面を印刷用紙の片面のみならず両面共としても、また、貼付の方向 ·向きをいかようにしても、解決されない。それゆえ、このようなタグは、印刷用紙における両面印刷の用途，目的ではその用をなさない。

[0011] 一方、特許文献 1に示された無線 ICタグは、それが複数存在するときに、それらが同時に動作することを避け、かつ、順次に動作するための構成を有するものであるが

、その使用の形態は、特許文献 1の図 2、図 4及び図 6〜図 8に示されているように、それが収められた一定形状のケースなどによってその複数が積層され整列された状態で所定の位置に置かれることが想定されたものであり、複数のタグが積層され、受光素子などの位置が整列されている状態になければならない。それゆえ、書類用紙が複数枚綴じられた書類の形態においても書類用紙毎のタグ情報が読出せるものとすべぐ仮にこのようなタグが印刷用紙に貼付されるとした場合、印刷用紙に対するタグの貼付の位置を精度よく揃える必要があり、また、複数枚が綴られた書類として書類用紙を束ねるときにも、書類用紙を同じ方向，向きとし、かつ、正確に位置を合わせて束ねる必要がある。

[0012] また、同無線 ICタグは、同第 9ページに記載されているように、そのタグが収められ又は取付けられる物の表裏に関係なく使用できることもそのタグの目的としており、従つてタグの表裏を区別する機能を当然有せず、その物のおもて面側と裏面側との別に応じたデータの授受ができるようなものではな、ので、前述した特許文献 2に示されたタグの場合と同様に、それが収められ又は取付けられる物の表裏を区別すべき用途 ·目的では利用できない。

[0013] このように、特許文献 1に示された無線 ICタグは、それを、書類用紙が複数枚綴じられた書類の形態においても書類用紙のページ毎のタグ情報が読出せるようなものとするときには、これらの課題を生じるものであった。

[0014] カロえて、特許文献 1に示された無線 ICタグは、タグが収められ又は取付けられる物のおもて面及び裏面の両面において光を検出する構成として、同図 3に、タグのおもて面及び裏面の両面に受光素子が備えられた構成が示されて、るが、この構成では受光素子が 2つ必要である。これに対し、印刷用紙に貼付などされる用途のタグとしては、一般に、その印刷用紙自体が安価であり、それゆえ、回路規模及びコストがより抑えることのできる構成であることもさらに望まれるところであった。

[0015] 本発明は、このような従来の課題などを解決するものであり、印刷用紙などの用途における、書類用紙が複数枚綴じられた書類の形態においても書類用紙毎のタグ情報を読出せ、また、さらに両面印刷がされた書類用紙では、その裏表の別を簡素な構成で検知して書類用紙のページ毎のタグ情報を読出すことができる無線 ICタグ、及びそのタグとの間で情報のやりとりを行うリーダ、並びに、そのタグが設けられた紙、及びその紙を書類用紙又は印刷用紙としたデジタル複合機などの情報処理装置を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

[0016] 本発明は、上記目的を達成するために、有体物に付けられて又はその一部に含められて設けられ、情報の記憶ができ、かつ、電力が無線で供給され、そして、電磁誘導又は電波で、前記有体物の外部に存するリーダとの間でデータ通信を行って、当該タグが記憶する情報、その他のタグ情報を前記リーダとやりとりすることができる無線 ICタグを、当該タグが設けられた前記有体物に対する複数の所定の方向 ·向きのそれぞれにおける外光を互いに区別して受光することができる外光受光手段を含み備え、前記リーダ力もの所定の電波などを受けたとき、前記リーダとの情報のやりとりに関し、前記外光受光手段が前記外光を受光して得られたその受光信号に基づき、その受光信号によっては前記リーダへの応答を行わず、又は、やりとりする前記タグ情報を少なくともその一部にその受光信号に応じた受光情報を含むものとすることを特徴としたものとする。

[0017] また、有体物に付けられて又はその一部に含められて設けられ、情報の記憶ができ、かつ、電力が無線で供給され、そして、電磁誘導又は電波で、前記有体物の外部に存するリーダとの間でデータ通信を行って、当該タグが記憶する情報、その他のタグ情報を前記リーダとやりとりすることができる無線 ICタグを、当該部それぞれが、当該タグが設けられた前記有体物に対する所定の方向 ·向きから照射された光を、当該タグの内部へ透過させる複数の光透過部と、前記光透過部を透過した光を受光する 1以上の受光素子とを含み備え、複数の前記光透過部は、それぞれ、光の透過率力光が透過する方向に対した少なくとも一の方向において、一様ではなぐかつ、他のいずれとも互いに異なったパターンを成し、当該タグは、複数の前記光透過部のいずれかを透過した光を前記受光素子にて受光し、そして、前記リーダからの所定の電波などを受けたとき、前記リーダとの情報のやりとりに関し、光の透過率の成す前記パターンに対応した受光信号に基づき、その受光信号によっては前記リーダへの応答を行わず、又は、やりとりする前記タグ情報を少なくともその一部にその受光信号に応じた受光情報を含むものとすることを特徴としたものとしてもよい。

[0018] また、有体物に付けられて又はその一部に含められて設けられ、情報の記憶ができ、かつ、電力が無線で供給され、そして、電磁誘導又は電波で、前記有体物の外部に存するリーダとの間でデータ通信を行って、当該タグが記憶する情報、その他のタグ情報を前記リーダとやりとりすることができる無線 ICタグを、光に対する反射率が 1 次元又は 2次元の方向にぉ、て一様ではな、パターンを成すように変えることができる面を所定の方向 ·向きに有した外光反射手段を含み備え、前記リーダからの所定の通信を受けて、その通信された情報に基づく所定のパターンを前記外光反射手段における前記面に現すことを特徴としたものとしてもよい。

[0019] また、有体物に付けられて又はその一部に含められて設けられ、情報の記憶ができ、かつ、電力が無線で供給され、さらに、前記有体物に対する複数の所定の方向'向き力も照射される光を区別して受光する機能を有した無線 ICタグとの間で、電磁誘導又は電波でデータ通信が行え、前記無線 ICタグが記憶する情報、前記光の受光に係る受光情報その他のタグ情報をやりとりする無線 ICタグ'リーダを、前記タグ情報から、前記無線 ICタグが前記有体物に対する複数の所定の方向 ·向きから照射される光を区別して受光して得たその受光情報を抽出することができ、そして、その情報をもとに、前記有体物への光の照射の方向 ·向きを識別する光照射方向識別手段を含み備え、前記無線 ICタグとの間にて電波などでデータ通信を行って情報のやりとりをし、受信したタグ情報のおける受光情報をもとに、前記光照射方向識別手段によって前記有体物への光の照射の方向 ·向きを識別して、前記無線 ICタグが設けられた有体物の姿勢の方向 ·向きを特定することができることを特徴としたものとしてもよい。

[0020] また、紙などを媒体とした書類などについてその媒体面上の画像を読取るなどの処理を行う情報処理装置を、画像読取りの照明として照射域が前記媒体の一の面において一定の方向に相対的に移動され又は走査される光を照射する照明手段と、前記照明手段による光を前記媒体への照明光としてその媒体面上の画像を光学的に読取る画像読取り部と、前記媒体に付けられて又はその一部に含められて設けられ、情報の記憶ができ、かつ、電力が無線で供給され、さらに、前記媒体に対する複数の所定の方向 ·向き力照射される光を区別して受光する機能を有した無線 ICタグとの間で、電磁誘導又は電波でデータ通信が行え、前記無線 ICタグが記憶する情報、前記光の受光に係る受光情報その他のタグ情報をやりとりする無線 ICタグ'リーダと、前記タグ情報から、前記無線 ICタグが前記媒体に対する複数の所定の方向'向き力も照射される光を区別して受光して得たその受光情報を抽出することができ、そして、その情報をもとに、前記媒体への光の照射の方向'向きを識別する光照射方向識別手段とを含み備え、前記無線 ICタグとの間にて電波などでデータ通信を行って情報のやりとりをし、受信したタグ情報のおける受光情報をもとに、前記光照射方向識別手段によって前記媒体への前記照明光の照射の方向 ·向きを識別して、前記無線 ICタグが設けられた媒体の姿勢の方向 ·向きを特定することができることを特徴としたちのとしてちよい。

[0021] また、光に対する反射率が 1次元又は 2次元の方向において一様ではないパターンを成すように変えることができる面を所定の方向 ·向きに有した無線 ICタグが設けられた紙などを媒体とした書類などについてその媒体面上の画像を読取るなどの処理を行う情報処理装置を、画像読取りの照明として照射域が前記媒体の一の面において一定の方向に相対的に移動され又は走査される光を照射する照明手段と、前記照明手段による光を前記媒体への照明光としてその媒体面上の画像を光学的に読取る画像読取り部と、前記画像内から特定のパターンを抽出してそのパターンが表わした情報を認識するパターン認識手段と、前記媒体に付けられて又はその一部に含められて設けられ、情報の記憶ができ、かつ、電力が無線で供給される無線 ICタグとの間で、電磁誘導又は電波でデータ通信が行え、前記無線 ICタグが記憶する情報その他のタグ情報をやりとりする無線 ICタグ'リーダと、を含み備え、前記無線 ICタグ'リーダが、前記無線 ICタグに対し、光に対する反射率が 1次元又は 2次元の方向において一様ではない所定のパターンを成すよう指示する通信を行った後、前記パターン認識手段がその所定のパターンを抽出してそのパターンが表わした情報を認識できたとき、その認識された情報に基づきその無線 ICタグとそのタグ情報のやりとりを行うことを特徴としたものとしてもよ、。

[0022] また、画像を紙などの媒体に印刷出力するなどの処理を行う情報処理装置を、前記媒体を搬送して当該装置の外部へ送り出す媒体搬送手段と、前記媒体に付けられて又はその一部に含められて設けられ、情報の記憶ができ、かつ、電力が無線で供給され、さらに、前記媒体に対する複数の所定の方向'向き力照射される光を区別して受光する機能を有した無線 ICタグとの間で、電磁誘導又は電波でデータ通信が行え、前記無線 ICタグが記憶する情報、前記光の受光に係る受光情報その他のタグ情報をやりとりする無線 ICタグ 'リーダと、前記媒体への印刷がされる面へ光を照射する光照射手段とを含み備え、印刷出力の際、前記媒体搬送手段が前記媒体を搬送している時に前記光照射手段が光を照射し、そのもとで、前記タグ情報における少なくとも前記無線 ICタグが記憶する情報についてのやりとりを行うことを特徴としたちのとしてちよい。

発明の効果

[0023] 本発明は、リーダからの所定の電波などを受けたとき、リーダとの情報のやりとりに関し、外光を受光して得られた受光信号に基づき、その受光信号によってはリーダへの応答を行わず、又は、やりとりするタグ情報を少なくともその一部にその受光信号に応じた受光情報を含むものとすることで、無線 ICタグは、それが 1つであっても、そのタグが設けられた有体物 (例えば印刷紙などの書類用紙)への外光となる照明光の方向 ·向きを変えることによって、タグ情報を、外光を受光できる方向 ·向きの数だけ、その照明光の方向'向き毎に、それぞれ異なるものとすることができる。

[0024] そして、照明の方向 ·向きを所定のものとすれば、その方向 ·向きに対して、そのタグが設けられた有体物 (例えば書類用紙)の置かれた方向 ·向きによって、タグ情報を、外光を受光できる方向の数だけ、有体物の置かれた方向，向き毎 (例えば書類用紙の裏表の面毎）に、それぞれ異なるものとすることができる。従って、リーダは、書類用紙などの有無が検知できると共に、その照射方向 ·向きを予め所定のものとしておくことで、その書類用紙などが置かれた方向 ·向き (例えば書類用紙のおもて面又は裏面の面した向き）についても同時に知ることができる。

[0025] また、このような無線 ICタグは、それが設けられた例えば書類用紙が複数枚束ねられた書類の場合においても、その書類の複写が行われるとき、書類の読取りのための照明光が当てられる原稿台に面した書類用紙のタグのみがその照明光に反応してリーダへ応答し、所定の照明条件下にない他の書類用紙のタグは応答しないものとできるので、電波などを受けた複数のタグでのデータの衝突がなぐ所定の照明条件下にあるタグのみの検出を可能とすることができ、そして、その複写を行う者は、複写の際、書類を 1枚毎に分けることなぐ書類用紙の束のまま原稿台に置くことができる。

[0026] また、複数の光透過部は、それぞれ、光の透過率が、光が透過する方向に対した少なくとも一の方向において、一様ではなぐかつ、他のいずれとも互いに異なったパターンを成し、当該タグは、複数の光透過部のいずれかを透過した光を受光素子にて受光し、そして、リーダからの所定の電波などを受けたとき、リーダとの情報のやりとりに関し、光の透過率の成すパターンに対応した受光信号に基づき、その受光信号によってはリーダへの応答を行わず、又は、やりとりするタグ情報を少なくともその一部にその受光信号に応じた受光情報を含むものとすることで、無線 ICタグは、そのタグが付けられた有体物 (例えば書類用紙)へ光が時刻と共に移動しながら照射されるとき、受光素子での受光状態の時間的変化を各光透過部における光の透過率のパターンに応じてそれぞれ異なったものにできるので、受光素子が 1つであってもその受光状態の時間的変化によって光の照射の方向 ·向きを区別することができる。

[0027] そして、デジタル複合機などでは、文書の複写の際、一般に、スキャナによってその紙面上の画像を読取られる書類用紙に対して照明が相対的に移動しながら当てられるので、従って、その書類用紙に設けられた無線 ICタグは、受光素子での受光状態の時間的変化の違いによってスキャナの読取りに対する書類用紙の裏表の向きを区別することができ、そして、その区別に係る情報をリーダに対して伝えることができ、一方、そのリーダは、書類用紙などの有無が検知できると共に、照射の方向'向きを予め所定のものとしておくことで、その書類用紙などが置かれた方向'向き (例えば書類用紙のおもて面又は裏面の面した向き）についても同時に知ることができる。

[0028] また、無線 ICタグ力光に対する反射率が 1次元又は 2次元の方向において一様ではないパターンを成すように変えることができる面を所定の方向 '向きに有した外光反射手段を備えることで、情報を、電磁誘導又は電波でのデータ通信によって他へ伝達できるほか、面にて反射された光がその面上の各所における反射率の差異によつて成すパターンでもっても伝達することができるので、タグ情報を、光の照射が行われたときのみ、又は光を受光したときのみやりとりすることができる無線 ICタグとすることがでさる。

[0029] また、無線 ICタグとの間にて電波などでデータ通信を行って情報のやりとりをし、受信したタグ情報のおける受光情報をもとに、有体物への光の照射の方向 ·向きを識別して、タグが設けられた有体物の姿勢の方向 ·向きを特定することができることで、リーダは、タグが設けられた、例えば、紙、フィルムその他の書類用媒体の裏表の検出、及び、書類用紙などにおいて複数束ねられた形態で使用されるときの、その束の表面にある書類用紙の面の検出が行える。

[0030] また、無線 ICタグとの間にて電波などでデータ通信を行って情報のやりとりをし、受信したタグ情報のおける受光情報をもとに、光照射方向識別手段によって媒体への照明光の照射の方向 ·向きを識別して、タグが設けられた媒体の姿勢の方向 ·向きを特定することで、デジタル複合機などの情報処理装置は、タグが設けられた、例えば、紙、フィルムその他の書類用媒体の裏表の検出、及び、書類用紙などにおいて複数束ねられた形態で使用されるときの、その束の表面にある書類用紙の面の検出が行える。

[0031] また、無線 ICタグ'リーダが、無線 ICタグに対し、光に対する反射率が 1次元又は 2 次元の方向にぉ、て一様ではな、所定のパターンを成すよう指示する通信を行った後、パターン認識手段がその所定のパターンを抽出してそのパターンが表した情報を認識できたとき、その認識された情報に基づきその無線 ICタグとそのタグ情報のやりとりを行うことで、無線 ICタグ力もの情報を、電磁誘導又は電波でのデータ通信によつて得るほか、無線 ICタグのパターンでもっても得ることができるので、タグ情報を、光の照射が行われたときのみ、又は光を受光したときのみやりとりすることができる。

[0032] また、印刷出力の際、媒体搬送手段が媒体を搬送している時に光照射手段が光を照射し、そのもとで、タグ情報における少なくとも無線 ICタグが記憶する情報についてのやりとりを行うことで、プリンタなどの情報処理装置は、複数の方向 '向きについて、光の透過率が互いに異なるパターンを有したタグに対して、そのパターンに応じた受光状態の区別を可能とさせる光の照射を行うことができ、その照射光を受光したタグでの受光信号に応じた受光情報を含むタグ情報を、タグへ書込み又はタグから読出してやりとりすることができる。

[0033] このように、バーコードよりも遙かに多くのデータが扱える無線 ICタグを、物の裏表の検出ができ、そして、印刷用紙などにおいて複数束ねられた形態で使用されるときでも、その束の表面にある書類用紙の面についての情報を伝えることができるものとして提供できると、う効果を奏する。

図面の簡単な説明

[0034] [図 1]図 1は本発明に係る無線 ICタグが埋め込まれた書類用紙を模式図であり、図 1 Aはその上面を示す図、図 1Bは線 A1での断面を拡大して示す図である。

[図 2]図 2は第 1の実施例に係る無線 ICタグを模式的に示し、図 2Aはその上面図、図 2Bは線 A2での断面図、図 2Cは下面図である。

[図 3]図 3は第 1の実施例に係る無線 ICタグの回路ブロックの構成を示すブロック図である。

[図 4]図 4は第 1の実施例に係る無線 ICタグにおけるメモリ切換え回路 15及びメモリ一 14の回路構成図である。

[図 5]図 5は本実施例におけるデジタル複合機の概略構成を示す図である。

[図 6]図 6はデジタル複合機の原稿台に書類用紙を置いた状態の一例を示す図である。

[図 7]図 7はデジタル複合機における情報処理回路の概略構成の一例を示す図である。

[図 8]図 8は本実施例における無線 ICタグの動作に係る、同タグとデジタル複合機とのコマンドシーケンス図である。

[図 9]図 9は第 2の実施例に係る無線 ICタグを模式的に示し、図 9Aはその上面図、図 9Bは線 A2での断面図、図 9Cは下面図である。

[図 10]図 10は第 2の実施例に係る無線 ICタグの回路ブロックの構成を示すブロック図である。

[図 11]図 11は第 2の実施例に係るタグが埋め込まれた書類用紙がデジタル複合機の原稿台に置かれた状態での断面を示す拡大模式図である。 [図 12]図 12は第 2の実施例に係る無線 ICタグの受光量について、照明の走査に伴うその時間的変化を示す模式図である。

[図 13]図 13は第 2の実施例に係る無線 ICタグの光照射方向識別機能の処理フローチャートである。

[図 14]図 14は第 2の実施例に係る他のタグの例を模式的に示すもので、図 14Aは上面図、図 14Bは線 A2での断面図、図 14Cは下面図である。

[図 15]図 15はさらに他のタグの例を模式的に示すもので、図 15Aは上面図、図 15B は下面図である。

発明を実施するための最良の形態

[0035] 本発明の実施の第 1の形態は、有体物に付けられて又はその一部に含められて設けられ、情報の記憶ができ、かつ、電力が無線で供給され、そして、電磁誘導又は電波で、前記有体物の外部に存するリーダとの間でデータ通信を行って、タグ情報を前記リーダとやりとりすることができる無線 ICタグである。ここで、タグ情報は、当該タグが記憶する情報、その他の情報である。その他の情報とは、例えば当該タグが生成した情報である。この無線 ICタグは、例えば、印刷紙などの書類用紙、その他の有体物に設ける。この無線 ICタグは、いわゆる ICカードの場合では、そのカード本体であるプラスチック 'カードに設けることができる。この無線 ICタグは、当該タグが設けられた前記有体物に対する複数の所定の方向 ·向きのそれぞれにおける外光を互いに区別して受光することができる外光受光手段を含み備える。タグを例えば書類用紙に設けたときであれば、外光受光手段は、その書類用紙の面内における所定の方向やその面に対する所定の向きそれぞれにおける外光を互いに区別して受光する。そして、この無線 ICタグは、前記リーダ力もの所定の電波などを受けたとき、前記リーダとの情報のやりとりに関し、前記外光受光手段が前記外光を受光して得られたその受光信号に基づき、その受光信号によっては前記リーダへの応答を行わず、又は、やりとりする前記タグ情報を少なくともその一部にその受光信号に応じた受光情報を含んだものにする。

[0036] このような構成によって、リーダ力もの所定の電波などを受けたとき、リーダとの情報のやりとりに関し、外光を受光して得られた受光信号に基づき、その受光信号によつてはリーダへの応答を行わず、又は、やりとりするタグ情報を少なくともその一部にその受光信号に応じた受光情報を含んだものにすることで、無線 ICタグは、それが 1つであっても、そのタグが設けられた有体物への外光となる照明光の方向 ·向きを変えることによって、タグ情報を、外光を受光できる方向'向きの数だけ、その照明光の方向'向き毎に、それぞれ異なるものとすることができる。

[0037] そして、照明の方向 ·向きを所定のものとすれば、その方向 ·向きに対して、そのタグが設けられた有体物 (例えば書類用紙)の置かれた方向 ·向きによって、タグ情報を、外光を受光できる方向の数だけ、有体物の置かれた方向，向き毎 (例えば書類用紙の裏表の面毎）に、それぞれ異なるものとすることができる。例えば、その有体物の置かれた方向 ·向きによってそれぞれ異なるタグ情報をタグが出力することができる。従って、リーダは、書類用紙などの有無が検知できると共に、その照射方向'向きを予め所定のものとしておくことで、その書類用紙などが置かれた方向'向き (例えば書類用紙のおもて面又は裏面の面した向き）についても同時に知ることができる。

[0038] また、このような無線 ICタグは、それが設けられた例えば書類用紙が複数枚束ねられた書類の場合においても、その書類の複写が行われるとき、書類の読取りのための照明光が当てられる原稿台に面した書類用紙のタグのみがその照明光に反応してリーダへ応答し、所定の照明条件下にない他の書類用紙のタグは応答しないものとできるので、電波などを受けた複数のタグでのデータの衝突がなぐ所定の照明条件下にあるタグのみの検出を可能とすることができ、そして、その複写を行う者は、複写の際、書類を 1枚毎に分けることなぐ書類用紙の束のまま原稿台に置くことができる。

[0039] このように、無線 ICタグにおいて、物の裏表の検出ができ、そして、印刷用紙などにおいて複数束ねられた形態で使用されるときでも、その束の表面にある書類用紙の面についての情報を伝えることができる。

[0040] 本発明の実施の第 2の形態は、実施の第 1の形態において、前記外光受光手段を

、当該素子それぞれが前記所定の方向'向きに向いた複数の受光素子としたものである。

[0041] このような構成によって、外光受光手段を、当該素子それぞれが所定の方向 ·向きに向いた複数の受光素子とすることで、複数の方向 ·向きについて、それぞれの方向 •向きを区別して、その方向 ·向きにおける外光を簡易に検出することができる。

[0042] 本発明の実施の第 3の形態は、実施の第 1の形態において、前記外光受光手段を、当該部それぞれが前記所定の方向 ·向き力照射された光を当該タグの内部へ透過させる複数の光透過部と、当該素子それぞれが前記光透過部の一に対応してその対応した前記光透過部を透過した光を受光する複数の受光素子とからなるものとしたものである。

[0043] このような構成によって、外光受光手段を、当該部それぞれが所定の方向 ·向きから照射された光を当該タグの内部へ透過させる複数の光透過部と、当該素子それぞれが光透過部の一に対応してその対応した光透過部を透過した光を受光する複数の受光素子とからなるものとすることで、光透過部に光ファーバーなどの光を任意な経路にて導く導光手段を用いて、外光を受光素子へ導くことができるので、受光素子の取付けをタグにおいて任意な方向 ·向きに構成できる。また、外光を受けて取込む位置をその他の構成要素群力離した構造とすることもできる。

[0044] 本発明の実施の第 4の形態は、有体物に付けられて又はその一部に含められて設けられ、情報の記憶ができ、かつ、電力が無線で供給され、そして、電磁誘導又は電波で、前記有体物の外部に存するリーダとの間でデータ通信を行って、当該タグが記憶する情報、その他のタグ情報を前記リーダとやりとりすることができる無線 ICタグであって、複数の光透過部と、 1以上の受光素子とを含み備える。この無線 ICタグは

、複数の光透過部それぞれが、当該タグが設けられた前記有体物に対する所定の方向'向き力も照射された光を、当該タグの内部へ透過させ、 1以上の受光素子が、光透過部を透過した光を受光する。ここで、各光透過部は、光の透過率が、光が透過する方向に対した少なくとも一の方向において、一様ではなぐかつ、他のいずれとも互いに異なったパターンを成しており、当該タグは、複数の前記光透過部のいずれかを透過した光を前記受光素子にて受光する。そして、この無線 ICタグは、前記リーダカもの所定の電波などを受けたとき、前記リーダとの情報のやりとりに関し、光の透過率の成す前記パターンに対応した受光信号に基づき、その受光信号によっては前記リーダへの応答を行わず、又は、やりとりする前記タグ情報を少なくともその一部にその受光信号に応じた受光情報を含んだものにする。

[0045] このような構成によって、複数の光透過部は、それぞれ、光の透過率が、光が透過する方向に対した少なくとも一の方向において、一様ではなぐかつ、他のいずれとも互いに異なったパターンを成し、当該タグは、複数の光透過部のいずれかを透過した光を受光素子にて受光し、そして、リーダからの所定の電波などを受けたとき、リーダとの情報のやりとりに関し、光の透過率の成すパターンに対応した受光信号に基づき、その受光信号によってはリーダへの応答を行わず、又は、やりとりするタグ情報を少なくともその一部にその受光信号に応じた受光情報を含んだものにすることで、無線 ICタグは、そのタグが付けられた有体物（例えば書類用紙)へ光が時刻と共に移動しながら照射されるとき、受光素子での受光状態の時間的変化を各光透過部における光の透過率のパターンに応じてそれぞれ異なったものにできるので、受光素子が 1つであってもその受光状態の時間的変化によって光の照射の方向'向きを区另 Uすることがでさる。

[0046] そして、デジタル複合機などでは、文書の複写の際、一般に、スキャナによってその紙面上の画像を読取られる書類用紙に対して照明が相対的に移動しながら当てられるので、従って、その書類用紙に設けられた無線 ICタグは、受光素子での受光状態の時間的変化の違いによってスキャナの読取りに対する書類用紙の裏表の向きを区別することができ、そして、その区別に係る情報をリーダに対して伝えることができ、一方、そのリーダは、書類用紙などの有無が検知できると共に、照射の方向'向きを予め所定のものとしておくことで、その書類用紙などが置かれた方向'向き (例えば書類用紙のおもて面又は裏面の面した向き）についても同時に知ることができる。

[0047] また、このような無線 ICタグは、それが設けられた例えば書類用紙が複数枚束ねられた書類の場合においても、その書類の複写が行われるとき、書類の読取りのための照明光が当てられる原稿台に面した書類用紙のタグのみがその照明光に反応してリーダへ応答し、所定の照明条件下にない他の書類用紙のタグは応答しないものとできるので、電波などを受けた複数のタグでのデータの衝突がなぐ所定の照明条件下にあるタグのみの検出を可能とすることができ、そして、その複写を行う者は、複写の際、書類を 1枚毎に分けることなぐ書類用紙の束のまま原稿台に置くことができる。

[0048] このように、無線 ICタグにおいて、物の裏表の検出ができ、そして、印刷用紙などにおいて複数束ねられた形態で使用されるときでも、その束の表面にある書類用紙の面についての情報を伝えることができる。

[0049] 本発明の実施の第 5の形態は、実施の第 4の形態において、前記光透過部は、光の透過率が、その光が透過する方向に対した 2つの互いに直交する方向それぞれに前記パターンを成したものである。

[0050] このような構成によって、光透過部を、光の透過率が、その光が透過する方向に対した 2つの互いに直交する方向それぞれに前記パターンを成したものとすることで、パターンをそれらの 2つにおいて同じものとして、無線 ICタグは、そのタグが付けられた有体物 (例えば書類用紙)へ光が時刻と共に移動しながら照射されるとき、例えば、スキャナの読取りに対する書類用紙の縦横の向きにかかわらず受光素子での受光状態の時間的変化を同じとすることができるので、書類用紙がスキャナの読取りに対して縦横のいずれの方向に置かれても、前述した書類用紙の裏表の別をリーダに対して伝免ることがでさる。

[0051] また、パターンをそれらの 2つの間で異なるものとすれば、受光素子での受光状態の時間的変化の違いによってスキャナの読取りに対する書類用紙の縦横の向きを区另 Uすることちでさる。

[0052] 本発明の実施の第 6の形態は、実施の第 4の形態において、光の透過率が成した前記パターンを、そのパターンの成す方向におけるその一端側と他端側との間で、それらの中央を横切る軸に対して線対称としたものである。

[0053] このような構成によって、光の透過率が成したパターンを、そのパターンの成す方向におけるその一端側と他端側との間で、それらの中央を横切る軸に対して線対称とすることで、前述の無線 ICタグに照射される光の移動の向きに対して逆の向きにおいても、リーダの受光素子が検出する光量変化のパターンが同一となり、リーダにおけるパターンの判別処理が容易となる。例えば、タグが印刷用紙などに付けられる場合、その書類用紙がデジタル複合機などの原稿台に置かれるとき、その置かれる向き力いわゆる天地いずれの向きであっても、リーダの受光素子が検出する光量変化のパターンが同一なので、リーダは、パターンの判別処理が容易となる。

[0054] 本発明の実施の第 7の形態は、実施の第 4の形態において、光の透過率が成した前記パターンを、そのパターンの成す方向における端部での光の透過率が、複数の前記光透過部の全てについて同じとしたものである。

[0055] このような構成によって、光の透過率が成したパターンを、そのパターンの成す方向における端部での光の透過率力複数の光透過部の全てにっ、て同じとすることで、無線 ICタグ又はリーダは、光がいずれの光透過部を透過したかを判別する際、タグへ照射された光の量の絶対値の多少（照明光量、タグの印刷用紙などへの取付け形態その他の影響)を、受光が始まった時点での受光量をもって知ることができ、照明光量、タグの印刷用紙などへの取付け形態その他の影響を排除することができ、受光素子での受光量の時間的変化とパターンとの対応に基づく光透過部の判別を安定して行うことができる。

[0056] 本発明の実施の第 8の形態は、有体物に付けられて又はその一部に含められて設けられ、情報の記憶ができ、かつ、電力が無線で供給され、そして、電磁誘導又は電波で、前記有体物の外部に存するリーダとの間でデータ通信を行って、当該タグが記憶する情報、その他のタグ情報を前記リーダとやりとりすることができる無線 ICタグである。この無線 ICタグは、光に対する反射率が 1次元又は 2次元の方向において一様ではないパターンを成すように変えることができる面を所定の方向 '向きに有した外光反射手段を含み備え、リーダからの所定の通信を受けて、その通信された情報に基づく所定のパターンを前記外光反射手段における前記面に現す。

[0057] このような構成によって、無線 ICタグ力光に対する反射率が 1次元又は 2次元の方向にお、て一様ではな、パターンを成すように変えることができる面を所定の方向 •向きに有した外光反射手段を備えることで、情報を、電磁誘導又は電波でのデータ通信によって他へ伝達できるほか、面にて反射された光がその面上の各所における反射率の差異によって成すパターンでもっても伝達することができるので、タグ情報を、光の照射が行われたときのみ、又は光を受光したときのみやりとりすることができる無線 ICタグとすることがでさる。

[0058] 本発明の実施の第 9の形態は、実施の第 8の形態において、前記外光反射手段を複数備えてそれぞれの前記パターンが成される前記面が所定の方向 ·向きに面したものである、又は、一の前記外光反射手段が前記面を複数有してその各面が所定の方向 ·向きに面したものである。

[0059] このような構成によって、外光反射手段を複数備えてそれぞれのパターンが成される面が所定の方向 ·向きに面したものである、又は、位置の外光反射手段が前記面を複数有してその各面が所定の方向 ·向きに面したものであるとすることで、それぞれの方向 ·向きを区別したパターンでもって情報を伝達することができる。

[0060] 本発明の実施の第 10の形態は、実施の第 8の形態において、前記パターンが成される前記面は、光に対する反射率が 1次元又は 2次元の方向にお、て一様ではな、前記パターンを液晶にて成すものである。

[0061] このような構成によって、パターンが成される面力光に対する反射率が 1次元又は 2次元の方向にお!、て一様ではな!/、パターンを液晶にて成すものであるので、液晶に形成させるパターンを電気的に変えることができるので、外部からの指示を受けるなどしてパターンを任意かつ容易に変えることができる。

[0062] 本発明の実施の第 11の形態は、実施の第 8の形態において、前記外光反射手段が成す前記パターンは、 1次元又は 2次元のバーコード模様である。

[0063] このような構成によって、外光反射手段が成すパターンを 1次元又は 2次元のバーコード模様とすることで、光に対する反射率が 1次元又は 2次元の方向において一様ではないパターンを簡単に構成でき、さらにそのバーコード模様を既定の仕様に従つたものとすることで、無線 ICタグを、その仕様を採用した他のシステムでの利用も可能なものにできる。

[0064] 本発明の実施の第 12の形態は、実施の第 1又は第 4の形態において、複数の前記所定の方向'向きが、前記有体物のおもて面が面した向きと、その裏面が面した向きとであるものである。

[0065] このような構成によって、複数の所定の方向 ·向きが、有体物のおもて面が面した向きと、その裏面が面した向きとであることで、無線 ICタグを印刷用紙や書類用紙などの薄、シート状の物へ設けることが容易にでき、そのタグによってその物の置かれた裏表の向きの区別を知ることができる。 [0066] 本発明の実施の第 13の形態は、実施の第 1、第 4又は第 9の形態において、前記受光情報が、前記受光信号のその内容自体を示す受光信号情報、又はその受光信号情報を含んだものである。

[0067] このような構成によって、受光情報を、受光信号のその内容自体を示す受光信号情報、又はその受光信号情報を含んだものとすることで、そして、この場合においても、無線 ICタグ'リーダにてその受光信号情報を処理して所望の情報を得ることができるので、タグにおける情報処理の規模の増大及びタグのコストアップを抑えつつ、機能の拡大が図られる。

[0068] 本発明の実施の第 14の形態は、実施の第 1又は第 4の形態において、光を受けて電圧又は電流を発生する受光素子と、電荷を蓄える蓄電手段とを含み備え、前記受光素子によって得られる電力を前記蓄電手段に蓄えて当該タグの電気回路のための電力の少なくとも一部とするものである。

[0069] このような構成によって、受光素子によって得られる電力を蓄電手段に蓄えて無線 I Cタグの電気回路のための電力の少なくとも一部とすることで、互いに近接して多数のタグが存在する形態でのリーダの読取りなどにおいて、タグに内蔵されたアンテナ間の相互インダクタンスの影響により ICが作動するのに十分な電力を受電できない状態となっても、当該タグ内の回路に電力を供給して動作させることができ、また、電波などだけによる場合よりも、より十分な電力が得られ、さらに、電波などが無い状態においても外光によって電力を蓄えることができるので、タグの電源能力を余力のあるものとして、その電気回路動作を安定させ、また時間を要する処理の取扱いを可能とし、また回路機能のさらなる拡張を容易にできる。

[0070] 本発明の実施の第 15の形態は、実施の第 1から第 14の各形態に示した無線 ICタグを設けた紙、フィルムその他の書類用媒体である。

[0071] このような構成によって、紙、フィルムその他の書類用媒体に、実施の第 1から第 14 の各形態に示した無線 ICタグを設けることで、タグへの光の照射の方向 ·向きによつて、リーダによる、媒体の裏表の検出、及び、書類などにおいて複数束ねられた形態で使用されるときの、その束の表面にある書類用紙の面の検出を可能にできる。そして、書類用紙が複数枚束ねられた書類の場合でも、その書類用紙の 1面を複写するとき、照明光が当てられる原稿台に面した書類用紙のタグのみが動作できるので、 1 枚毎に分けることなぐ書類用紙の束のまま原稿台に置く使用ができる。

[0072] このように、バーコードよりも遙かに多くのデータが保持でき、かつ無線で伝送でき、また、書類用紙の裏表の検出ができ、そして、複数束ねられた形態で使用されるときでも、その束の表面にある書類用紙の面についての情報を伝えることができる書類用紙が提供できる。

[0073] 本発明の実施の第 16の形態は、有体物に付けられて又はその一部に含められて設けられ、情報の記憶ができ、かつ、電力が無線で供給され、さらに、前記有体物に対する複数の所定の方向 ·向き力照射される光を区別して受光する機能を有した無線 ICタグとの間で、電磁誘導又は電波でデータ通信が行え、前記無線 ICタグが記憶する情報、前記光の受光に係る受光情報その他のタグ情報をやりとりする無線 I Cタグ 'リーダであって、前記タグ情報から、前記無線 ICタグが前記有体物に対する複数の所定の方向 ·向き力照射される光を区別して受光して得たその受光情報を抽出することができ、そして、その情報をもとに、前記有体物への光の照射の方向- 向きを識別する光照射方向識別手段を含み備え、前記無線 ICタグとの間にて電波などでデータ通信を行って情報のやりとりをし、受信したタグ情報のおける受光情報をもとに、前記光照射方向識別手段によって前記有体物への光の照射の方向 ·向きを識別して、前記無線 ICタグが設けられた有体物の姿勢の方向 ·向きを特定することができるものである。

[0074] このような構成によって、無線 ICタグとの間にて電波などでデータ通信を行って情報のやりとりをし、受信したタグ情報における受光情報をもとに、有体物への光の照射の方向 ·向きを識別して、タグが設けられた有体物の姿勢の方向 ·向きを特定することができることで、リーダは、タグが設けられた、例えば、紙、フィルムその他の書類用媒体の裏表の検出、及び、書類などにおいて複数束ねられた形態で使用されるときの、その束の表面にある書類用紙の面の検出が行える。

[0075] 本発明の実施の第 17の形態は、実施の第 16の形態において、照射域が有体物の一の面において一定の方向に相対的に移動され又は走査される光を照射する光照射手段を含み備えたものである。 [0076] このような構成によって、照射域が有体物の一の面において一定の方向に相対的に移動され又は走査される光を照射することで、リーダは、複数のその方向'向きについて、光の透過率が互いに異なるパターンを有したタグに対して、そのパターンに応じた受光状態の区別を可能とさせる光の照射を行うことができ、その照射光を受光したタグでの受光信号に応じた受光情報を含むタグ情報を、タグとやりとりすることができる。

[0077] 本発明の実施の第 18の形態は、紙などを媒体とした書類などについてその媒体面上の画像を読取るなどの処理を行う情報処理装置である。この情報処理装置は、画像読取りの照明として照射域が前記媒体の一の面において一定の方向に相対的に移動され又は走査される光を照射する照明手段と、前記照明手段による光を前記媒体への照明光としてその媒体面上の画像を光学的に読取る画像読取り部と、前記媒体に付けられて又はその一部に含められて設けられ、情報の記憶ができ、かつ、電力が無線で供給され、さらに、前記媒体に対する複数の所定の方向'向きから照射される光を区別して受光する機能を有した無線 ICタグとの間で、電磁誘導又は電波でデータ通信が行え、前記無線 ICタグが記憶する情報、前記光の受光に係る受光情報その他のタグ情報をやりとりする無線 ICタグ'リーダと、前記タグ情報から、前記無線 ICタグが前記媒体に対する複数の所定の方向 ·向き力照射される光を区別して受光して得たその受光情報を抽出することができ、そして、その情報をもとに、前記媒体への光の照射の方向 ·向きを識別する光照射方向識別手段とを含み備え、前記無線 ICタグとの間にて電波などでデータ通信を行って情報のやりとりをし、受信したタグ情報のおける受光情報をもとに、前記光照射方向識別手段によって前記媒体への前記照明光の照射の方向 ·向きを識別して、前記無線 ICタグが設けられた媒体の姿勢の方向 ·向きを特定することができる。

[0078] このような構成によって、無線 ICタグとの間にて電波などでデータ通信を行って情報のやりとりをし、受信したタグ情報における受光情報をもとに、光照射方向識別手段によって媒体への照明光の照射の方向 ·向きを識別して、タグが設けられた媒体の姿勢の方向'向きを特定することで、デジタル複合機などの情報処理装置は、タグが設けられた、例えば、紙、フィルムその他の書類用媒体の裏表の検出、及び、書類などにおいて複数束ねられた形態で使用されるときの、その束の表面にある書類用紙の面の検出が行える。

[0079] 本発明の実施の第 19の形態は、光に対する反射率が 1次元又は 2次元の方向にお!、て一様ではな、パターンを成すように変えることができる面を所定の方向 ·向きに有した無線 ICタグが設けられた紙などを媒体とした書類などについてその媒体面上の画像を読取るなどの処理を行う情報処理装置である。この情報処理装置は、画像読取りの照明として照射域が前記媒体の一の面において一定の方向に相対的に移動され又は走査される光を照射する照明手段と、前記照明手段による光を前記媒体への照明光としてその媒体面上の画像を光学的に読取る画像読取り部と、前記画像内から特定のパターンを抽出してそのパターンが表わした情報を認識するパターン認識手段と、前記媒体に付けられて又はその一部に含められて設けられ、情報の記憶ができ、かつ、電力が無線で供給される無線 ICタグとの間で、電磁誘導又は電波でデータ通信が行え、前記無線 ICタグが記憶する情報その他のタグ情報をやりとりする無線 ICタグ'リーダと、を含み備え、前記無線 ICタグ'リーダ力前記無線 ICタグに対し、光に対する反射率が 1次元又は 2次元の方向にお、て一様ではな、所定のパターンを成すよう指示する通信を行った後、前記パターン認識手段がその所定のパターンを抽出してそのパターンが表わした情報を認識できたとき、その認識された情報に基づきその無線 ICタグとそのタグ情報のやりとりを行う。

[0080] このような構成によって、無線 ICタグ'リーダが、無線 ICタグに対し、光に対する反射率が 1次元又は 2次元の方向にぉ、て一様ではな、所定のパターンを成すよう指示する通信を行った後、パターン認識手段がその所定のパターンを抽出してそのパターンが表した情報を認識できたとき、その認識された情報に基づきその無線 ICタグとそのタグ情報のやりとりを行うことで、情報処理装置は、自らの指示に応答する無線 ICタグを選択することができ、さらには、そのようなタグからの情報を、電磁誘導又は電波でのデータ通信によって得るほか、無線 ICタグのパターンでもっても得ることができる。

[0081] 本発明の実施の第 20の形態は、画像を紙などの媒体に印刷出力するなどの処理を行う情報処理装置であって、前記媒体を搬送して当該装置の外部へ送り出す媒体搬送手段と、前記媒体に付けられて又はその一部に含められて設けられ、情報の記憶ができ、かつ、電力が無線で供給され、さらに、前記媒体に対する複数の所定の方向 ·向き力照射される光を区別して受光する機能を有した無線 ICタグとの間で、電磁誘導又は電波でデータ通信が行え、前記無線 ICタグが記憶する情報、前記光の受光に係る受光情報その他のタグ情報をやりとりする無線 ICタグ'リーダと、前記媒体への印刷がされる面へ光を照射する光照射手段とを含み備え、印刷出力の際、前記媒体搬送手段が前記媒体を搬送している時に前記光照射手段が光を照射し、そのもとで、前記タグ情報における少なくとも前記無線 ICタグが記憶する情報にっ、てのやりとりを行うものである。

[0082] このような構成によって、印刷出力の際、媒体搬送手段が媒体を搬送している時に光照射手段が光を照射し、そのもとで、タグ情報における少なくとも無線 ICタグが記憶する情報についてのやりとりを行うことで、プリンタなどの情報処理装置は、複数の方向 '向きについて、光の透過率が互いに異なるパターンを有したタグに対して、そのパターンに応じた受光状態の区別を可能とさせる光の照射を行うことができ、その照射光を受光したタグでの受光信号に応じた受光情報を含むタグ情報を、タグへ書込み又はタグ力も読出してやりとりすることができる。

[0083] 本発明の実施の第 21の形態は、実施の第 20の形態において、機密情報を含んだ又は機密情報に関連した情報の印刷出力の処理において、機密情報についてはそれ自体又はその機密情報へのアクセスのための情報を前記無線 ICタグに記憶させ、そして、紙などの前記媒体上には機密に係るものを除いた情報を画像として印刷することを特徴とするちのである。

[0084] このような構成によって、機密情報についてはそれ自体又はその機密情報へのァクセスのための情報 (例えば、機密情報がネットワーク上のサイトなどに置かれているときのそのネットワークアドレス、サイト名、ファイル名、ノスワード等）を無線 ICタグに記憶させ、かつ、紙などの前記媒体上には機密に係るものを除いた情報を画像として印刷することで、何人にも視認可能な画像としては機密情報を除いた情報に限り、機密情報はセキュリティ機能を有したタグに記憶させて配布することができる印刷物を作製することができる。 [0085] 例えば、そのようなタグが設けられた印刷物を、リーダを備えていない複写機で複写したとき、又は、機密情報に対するパスワードなどを知らずに複写したときには、タグ内に記録されている機密情報は可視画像化されることなぐ一般的な複写同様に視認可能な画像のみが複写される。一方、機密情報に対するパスワードなどを知る者は、視認可能な画像に重ねて機密情報も可視画像化させた複写や、機密情報のみを別の書面として印刷させたりなどできる。このとき、そのパスワードが有する機密情報に対する権限レベルなどに応じてその権限に係る機能を種々異なるものとすることちでさる。

[0086] そして、このような印刷物についてもその裏表の面毎に異なるセキュリティを掛けるなどして (例えばネットワークアドレス、パスワード、その他が異なる）、機密情報を印刷物の裏表の別によつてそこに印刷された画像と関連付けて、特定の者のみに開示することなどができる。

実施例

[0087] 以下、本発明の各実施例について図面を用いて説明する。

[0088] (第 1の実施例）

本実施例では、本発明に係る無線 ICタグ (本実施例において、単に本タグとも呼ぶ )であって、無線電波でリーダとのデータ通信を行うことができ、また本タグの裏表の面それぞれに受光素子を備えたものが、印刷用紙、印刷紙その他の書類用の紙などの記録媒体 (書類用紙）に埋め込まれて設けられた例について説明する。

[0089] 図 1は、本タグが埋め込まれた書類用紙の模式図で、図 1 Aはその上面を、図 1Bは図 1 Aにおける線 A1での断面を拡大して示す。

[0090] 図 1において、無線 ICタグ 1は、書類用紙 2の紙厚内に埋め込まれている。ここで、書類用紙 2は、タグ 1が埋め込まれて、タグ 1のおもて面 la又は裏面 lbに面している箇所 (2A)ではその紙の厚さが薄くなつており、書類用紙 2の外部の光がその箇所 (2 A)を通してタグ 1に透過できるものである。

[0091] 図 2は、無線 ICタグ 1を模式的に示すもので、図 2Aは上面図、図 2Bは図 2Aにおける線 A2での断面図、図 2Cは下面図である。

[0092] 図 2において、回路基板 3には、無線 ICタグ 1を構成する回路素子群 4が実装されている。

[0093] 受光素子 5は、受光部分を無線 ICタグ 1のおもて面 (タグおもて面と呼ぶ） la側へ向けて、回路基板 3のおもて面側に実装され、タグおもて面 laへの外部光を受光する素子である。一方、受光素子 6は、受光部分をタグ 1の裏面 (タグ裏面と呼ぶ） lb側へ向けて、回路基板 3の裏面側に実装され、タグ裏面 lbへの外部光を受光する素子である。受光素子には、本実施例ではフォトダイオードを用いている。書類用紙 2内に埋め込まれた無線 ICタグ 1の回路基板 3は、書類用紙 2とほぼ平行になるので、受光素子 5の受光部分が書類用紙 2の一方の面に向き、受光素子 6の受光部分が他方の面に向くことになる。

[0094] タグカバー 7は、受光素子 5及び 6その他の回路素子が実装されて含まれた回路基板 3を保持し、かつ外部力ゝらの湿度などの影響を遮断するための榭脂を素材とした力バーであり、そして、受光素子 5及び 6の受光部分が面する箇所は、透明に形成されて、書類用紙 2の外部からの光を透過することができる光透過窓 8を成し、その他の箇所は、書類用紙 2の外部力の光が無線 ICタグ 1内部へ透過しな、不透明に形成されている。なお、受光素子 5、 6の受光部分を書類用紙 2の各面に向けず、この光透過窓 8から無線 ICタグ 1の内部に光を透過させる透過部を設け、その透過部を通して受光素子 5、 6の受光部分に当該光を導く構成をとつてもよい。

[0095] 図 3は、受光素子 5及び 6並びに回路素子群 4からなる無線 ICタグ 1の回路ブロックの構成を示すブロック図である。

[0096] 図 3において、アンテナ 9は、本実施例では、図 1に図示していないが書類用紙 2の内部に設けられており、無線 ICタグ 1が、書類用紙 2の外部に存する無線 ICタグ 'リーダ (書込み機能を有するものも含む。単にリーダとも呼ぶ)から電力の供給を無線電波で受け、かつそのリーダとの間で、後述するメモリーに保持される情報、その機能 ·動作の制御に係る情報その他のタグ情報を授受するデータ通信を無線電波で行うためのものである。

[0097] 電源発生回路 10は、受信される無線電波の搬送波によってアンテナ 9に励起された電流を整流 ·平滑化して、その電流による電力を無線 ICタグ 1の回路に対する電源とする。ここで、電源発生回路 10は、ある程度の蓄電機能を有し、それによつて、無線電波が切れた後も、所定時間以上、タグ 1の回路を動作させることができる。

[0098] 復調回路 11は、アンテナ 9が受信した無線電波の搬送波に変調されている信号を復調する回路で、復調された信号は後述する制御回路 12へ与えられる。

[0099] 一方、変調回路 13は、制御回路 12から出力され、リーダへ送信されるべき信号によって、無線搬送波を変調して、その変調された無線搬送波をアンテナ 9に与える。そして、その変調された無線搬送波はアンテナ 9を通して外部へ放射される。

[0100] メモリー 14は、タグ情報の少なくとも一部のデータを保持する記憶素子 (本実施例においてメモリー 14が記憶する情報であって、外部力も読み書きがされる状態にあるものをメモリ情報と呼ぶ)で、本実施例では、その記憶素子は保持されるデータの書換えが可能なものとし、そしてそのデータは制御回路 12によって読み書きがされるものとしている。なお、メモリ情報には、後述する、無線 ICタグ 1における受光の状態を示す情報 (受光情報と呼ぶ)を含めてもよく、本実施例では含めてヽる。

[0101] 受光素子（おもて） 5は、図 2において受光部分をタグおもて面 laへ向けて実装された受光素子 5であり、タグ 1の外部力タグおもて面 laへ照射された光を電気信号として制御回路 12に与える。また、受光素子 (裏） 6は、図 2において受光部分をタグ裏面 lbへ向けて実装された受光素子 (裏） 6であり、タグ 1の外部力タグ裏面 lbへ照射された光を電気信号として制御回路 12に与える。

[0102] 制御回路 12は、復調回路 11、変調回路 13、メモリー 14並びに受光素子 5及び 6を入出力とし、それらからの又はそれらへの入出力信号を処理して、タグ 1の機能-動作を制御する。さらに、タグ 1の機能 ·動作を制御して、リーダとの間で、無線電波で互いにデータ通信を行うこともできる。

[0103] 制御回路 12におけるメモリ切換え回路 15は、制御回路 12がメモリー 14力も読出すメモリ情報を、受光素子 5及び 6での光の受光量によって切換えるものである。このメモリ切換え回路 15について、さらにその詳細を次に説明する。

[0104] 図 4は、メモリ切換え回路 15及びメモリー 14の回路構成を示す。

[0105] 図 4において、積分器 16及び 17は、所定 (0. 3秒程度）の時定数を有して受光素子 5又は 6での受光量に応じた信号を積分するもので、その信号における高周波成分をろ過する。これにより、所定の時間平均での受光量に相当する信号が得られる。 [0106] 減算器 18は、受光素子（おもて） 5及び積分器 16で得られるタグおもて面 laの受光量から、受光素子 (裏) 6及び積分器 17で得られるタグ裏面 lbの受光量を減算する。そして、絶対値演算器 19は、その減算結果の絶対値を求める。

[0107] これらの減算器 18及び絶対値演算器 19によって、タグおもて面 laの受光量とタグ裏面 lbの受光量とについて、それらのいずれの多少にかかわらず、それらの差分の絶対値に相当する信号が得られる。

[0108] 第 1の比較器 20は、入力のアナログ信号の電圧を比較してデジタル信号を出力するもので、出力デジタル信号を、タグおもて面 laの受光量がタグ裏面 lbの受光量以上のときには高電圧 (デジタル回路信号の高電圧を意味し、 "H"とも記す）に、タグおもて面 laの受光量力タグ裏面 lbの受光量より少ないときには低電圧 (デジタル回路信号の低電圧を意味し、 "L"とも記す）にする。

[0109] 第 2の比較器 21は、前述の差分の絶対値に相当する信号が、所定の電圧以上のときに、高電圧（"H")のデジタル信号を出力する。すなわち、タグおもて面 laの受光量とタグ裏面 lbの受光量との差が所定の値 (この値を閾値と呼ぶ）以上のとき、その出力デジタル信号が高電圧 ("H")となる。

[0110] D型フリップ 'フロップ 22は、その C端子には本タグ 1の制御回路 12の全体に渡つて使用されて、るデジタル処理回路用の同期信号である、わゆるクロック信号 (Cloc k)が入力されており、これにより、第 1の比較器 20及び第 2の比較器 21の各出力信号もそのクロック信号に同期化させている。ここで、クロック信号 (Clock)の周波数は、本実施例では、 1MHzとしている力デジタル回路を構成している素子の遅延時間よりも長い周期で、かつ、本タグ 1の処理応答速度についての設計仕様を満たすものであれば、いくらであってもよい。

[0111] 第 1の J—Kフリップ.フロップ 23は、その出力 Qを、制御回路 12内の他の回路から与えられるクリア信号 (Clear) (後述）の高電圧（"H")によって、低電圧（"L")にタリァし、その後、第 2の比較器 21の出力がいったん高電圧（"H")に、すなわち、タグおもて面 laの受光量とタグ裏面 lbの受光量との差が所定の値以上になると、高電圧 (" H")にセットする。つまり、第 1の J—Kフリップ'フロップ 23の出力信号 X2における高電圧" H"の状態は、本タグ 1がそのいずれか一つの面で所定の受光をしたことを示すものとみなせる。そして、本実施例では、回路接続の便利のため、第 1の J— Kフリツプ 'フロップ 23の出力 X2について、その信号論理 (信号における高電圧又は低電圧の状態）が反転されたものである信号 X2—も併せて出力するものとしている。

[0112] 第 2の J—Kフリップ.フロップ 24も、その出力 Qを、制御回路 12内の他の回路から与えられるクリア信号 (Clear)によってクリアする。そして、その後、第 2の比較器 21 の出力が高電圧（"H")で、かつその間において、第 1の比較器 20がいったん高電圧（"H")に、すなわち、タグおもて面 laの受光量力タグ裏面 lbの受光量以上であると、その出力を高電圧（"H")にセットする。つまり、第 2の J—Kフリップ'フロップ 24の出力信号 XIにおける高電圧" H"は、本タグ 1がそのおもて面 laで所定の受光をしたことを示すものとみなせる。

[0113] ここで、第 1の J—Kフリップ'フロップ 23及び第 2の J—Kフリップ'フロップ 24は、それぞれ、出力の状態がいったんセットされると、その状態を、 J Kフリップ'フロップが次にクリアされるまでの間、その間の受光素子 5及び 6の受光状態にかかわらず保持し、固定している。

[0114] デコーダ 25は、第 1の J— Kフリップ 'フロップ 23の出力 X2と第 2の J— Kフリップ 'フロップ 24の出力 XIとを合わせた信号を 2ビットの 2進符号とみなしてそれを 4通りの状態に復号化する。本実施例では、第 1の J—Kフリップ'フロップ 23の出力信号 X2を 2 進数の 2の位として、第 2の J—Kフリップ'フロップ 24の出力信号 XIを 2進数の 1の位としてデコーダ 25に入力している。そして、デコーダ 25の出力 Y3は X2が高電圧（" H")でかつ XIが高電圧（"H")のときに、また、出力信号 Y2は X2が高電圧（"H")でかつ XIが低電圧 ("L")のときに、それぞれ高電圧 ("H")となる。

[0115] 引続き図 4において、メモリー 14は、本実施例では、 3つの記憶素子（26、 27、 28) で構成され、それぞれは、データの記憶容量が 4, 096ビット (4kビット）（従って、 4, 096ビットまでのメモリ情報が記憶できる。）で、 12ビットのアドレス空間を有したものであり、アドレス（信号 Address)が制御回路 12から共通に与えられるものとしている。さらに、これら 3つの記憶素子（26、 27、 28)は、前述したメモリ切換え回路 15からの信号 X2—、 Y2及び Y3によって!/、ずれか 1つのみが選択（、わゆるチップセレクト )されてそのデータが出力（信号 Data)され、そのデータの読取りが制御回路 12によつてできる構成としている。

[0116] すなわち、メモリー 14は、信号 X2—の高電圧（"H")によって第 1の記憶素子 26が選択され、信号 Y2の高電圧 ("H")によって第 2の記憶素子 27が選択され、また、信号 Y3の高電圧（"H")によって第 3の記憶素子 28が選択される。

[0117] このように、メモリ一 14は、本実施例では、 4, 096ビットまでのメモリ情報を 3種類記憶することができ、メモリ切換え回路 15からの信号 X2—、 Y2及ひ Ύ3によってその種類の切換えが行われる。本明細書では、メモリ情報をその種類について区別するとき、第 1の記憶素子 26が記憶するメモリ情報 (第 1の種類)を第 1メモリ情報と、第 2の記憶素子 27が記憶するメモリ情報 (第 2の種類)を第 2メモリ情報と、第 3の記憶素子 28 が記憶するメモリ情報 (第 3の種類)を第 3メモリ情報と、それぞれ呼ぶ。

[0118] (表 1)は、タグおもて面 la及びタグ裏面 lbでの各受光量の関係及びその差の程度と、第 1の J一 Kフリップ'フロップ 23 (第 1J— K'FF)の出力信号 X2及び第 2の J— Kフリップ .フロップ 24 (第 2J—K-FF)の出力信号 XIと、メモリー 14を構成する 3つの記憶素子 (26、 27、 28)の選択状態と、各記憶素子に記憶される受光情報との対応関係を示す。

[0119] [表 1]

O: 選択、 - : 非選択

(表 1)において、例えば、第 1J— K'FFの出力信号 X2が" H" (高電圧）で、第 2J— K'FFの出力信号 XIが" H" (高電圧）の場合、これは、タグおもて面 laの受光量とタグ裏面 lbの受光量とについて、それらの受光量の差が大きぐかつ、タグおもて面 la の受光量力タグ裏面 lbの受光量以上であること、つまり、タグ 1がそのおもて面 laで所定の受光をしたときにあたり、そして、このとき、メモリー 14は、第 3の記憶素子 28 が選択されることを示す。また、例えば、第 1J— K'FFの出力信号 X2が" L" (低電圧 )の場合、これは、タグおもて面 laの受光量とタグ裏面 lbの受光量とにつ、て、それらの受光量の差が小さいこと、つまり、タグ 1が、後述するように所定の受光をしていなレ、ときにあたり、そして、このとき、メモリー 14は、第 1の記憶素子 26が選択されることを示す。

[0120] また、受光情報として、第 1の記憶素子 26は [受光情報 1] (例えば、数値の 1)を、第 2の記憶素子 27は [受光情報 2] (例えば、数値の 2)を、第 3の記憶素子 28は [受光情報 3] (例えば、数値の 3)を、それぞれの記憶するメモリ情報の一部に含めて記憶するものとしてレ、ることを示す。

[0121] ここで、受光情報は、無線 ICタグ 1における受光の状態を示す情報であり、 [受光情報 1]、 [受光情報 2]及び [受光情報 3]は、受光の各状態に応じて互いに異なるデータ (本実施例では、値)としている。また、上述したように、メモリ切換え回路 15は、無線 ICタグ 1が光を受けて発生した受光信号 (受光素子 5及び 6の出力信号)に応じて信号 X2—、 Y2、 Υ3を出力し、そして、メモリー 14は、その受光信号に応じた信号 X 2—、 Υ2、 Υ3によって、受光情報が含まれたメモリ情報の種類が切換えられる。従つて、メモリー 14が出力するメモリ情報に含まれた受光情報のデータの別によつて、タグ 1における受光信号の状態を特定し、また知ることが可能である。

[0122] 再び図 4において、前述のメモリ切換え回路 15を備えた制御回路 12は、無線 ICタグ 1の機能'動作を制御して、リーダとの間で、無線電波で互いにデータ通信を行うことができる。（表 2)は、そのデータ通信が行われる情報（問い合わせコマンド又は単にコマンドと呼ぶ）のレ、くつ力を示し、また、そのコマンドに対するタグ 1の応答の動作の関係を示す。

[0123] [表 2]

Ο: 応答、 - : 不応答

II ぇ 3 C (表 2)において、例えば、タグ検出コマンドは、リーダがその通信可能な範囲内に無線 ICタグ 1が入ったことを検出するためにその検出のための情報を含んだ問い合わせコマンドであることを示す。

[0124] また、応答欄は、各コマンドに対し、タグ 1における受光情報が〇印の付されたもの

(本実施例では、 [受光情報 1]、 [受光情報 2]及び [受光情報 3])であるときに限り、タグ 1が応答することを示す。例えば、タグ 1は、タグ検出コマンドに対し、タグ 1の受光情報が [受光情報 1]、 [受光情報 2]又は [受光情報 3]のいずれであっても、すなわち受光信号の状態にかかわらずリーダへ応答することを、また、読取り完了コマンドに対し、受光情報が [受光情報 2]又は [受光情報 3]のどちらかであるときにリーダへ応答し、受光情報が [受光情報 1]であるときには応答しないことを示す。

[0125] このように、本無線 ICタグ 1は、リーダ力もの無線電波を受けたとき、その応答の動作が、リーダ力も送信されたコマンドの別と、受光情報の別、すなわち、タグ 1における受光の状態の別とに応じて異なる。

[0126] 以上の構成において、次に本無線 ICタグ 1の動作について説明する。

[0127] ここでは、一例として、リーダを内蔵し、書類用紙 2の紙面上の画像を読取って原稿とし、その原稿を別の用紙に印刷して書類の複写などを行うデジタル複合機が、タグ 1が設けられた書類用紙 2の紙面上の画像を読取って印刷の原稿とする例を説明する。

[0128] 図 5は、本実施例におけるデジタル複合機の概略構成を示す図である。このデジタル複合機 100は、従来の一般的な複写機と同様、その画像読取り部として、画像スキャナ 101を備えたもので、画像読取りスキャナ 102又は書類用紙 2を移動することにより、その画像読取りの領域を画像読取りの対象である書類用紙 2に対して相対的に移動（走査）させながら読取りを行う。画像読取りスキャナ 102は、その画像読取りのための線状の光源を有しており、その照射領域を画像読取りの領域と共に書類用紙 2に対して相対的に移動（走査）させる。画像読取りスキャナ 102を移動する場合、原稿台である透明なガラス板 37に書類用紙 2が置かれる。画像読取りスキャナ 102は、そのガラス板 37の下方に配置されており、矢印 103方向に往復動が可能に取り付けられている。画像読取りスキャナ 102は、矢印 103方向に移動しながらガラス板 37に置かれた書類用紙 2の紙面全面を照明し、その反射光像を光電変換する。これにより画像スキャナ 101は、原稿の画像データを取得する。

[0129] 書類用紙 2を移動する場合、原稿台カバーを兼ねる自動原稿送り装置 104が用いられる。この場合、画像読取りスキャナ 102は、画像スキャナ 101の天面に配置された他のガラス板 105の下方に一時的に固定される。自動原稿送り装置 104が、複数枚の書類用紙を 1枚ずつガラス板 105上に給送することで、書類用紙に対して画像読取りスキャナ 102が相対的に移動する。これにより画像スキャナ 101は、書類用紙の紙面力原稿の画像データを得る。

[0130] デジタル複合機 100は、画像スキャナ 101の下方に画像形成部 106を備え、画像形成部 106は、画像スキャナ 101により得た画像データを蓄積したり、ネットワークを通じて転送したり、ファクシミリ送信したり、印刷用紙に印刷したりする。

[0131] 図 6は、デジタル複合機の原稿台に書類用紙を置いた状態の一例を示す図である。この例では、書類用紙 2がガラス板 37上に置かれている。書類用紙 2の長手方向が矢印 102方向と平行な横方向に配置されており、本無線 ICタグ 1は、画像読取りスキヤナ 102の待機位置に近い位置にあることになる。このため、読取り開始後まもなく本無線 ICタグ 1も画像読取りスキャナ 102により照明されることになる。読取り時には、画像読取り部の天面が原稿台カバーにより覆われるため、書類用紙 2のガラス板 3 7に向いた面のみが照明により明るくなる。本無線 ICタグ 1は、例えばこのような状態で、デジタル複合機の内蔵するリーダからのコマンドにしたがって動作する。

[0132] 図 7は、デジタル複合機における情報処理回路の概略構成の一例を示す図である。デジタル複合機 100は、装置全体を制御するために情報処理回路 200を備える。情報処理回路 200には、 CPU201や RAM202、 ROM203を有する汎用の処理回路を用いることができる。 CPU201は、バス 204を通じて RAM202や ROM203と接続されており、 ROM203に格納された制御プログラム 205のコードを読み出して、装置全体を制御する。

[0133] ノス 204【こ ίま、インターフェイス回路 206、 207、 208を介して、ディスプレイ 209や、画像読取りスキャナ 102、リーダ 210とそれぞれ接続されている。 CPU201は、制御プログラムの指令にしたがってバス 204を通じて、これらのデバイスに対し入出力を行い制御する。

[0134] ディスプレイ 209は、デジタル複合機 100の操作パネルに配置されるものであり、 C PU201の制御にしたがって、ユーザが複合機 100を操作したり、ユーザに情報を通知したりする画面を表示する。

[0135] 画像読取りスキャナ 102は、 CPU201の制御により、光源 211を点灯し、原稿台におかれた書類用紙 2の紙面を照明する。複数枚の書類用紙 2が綴じられている場合、それら書類用紙 2のうち、光源 211に対して最前面にある書類用紙 2の紙面が照明される。

[0136] リーダ 209は、書類用紙 2に埋め込まれた無線 ICタグ 1と無線通信を行う。通信範囲内にある無線 ICタグ 1にコマンドを送り、無線 ICタグ 1は、そのコマンドにしたがつて動作し、必要な場合、そのコマンドに対して応答する。複数枚の書類用紙 2に埋め込まれた無線 ICタグ 1がリーダ 209の通信範囲内にある場合でも、光源 211に対して最前面にある書類用紙 2の紙面が照明されると、その書類用紙 2に埋め込まれた無線 ICタグ 1だけ力上述の読取り完了コマンドに対して応答をする。

[0137] 図 8は、本実施例の無線 ICタグ 1の動作を説明するための、デジタル複合機 100と無線 ICタグ 1とのコマンドシーケンスを示す図である。

[0138] 図 8において、まず、デジタル複合機 100に内蔵されたリーダは、通常、その通信可能な範囲内に無線 ICタグ 1が入ったことを検出するためにその検出のための情報を含んだ問い合わせコマンド (タグ検出コマンドと呼ぶ）を通信データとして一定周期で繰返し無線電波を発している（図 8におけるステップ Sl。以下、単に S1とも記す。他のステップにつヽても同様)。

[0139] このような状態において、書類用紙 2がデジタル複合機 100の原稿台に置かれると、書類用紙 2に埋め込まれた無線 ICタグ 1は、複合機 100に内蔵されたリーダ 209に近接する形となり、リーダ 209からの無線電波を受けたとき、その無線搬送波がアンテナ 9において所定強度以上になる。これにより、電源発生回路 10での電源の発生量がタグ 1内の回路が動作するのに必要な量を超え、タグ 1内の回路が、所定時間、動作可能になる。

[0140] そして、無線 ICタグ 1は、受信した無線電波について、その無線電波に変調されている信号を復調回路 11で復調し、その復調された信号を制御回路 12で処理してリーダ 209からのデータ受信を行、、データ受信したリーダからの通信データをタグ検出コマンドと判別したときには、（表 2)に示されるようにタグ 1の受光情報の種類にかかわらずそのコマンドに応答して、メモリ情報に基づいたタグ情報をリーダへデータ送信する（S2)。

[0141] 一方、リーダは、その検出コマンドの送信に対する応答として、無線 ICタグ 1からのタグ情報を受信したとき、その受信によって、原稿台に書類用紙 2が置かれたことを検知する。そして、デジタル複合機 100は、受信されたタグ情報をもとに必要な処理' 制御を行うことができる。ここで、本実施例では、デジタル複合機 100は、この時点でのタグ情報に含まれた受光情報は無視して、それによる特段の処理'制御は行っていない。

[0142] このとき、デジタル複合機 100の原稿台に置かれた書類用紙 2が複数ある (例えば、複数枚の書類用紙が綴じられた書類)場合、各書類用紙 2に設けられた無線 ICタグ 1のいずれもがリーダへ応答するが、リーダ 209は、この時点では、原稿台に書類用紙 2が置かれたことが検知できればよぐ応答が複数あることによる支障はない。

[0143] 次に、書類用紙 2が原稿台に載置されたことを知ったデジタル複合機 100は、その複写などの開始の要求がオペレータなどによって指示されると、まず、内蔵したリーダ 209から、無線 ICタグ 1に対し画像読取りの開始を示す情報を含む問い合わせコマンド (読取り開始コマンドと呼ぶ)を通信データとして送信する。

[0144] 一方、無線 ICタグ 1は、データ受信したリーダ 209からの通信データを読取り開始コマンドと判別したときには、制御回路 12が、クリア信号 (Clear)をパルス状に所定時間だけ高電圧（"H")とする。これによつて、第 1の J—Kフリップ'フロップ 23及び第 2 の J—Kフリップ'フロップ 24は、それぞれの出力を低電圧（"L")にクリアし、従ってメモリー 14は、（表 1)に示したように、本実施例の場合、第 1の記憶素子 26が選択され、 [受光情報 1]を含んだ第 1メモリ情報がメモリ情報となる。

[0145] ところで、無線 ICタグ 1は、前述したように、書類用紙 2への外光について、おもて面 laへの光を受光素子 5が受光し、裏面 lbへの光を受光素子 6が受光し、そのおもて面 la及び裏面 lbへのそれぞれの光の強度におけるそれらの差の有無とその向きに応じた信号をメモリ切換え回路 15内で発生することができるが、この時点では、デジタル複合機 100での画像読取りのための照明が点灯されておらず、受光素子 5及び受光素子 6は、共に、複合機 100が設置されている周囲の外光を受けて室内光程度で同程度の受光量となっている力原稿台カバーが閉じられているときには、受光が殆ど無い状態となっている。従って、この時点では、メモリ切換え回路 15における信号 X2—、 Y2、 Υ3の状態は、受光信号による変化がなぐメモリー 14は、第 1の記憶素子 26が選択され、その第 1メモリ情報がメモリ情報となった状態のままである。この状態は、その後の無線 ICタグ 1の受光による信号 Χ2—、 Υ2、 Υ3の状態に変化があるまでの間、保たれる。

[0146] このように、読取り開始コマンドを受信した無線 ICタグ 1は、メモリ情報が第 1メモリ情報となり、そして受光情報力 S [受光情報 1]となっているので、次に、（表 2)に示されるようにそのコマンドに応答して、メモリ情報である第 1メモリ情報に基づいてタグ情報をリーダ 209へデータ送信する（S3)。ここでも、デジタル複合機 100の原稿台に置かれた書類用紙 2が複数ある (例えば、複数枚の書類用紙が綴じられた書類)場合、各書類用紙 2に設けられた無線 ICタグ 1のいずれもがリーダ 209へ応答する力後述するように、応答が複数あることによる支障はない。

[0147] 一方、リーダ 209は、その読取り開始コマンドの送信に対する応答として、無線 ICタグ 1からのタグ情報を受信すると、その受信によって、タグ 1の制御回路 12が第 1の J —Kフリップ'フロップ 23及び第 2の J— Kフリップ'フロップ 24のクリアを完了したものとみなす。ここで、リーダ 209は、デジタル複合機 100の原稿台に置かれた書類用紙 2が複数ある場合にも対応できるよう、所定時間、複数のタグ 1からの応答を受取るものとしており、また、本実施例では、この時点でも、各タグ情報に含まれた受光情報（ [受光情報 1])は無視するものとして、それによる特段の処理 ·制御は行っていない。

[0148] その後、デジタル複合機 100は、画像読取りのための照明を点灯し、画像スキャナ及び照明の走査を開始して、その照明を書類へ照射しつつ、原稿となる画像を光学的に読取る画像読取り部での画像の読取りを行う。

[0149] ここで、その画像の読取りの間、リーダ 209は、無線 ICタグ 1に対し、その電源を供給し、照明光の受光を促すために、タグ 1での受光を指示するための情報を含んだコマンド (受光コマンドと呼ぶ)を通信データとした無線電波を一定周期で繰返し発する

[0150] 一方、無線 ICタグ 1は、その受光コマンドの受信に対して、本実施例では、（表 2)に示されるように応答することはせずタグ情報の送信を行わな、が、受光素子 5及び受光素子 6での受光の検出、並びにその受光信号に基づくメモリ切換え回路 15での信号の発生の動作を、受光コマンドが継続して受信できている間、継続して行う。この受光及び信号の発生の動作は、先のステップ S3における読取り開始コマンドに対する応答としてのタグ情報を送信した後、次に、後述する読取り完了コマンドを受信するまでの間 (この間を受光検出期間と呼ぶ)、行う（S4)。

[0151] このような受光検出期間において、無線 ICタグ 1は、デジタル複合機 100での画像読取りのための照明の走査がされ、その照明を受光素子 5又は受光素子 6にて受けると、その時、その照射の向きに面した一方の受光素子が他方の受光素子よりも強い光を受けるので、第 1の J—Kフリップ'フロップ 23の出力信号 X2を高電圧（"H")にセッ卜する。

[0152] ここで、デジタル複合機 100の原稿台に置かれたものが、例えば、複数枚の用紙が綴じられた書類の場合、その綴じられた用紙のうち照明の照射の向きに面した最上面の書類用紙 2に設けられた無線 ICタグ 1のみが、照明を受けて、上述の、第 1の J— Kフリップ'フロップ 23の出力信号 X2を高電圧（"H")にセットする動作を行う。このように、タグ 1は、書類の最上面にない書類用紙 2に設けられたものでは、複合機 100 力もの照明の照射によってもその信号 X2が高電圧（"H")にセットされないよう、第 2 の比較器 21の閾値が設定されている。なお、第 2の比較器 21の閾値の設定は、タグ 1がリーダ 209からの指令 '情報に従ってその値を可変として設定ができるものとしてちょい。

[0153] そして、その照明を受けた当該無線 ICタグ 1のメモリー 14は、（表 1)に示したように、第 2又は第 3の記憶素子が選択されて、第 2メモリ情報又は第 3メモリ情報がメモリ情報となる（S5)。

[0154] ここで、メモリ情報の種類が第 2メモリ情報又は第 3メモリ情報の、ずれであるかは、

(表 1)に示したように、受光信号に係る第 2の J—Kフリップ'フロップ 24の出力（信号 X2及び X2— )の状態に従っており、原稿台に置かれた書類用紙 2の裏表の向きによって特定される。すなわち、当該無線 ICタグ 1は、書類用紙 2がそのおもて面を照明の照射の向きに面して原稿台に置かれているときには、 [受光情報 3]を含んだ第 3 メモリ情報をメモリ情報とし、また、書類用紙 2がその裏面を照明の照射の向きに面して原稿台に置かれているときには、 [受光情報 2]を含んだ第 2メモリ情報をメモリ情報とする。

[0155] その後、デジタル複合機 100がその画像の読取りを終えると、リーダ 209は、タグ 1 に対し画像の読取り完了を示す情報を含む問い合わせコマンド (読取り完了コマンドと呼ぶ)を通信データとして送信する。

[0156] 一方、第 2又は第 3の記憶素子が選択されて第 2メモリ情報又は第 3メモリ情報がメモリ情報となった当該無線 ICタグ 1は、その読取り完了コマンドを受信して、（表 2)に示されたように、そのコマンドに対する応答として、第 2メモリ情報又は第 3メモリ情報に基づくタグ情報をリーダ 209へ送信する（S6)。

[0157] ここで、デジタル複合機 100の原稿台に置かれた書類用紙 2が複数ある（例えば、複数枚の書類用紙が綴じられた書類)場合、各書類用紙 2に埋め込まれた無線 ICタグ 1は、前述したように、読取り開始コマンドを受けて、いずれも、そのメモリー 14において第 1の記憶素子 26を選択している。そして、その後、デジタル複合機 100での画像読取りの際に、その画像読取りのための照明を受けた当該タグ 1のみが、そのメモリー 14における選択を第 2又は第 3の記憶素子に切替えており、他方、その照明を受けなかった他のタグ 1は、そのメモリー 14における記憶素子の選択を切替えることなく第 1の記憶素子の選択を保っている。従って、書類用紙 2が複数ある場合であつても、その照明を受けな力つた無線 ICタグ 1は、第 1の記憶素子が選択されて第 1メモリ情報力^モリ情報となっており、（表 2)に示されたように、読取り完了コマンドに対するリーダ 209への応答を返さな、。

[0158] また、その照明を受けた当該無線 ICタグ 1は、メモリ情報が第 2メモリ情報又は第 3メモリ情報となって受光情報が更新された状態を保持して、るので、送信するタグ情報は、第 2メモリ情報又は第 3メモリ情報に基づくものであり、前述したとおり、書類用紙 2がそのおもて面を照明の照射の向きに面して原稿台に置かれているときには、 [受光情報 3]を含んだ第 3メモリ情報であり、また、書類用紙 2がその裏面を照明の照射の向きに面して原稿台に置かれているときには、 [受光情報 2]を含んだ第 2メモリ情報に基づくものとなる。

[0159] このように、リーダ 209は、デジタル複合機 100の原稿台に置かれたもの力例えば、複数枚の用紙が綴じられた書類の場合においても、その綴じられた用紙のうち照明の照射の向きに面した最上面の書類用紙 2に設けられた無線 ICタグ 1からそのタグ情報を受信する。さらに、そのタグ情報に含まれた受光情報の別によつて、タグ情報に含まれた受光情報力 [受光情報 3]のときには、書類用紙 2はそのおもて面を照明の照射の向きに面して原稿台に置かれており、また、 [受光情報 2]のときには、書類用紙 2はその裏面を照明の照射の向きに面して原稿台に置かれているものと、書類用紙 2の裏表の向きを検知することができる。この検知は、リーダ 209により行ってもよいし、情報処理回路 200により行ってもよい。

[0160] その後、デジタル複合機 100は、画像読取りのための照明を消灯し、画像読取り部での 1つの画像の読取りを完了する。

[0161] ここで、画像読取り部での画像の読取りが複数の書類用紙 2について行われる場合には、以上のステップ S1からステップ S6までの動作がその複数の書類用紙 2の数だけ繰返し行われることになる。

[0162] 以上述べたように、リーダ 209からの所定の電波などを受けたとき、リーダ 209との情報のやりとりに関し、外光を受光して得られた受光信号に基づき、その受光信号によってはリーダ 209への応答を行わず、又は、やりとりするタグ情報を少なくともその一部にその受光信号に応じた受光情報を含むものとすることで、無線 ICタグ 1は、それが 1つであっても、そのタグ 1が設けられた有体物（例えば印刷紙などの書類用紙 2 )への外光となる照明光の方向'向きを変えることによって、タグ情報を、外光を受光できる方向 ·向きの数だけ、その照明光の方向 ·向き毎に、それぞれ異なるものとすることができる。

[0163] そして、デジタル複合機 100などでの書類の複写などにおける画像読取りのための照明のように照明の方向'向きを所定のものとすれば、その方向'向きに対して、そのタグが設けられた有体物 (例えば書類用紙 2)の置かれた方向 ·向きによって、タグ情報を、外光を受光できる方向の数だけ、有体物の置かれた方向'向き毎 (例えば書類用紙 2の裏表の面毎）に、それぞれ異なるものとすることができる。従って、リーダ 209 や情報処理回路 200は、書類用紙 2などの有無が検知できると共に、その照射方向 •向きを予め所定のものとしておくことで、その書類用紙 2などが置かれた方向 ·向き（例えば書類用紙 2のおもて面又は裏面の面した向き）についても同時に知ることができる。

[0164] また、このような無線 ICタグは、それが設けられた例えば書類用紙 2が複数枚束ねられた書類の場合においても、その書類の複写が行われるとき、書類の読取りのための照明光が当てられる原稿台に面した書類用紙 2のタグのみがその照明光に反応してリーダ 209へ応答し、所定の照明条件下にない他の書類用紙 2のタグは応答しないものとできるので、電波などを受けた複数のタグでのデータの衝突がなぐ所定の照明条件下にあるタグのみの検出を可能とすることができ、そして、その複写を行う者は、複写の際、書類を 1枚毎に分けることなぐ書類用紙 2の束のまま原稿台に置くことがでさる。

[0165] デジタル複合機 100は、例えば複数枚束ねられた書類用紙 2がそれぞれ両面印刷された印刷用紙であり、各書類用紙 2の裏面のみを複写する設定になっているとき、各書類用紙 2の裏面のタグ情報をおもて面のタグ情報や他の書類用紙 2のタグ情報と区別することができる。タグ情報に、デジタル複合機 100の制御情報や重ね合わせ画像のデータが含まれている場合、デジタル複合機 100は、各書類用紙 2の裏面のタグ情報にしたがって動作することができる。書類用紙 2の裏面力 Sカラー画像であり、おもて面がモノクロ画像であっても、デジタル複合機 100は、裏面のタグ情報を参照することにより、カラー印刷をすることが可能となる。各書類用紙 2の裏表についてュ一ザが印刷モードを指定する必要がない。さらにデジタル複合機 100は、各書類用紙 2の裏面を読み取つたことを検知すると、情報処理回路 200の制御により、裏面の画像読取りが完了したことをディスプレイ 209に表示したりブザーを鳴らしたりして、ュ一ザに報知することができる。それにより、書類用紙 2の同じ紙面をユーザが誤って繰り返し複写する可能性を軽減することが可能である。また書類用紙 2のおもて面を読み取つたことを検知すると、情報処理回路 200の制御により、おもて面の画像読取りが行われたことをユーザに報知することができる。ユーザは、誤って書類用紙 2のおもて面の画像を読み取ってしまったことを把握することができる。

[0166] このように、無線 ICタグにおいて、物の裏表の検出ができ、そして、書類用紙 2などにおいて複数束ねられた形態で使用されるときでも、その束の表面にある書類用紙 2 の面についての情報を伝えることができる。

[0167] なお、受光情報 (本実施例では [受光情報 1]、 [受光情報 2]及び [受光情報 3])は、本実施例では、 3つの状態 (値)のいずれかに区分して示した情報とした力その区分をさらに細かく（多く）したものとしてもよい。さらに、本実施例では、受光情報のデータを、無線 ICタグ 1が光を受けて発生した受光信号を処理して得た処理信号 (信号 XI及び X2)の状態 (組合わせ)を示す符号 (数値の 1、 2及び 3)としたが、受光信号そのものの信号状態 (例えば、各受光信号の電圧値など）を示し又は表したものであつてもょ、し、受光情報がこれらの状態を示し又は表す情報を含んで、るものとしてちょい。

[0168] このように受光信号を細力べ検出 ·処理することで、デジタル複合機力の照明についてその照射 (タグ 1での受光）の有無及び方向をより正確に検出することができ、また、タグ 1がリーダ 209からの指令 '情報に従ってタグ 1回路内における設定閾値を可変として設定ができるものとすれば、時々の状態に応じてより正確に適応できて、より正確な検出が行える。

[0169] また受光情報として、例えば各受光信号の電圧値のデータを含むタグ情報をリーダ 209が取得する場合には、デジタル複合機 100の情報処理回路 200やリーダ 209が、そのデータをもとに、媒体への光の照射の方向'向きを識別する光照射方向識別手段として動作することができる。

(第 2の実施例）

本実施例で説明する本発明に係る無線 ICタグ (本実施例にぉ、て、単に本タグとも呼ぶ）は、第 1の実施例のタグと同様に、無線電波でリーダとのデータ通信を行うことができ、また、光透過窓を具備するものである力その光透過窓における光の透過率力光が透過する方向に対した少なくとも一の方向において、一様ではなぐかつ、他のいずれとも互いに異なったパターンを成し、そして、本タグの内部に受光素子を 1つ備えたものである。本実施例では、本タグが、印刷用紙、印刷紙その他の書類用の紙などの記録媒体 (書類用紙）に埋め込まれて設けられた例について説明する

[0170] ここで、本タグが埋め込まれた書類用紙については第 1の実施例と同様なので、本実施例においても図 1を援用する。

[0171] 図 9は、無線 ICタグ 1を模式的に示すもので、図 9Aは上面図、図 9Bは線 A2での断面図、図 9Cは下面図である。

[0172] 図 9において、回路基板 3には、無線 ICタグ 1を構成する回路素子群 4が実装されている。

[0173] 受光素子 29は、本実施例ではフォトダイオードであり、回路素子群 4と共に回路基板 3に実装されている。この受光素子 29は、後述するように、書類用紙 2の外部からの光を受光するためのものである。

[0174] タグカバー 7は、受光素子 29その他の回路素子が実装されて含まれた回路基板 3 を保持し、かつ外部力もの湿度などの影響を遮断するための榭脂を素材としたカバ一であり、そして、そのおもて面 (タグおもて面と呼ぶ）（la)及び裏面 (タグ裏面と呼ぶ）（lb)のそれぞれ一部の箇所には、無線 ICタグ 1への外光を透過することができる光透過窓 30、 31が設けられ、また、その他の箇所は、書類用紙 2の外部力もの光がタグ 1内部へ透過しな、不透明に形成されて!、る。

[0175] タグカバー 7の一部を成した各光透過窓（30、 31)は、透明な榭脂を素材として無線 ICタグ 1への外光をさらにタグ 1の内部へ透過するためのものである力光の透過率が、図示された白い部分 (W及び w)では高ぐ濃く網掛けされた部分 (B)の部分では低い。そして、この光の透過率のパターンは、図示したように、線 A2の方向について、タグ 1のおもて面（la)と裏面（lb)とでは異なるものとしている。本実施例では、パターンは、図示したように、線 A2の方向について、タグおもて面 laの光透過窓 30 では中央部を Wとして、 w— B— W— B— wの順に並んだものであり、タグ裏面 lbの光透過窓 31では中央部を Bとして、 W— B— Wの順に並んだものとしている。ここで、 wは、幅が Wに比べて狭いものである。

[0176] 導光部材 32は、透明の榭脂であり、図示したような配置及び形状並びに部材の内外での光の屈折率の違いによって、光透過窓（30、 31)を透過してきた無線 ICタグ 1 への外光を、図中の 2点鎖線矢印のように、部材内に入射させ、その入射させた光を部材の内側面で反射させ、そして、その反射させた光を部材外にある受光素子 29の受光部分へ出射させて、タグ 1への外光を受光素子 29の受光部分へ導くことができるものである。この導光部材 32により、受光素子 29は、光透過窓 30又は光透過窓 3 1を透過した、ずれの光も受光することができる。

[0177] 図 10は、受光素子 29及び回路素子群 4からなる無線 ICタグ 1の回路構成を示すブロック図である。

[0178] 図 10において、アンテナ 9、電源発生回路 10、復調回路 11、変調回路 13及びメモリー 14は、第 1の実施例におけるものと同様のものである。

[0179] 受光素子 29は、図 9において受光部分を導光部材 32の一つの端面へ向けて回路基板 3に実装された回路素子であり、タグ 1の外部力タグおもて面 la又はタグ裏面 lbへ照射された光の量に応じた電気信号を制御ユニット 33に与える。

[0180] 制御ユニット 33は、中央処理ユニット（CPU)であるマイクロプロセシングユニット（C PUと呼称する） 34及び記憶素子 (タグ情報の少なくとも一部のデータを保持するための記憶領域に係る部分のみを、本実施例では、説明の便宜上、メモリー 35と呼ぶ )などを用いたコンピュータで構成されており、復調回路 11、変調回路 13及び受光素子 29を入出力とし、それらからの又はそれらへの入出力信号を処理して、タグ 1の機能，動作を制御する。そして、制御ユニット 33は、受光素子 29の出力する電気信号量 (電圧)をデジタル値に変換するアナログ Zデジタル (AZD)変翻36を備え、 CPU34が、適時、受光素子 29で受光されるその時の光の量をデジタル値にて入力し、信号処理することができる。

[0181] メモリー 35は、本実施例でも第 1の実施例と同様に 3つの記憶ブロック (これらを第 1 の記憶ブロック、第 2の記憶ブロック及び第 3の記憶ブロックと呼ぶ。また、本実施例におヽて記憶ブロックが記憶する情報をメモリ情報と呼ぶ)で構成され、記憶ブロック毎に、 CPU34のアドレス空間において、それぞれ異なる空間に割り付けられており、 CPU34力アクセスするアドレスによってブロックを区別してそのブロックの記憶データの読み書きができるものとされて、る。 [0182] そして、これらの第 1から第 3までの各記憶ブロックは、それぞれ、データの記憶容量が 4, 096ビット（4kビット）であり、従って、 4, 096ビットまでのメモリ情報が記憶できる (メモリ情報をその種類について区別するとき、第 1の記憶ブロックが記憶するメモリ情報 (第 1の種類)を第 1メモリ情報と、第 2の記憶ブロックが記憶するメモリ情報 (第 2の種類)を第 2メモリ情報と、第 3の記憶ブロックが記憶するメモリ情報 (第 3の種類）を第 3メモリ情報と、それぞれ呼ぶ)。そして、第 1メモリ情報は [受光情報 1] (例えば、数値の 1)を、第 2メモリ情報は [受光情報 2] (例えば、数値の 2)を、第 3メモリ情報は [受光情報 3] (例えば、数値の 3)を、受光情報として、それぞれの記憶するメモリ情報の一部に含めて記憶するものとしている。

[0183] ここで、受光情報は、無線 ICタグ 1における受光の状態を示す情報であり、 [受光情報 1]、 [受光情報 2]及び [受光情報 3]は、受光の各状態に応じて互いに異なるデータ (本実施例では、値)とし、本実施例では、 [受光情報 2]は、受光素子 29が光をタグ裏面 lbの光透過窓 31を通して受光したことを示すものと定めている。同様に、 [受光情報 3]は、受光素子 29が光をタグおもて面 laの光透過窓 30を通して受光したことを示すものと定めている。さらに、 [受光情報 3]は、それらのどちらの状態でもないことを示すものと定めて、る。

[0184] 再び、前述の CPU34、メモリー 35などを備えた制御ユニット 33について、それは、無線 ICタグ 1の機能 ·動作を制御して、リーダ 209との間で、無線電波で互いにデータ通信を行うことができるものである。ここで、そのデータ通信が行われる情報（問い合わせコマンド又は単にコマンドと呼ぶ）、及びそのコマンドに対するタグ 1の応答の動作の関係については、第 1の実施例と同様であり、（表 2)を援用する。そして、本無線 ICタグ 1は、リーダ 209からの無線電波を受けたとき、その応答の動作が、第 1の実施例と同様に、リーダ 209から送信されたコマンドの別と、受光情報の別、すなわち、タグ 1における受光の状態の別とに応じて異なる。

[0185] 図 11は、本無線 ICタグ 1が埋め込まれた書類用紙 2が、デジタル複合機 (画像スキャナ） 100の原稿台に置かれた状態での断面（図 1 Bにあたる）を拡大して示す模式図である。

[0186] 図 11において、ガラス板 37の上に画像読取りの対象となる書類用紙 2が置かれ、そして、画像スキャナがこのガラス 37を通してその下力も画像読取りのための照明を当てつつ画像読取りを行う。

[0187] 画像スキャナの内部に設けられた遮光板 38は、光を通さない板の一部に所定の幅

(WL) (無線 ICタグ 1の光透過窓（30、 31)のそれよりも長い）の開口部分を有したものであり、その開口部分においてのみ、照明力もの光 (光線 39)及び書類用紙 2でのその反射光を通し、その開口部分以外では、少なくとも照明からの光 (光線 39)を書類用紙 2に対して遮断することができるものである。そして、画像スキャナは、遮光板 3 8の開口部分を画像の読取りの領域及び照明領域の移動（走査）に連れて矢印 40の向きに移動させ、その開口部分を通して、照明を照射しつつ画像の読取りを行うことができる。

[0188] ここで、遮光板 38の開口部分の端部 38gは、ある程度先鋭に形成されたものとして、タグ 1が照明力もの光 (光線 39)を受光する際、その端部 38gの移動の前後におけるタグ 1の受光する光線の有無 (受光量の差）が明瞭になるようされている。

[0189] 以上の構成において、次に本無線 ICタグ 1の動作について説明する。

[0190] ここでは、一例として、第 1の実施例と同様、リーダ 209を内蔵し、書類用紙 2の紙面上の画像を読取って原稿とし、その原稿を別の用紙に印刷して書類の複写などを行うデジタル複合機 100が、タグ 1が設けられた書類用紙 2の紙面上の画像を読取つて印刷の原稿とする際のタグ 1の動作について述べる。なお、本実施例でのデジタル複合機と無線 ICタグ 1とのコマンドシーケンスは、第 1の実施例とほぼ同様なので、図 8を引用して述べる。

[0191] 図 8において、ステップ 2までは第 1の実施例と同様である。

[0192] その後において、書類用紙 2が原稿台に載置されたことを知ったデジタル複合機 1 00は、その複写などの開始の要求がオペレータなどによって指示されると、まず、内蔵したリーダ 209から、無線 ICタグ 1に対し画像読取りの開始を示す情報を含む問い合わせコマンド (読取り開始コマンドと呼ぶ）を通信データとして送信する。

[0193] 一方、無線 ICタグ 1は、データ受信したリーダ 209からの通信データを読取り開始コマンドと判別したときには、 CPU34は、メモリー 35に対して、 [受光情報 1]が含まれた第 1メモリ情報をそのメモリ情報として読み書きするものとする。そして、無線 ICタグ 1は、（表 2)に示されるようにそのコマンドに応答して、メモリ情報である第 1メモリ情報に基づいてタグ情報をリーダ 209へデータ送信する（S3)。ここで、デジタル複合機 1 00の原稿台に置かれた書類用紙 2が複数ある（例えば、複数枚の書類用紙が綴じられた書類)場合、第 1の実施例同様、各書類用紙 2に設けられた無線 ICタグ 1のいずれもがリーダ 209へ応答するが、後述するように、応答が複数あることによる支障はない。

[0194] 一方のリーダ 209は、その読取り開始コマンドの送信に対する応答として、無線 IC タグ 1からのタグ情報を受信すると、その受信によって、タグ 1の制御ユニット 33が、第 1メモリ情報力^モリ情報として読み書きされる状態になったものとみなす。ここで、リーダ 209は、デジタル複合機 100の原稿台に置かれた書類用紙 2が複数ある場合にも対応できるよう、所定時間、複数のタグ 1からの応答を受取るものとしており、また、本実施例では、この時点でも、各タグ情報に含まれた受光情報（[受光情報 1])は無視するものとして、それによる特段の処理'制御は行って、な、。

[0195] その後、デジタル複合機 100は、画像読取りのための照明を点灯し、画像スキャナ及び照明の走査を開始して、その照明を書類へ照射しつつ、原稿となる画像を光学的に読取る画像読取り部での画像の読取りを行う。

[0196] ここで、その画像の読取りの間、リーダ 209は、無線 ICタグ 1に対し、その電源を供給し、照明光の受光を促すために、タグ 1での受光を指示するための情報を含んだ受光コマンドを通信データとした無線電波を一定周期で繰返し発する。

[0197] 一方、無線 ICタグ 1は、その受光コマンドの受信に対して、本実施例では、（表 2)に示されるように応答することはせずタグ情報の送信を行わな、が、受光素子 29での受光の検出、並びにその受光信号に基づく受光の強弱の状態を、受光コマンドが継続して受信できている間、継続して行う。この受光及び信号の発生の動作は、先のステツプ S3における読取り開始コマンドに対する応答としてのタグ情報を送信した後、次に、後述する読取り完了コマンドを受信するまでの受光検出期間、行う（S4)。

[0198] このような受光検出期間において、受光素子 29は、その受光量に応じた信号を出力しており、そして、デジタル複合機での画像読取りのための照明の走査がされ、その照明を、光の透過率がパターンを成した光透過窓（30、 31)を通して受けると、その出力信号を、光透過窓（30、 31)が有する光の透過率のパターンに応じた時間的変化を示すものとする。

[0199] 図 12は、受光素子 29での受光量について、画像スキャナの照明の矢印 40の向きへの走査に伴うその時間的変化を説明するための模式図である。そして、図 12Aは、書類用紙 2のおもて面の画像読取りがされるとき、すなわちタグ 1のおもて面 laが画像スキャナに向けられたときの受光量の時間的変化を示し、図 12Bは、書類用紙 2の裏面の画像読取りがされるとき、すなわちタグ 1の裏面 lbが画像スキャナに向けられたときの受光量の時間的変化を示す。

[0200] 図 12において、無線 ICタグ 1の受光素子 29での受光量は、画像スキャナの照明の走査移動（矢印 40の向き）がされたとき、タグ 1の光透過窓（30、 31)に対する遮光板 38の部位が開口部分以外のときの時間、光線 39が遮光板 38によって遮られ光透過窓（30、 31)に届かないのでほぼ 0 (零)であり、その後、照明の移動によってその部位が開口部分に掛かると、遮光板 38の端部 38gの光透過窓（30、 31)に対する移動の位置に応じて、その移動に連れて受光量が図中のグラフ（受光グラフと呼ぶ）のように増加し、やがて光透過窓（30、 31)の全体が遮光板 38の開口部分に面すると、その間、その時の受光量が維持されたものとなる。さらにその後、光透過窓（30、 31)に対する遮光板 38の部位が開口部分力離れていく時には、先程とは逆の様相を呈する。

[0201] ここで、タグ 1の光透過窓（30、 31)に対する遮光板 38の部位が開口部分に掛かつているときにおいて、受光素子 29での受光量は、光透過窓（30、 31)の内の光の透過率の高い部分 (W及び w)が開口部分に掛カる面積に比例したものとなるので、開口部分の移動に応じて図中のグラフのような変化 (増加又は減少。この変化を受光変化と呼ぶ）を示す。そして、その受光変化の様子は、光透過窓（30、 31)の有する光の透過率のパターンの違いによって異なるものとなり、具体例として、図 12の受光グラフにおける図 12Aと Bとのように異なったものとなる。

[0202] そこで、 CPU34は、受光検出期間において、受光素子 29での受光量の変化の様子を検知して、その変化の様子の違い、すなわち図 9の受光グラフにおける図 12A および Bの受光変化の違いを識別して、照明光が光透過窓 30及び光透過窓 31のいずれを透過してきたものかを判断することができる。そして、 CPU34は、照明光が光透過窓 30を透過してきたものと判断したときには書類用紙 2のおもて面が画像スキヤナヘ向けられていると、一方、照明光が光透過窓 31を透過してきたものと判断したときには書類用紙 2の裏面が画像スキャナへ向けられていると判定できる。このように、制御ユニット 33は、その CPU34などによって無線 ICタグ 1における光照射方向識別手段としての機能を有する。

[0203] このとき、図 12Aおよび Bの各受光グラフの縦軸 (受光量)及び横軸（時間）の各単位量の絶対値は、時々の条件によるので、一の値に特定されるものではないが、上述の識別においては、各受光グラフにおける受光変化が検知できれば、 CPU34での識別'判断が可能である。

[0204] すなわち、例えば、画像スキャナの照明の走査移動の速度がデジタル複合機 100 の画像読取り速度についての製品仕様などにより異なるので、その横軸（時間軸）の絶対値（時間）が特定できない。そこで、光透過窓 30 (W部分及び B部分が、中央部を Wとして、 w—B—W—B—wの順に並ぶ）では、 Wよりも幅が狭い wを窓の端に設けて、照明の走査に伴う光透過窓 30での受光の始まりと終わりの時点が確実に検知でき (B部分が窓の端につながっていると、受光窓に照明の走査が掛かった時点の検出が困難である）、 B部分の検知を確実にして、 B部分の時間と W部分の時間との対比を可能としている。このように、 B部分が窓の端につながることを避けることで光透過窓 30のパターンの検知を確実なものとして、受光変化の CPU34での識別を可能としている。

[0205] 図 13は、無線 ICタグ 1における上述したような光照射方向識別機能の処理フローチャートを示す。

[0206] 図 13において、ステップ 7 (S7)力 S9までの期間は、図 8におけるステップ 4 (S4) に当たる。そして、 CPU34は、受光コマンドを受信し (S7)、その後読取り完了コマンドを受信する (S9)までの間、所定の時間間隔毎に (所定周期で)、受光素子 29での受光量を順次メモリー 35に書込んで一時記憶させる（S8)。

[0207] 次に、 CPU34は、読取り完了コマンドを受信する（S9)と、メモリー 35に記憶されて V、る受光量にっ、てのデータを記憶したその最初力順に読出し、データが書込まれた時刻毎に、その前後間におけるデータの差分を取って、受光量の時間変化率を求める（S10)。そして、その変化率が所定の値を超えた点を図 12における時刻 T1として検知する。

[0208] さらに、 CPU34は、その変化率がほぼ変わらない区間（図 12Aの Tl— T2a間、同

(b)の Tl T2b間）を認知しつつ、次に変化率が大きく変わった（下がった)点を時刻 T2a (図 12A)又は T2b (図 12B)として検知する。引続きさらに、 CPU34は、その変化率がほぼ変わらない区間（図 12Aの TT2a— T3a間、図 12Bの T2b— T3b間）を認知しつつ、次に変化率が大きく変わった (上がった)点を時刻 T3a (図 12A)又は T3b (図 12B)として検知する。このようにして、 CPU34は、 T1から T6aまで、又は T1 から T4bまでの各時刻を検知する（S 11)。ここで、各時刻の検知は、各時刻が絶対的な時刻である必要はなぐ各時刻間の時間が検知できればよぐさらにはその時間の比の検知でもよい。

[0209] 受光量の変化率が大きく変わった各時刻を検知した CPU34は、次に、複数の区間の間で、各区間の受光量 (例えば好ましくは区間での平均値を取ってもよい）の大小を比較して各区間が Bの部分力、 Wの部分かを判別する（S 12)。ここで、各区間の受光量は、複数の区間の間での差が判別できるものであればどのような指標であつてもよい。

[0210] そして、 Bの部分及び Wの部分についての各時間及びそれらの並びによつて、光透過窓（30、 31)の光の透過率のパターンが、 w— B— W— B— wであるか、 W-B Wであるかを判定して、これによつて、光の照射方向がタグおもて面 laであるか、タグ裏面 lbであるかを識別する（S 13)。

[0211] 以上のようにして、 CPU34は、画像スキャナへ向けられた書類用紙 2の裏表につ V、てのその識別 ·判定を行うことができる。

[0212] このような CPU34での識別'判定によって、無線 ICタグ 1は、画像スキャナへ向けられた書類用紙 2の裏表についてのその判定に基づき、 [受光情報 2]を含んで記憶した第 2メモリ情報、又は、 [受光情報 3]を含んで記憶した第 3メモリ情報のいずれかをメモリ情報とする（S5)。そして、この第 2メモリ情報又は第 3メモリ情報をメモリ情報とした状態は、無線 ICタグ 1が、その後に次のタグ検出コマンドを受信して応答するまでの間、保持されるものとしている。

[0213] このように、無線 ICタグ 1は、書類用紙 2がそのおもて面を照明の照射の向きに面して原稿台に置かれているときには、 [受光情報 3]を含んだ第 3メモリ情報をメモリ情報とし、また、書類用紙 2がその裏面を照明の照射の向きに面して原稿台に置かれているときには、 [受光情報 2]を含んだ第 2メモリ情報をメモリ情報とする。

[0214] その後、デジタル複合機 100がその画像の読取りを終えると、リーダ 209は、タグ 1 に対し画像の読取り完了を示す情報を含む問い合わせコマンド (読取り完了コマンドと呼ぶ)を通信データとして送信する。

[0215] 一方、第 2メモリ情報又は第 3メモリ情報がメモリ情報となった当該無線 ICタグ 1は、その読取り完了コマンドを受信して、（表 2)に示されたように、そのコマンドに対する応答として、第 2メモリ情報又は第 3メモリ情報に基づくタグ情報をリーダ 209へ送信する（S6)。

[0216] ここで、デジタル複合機 100の原稿台に置かれたものが、例えば、複数枚の用紙が綴じられた書類の場合、その綴じられた用紙のうち照明の照射の向きに面した最上面の書類用紙 2に設けられた無線 ICタグ 1のみが、照明を受けて、上述の動作を行う。このように、タグ 1は、書類の最上面にない書類用紙 2に設けられたものでは、複合機 100からの照明の照射によっても、受光素子 29の出力信号のレベルが大きくならないように、受光素子 29の感度が設定されている。従って、書類用紙 2が複数ある場合であっても、その照明を受けな力つた無線 ICタグ 1は、第 1メモリ情報がメモリ情報となったままであり、（表 2)に示されたように、読取り完了コマンドに対するリーダ 209 への応答を返さない。

[0217] また、その照明を受けた当該無線 ICタグ 1は、メモリ情報が第 2メモリ情報又は第 3メモリ情報となって受光情報が更新された状態を保持して、るので、送信するタグ情報は、第 2メモリ情報又は第 3メモリ情報に基づくものであり、前述したとおり、書類用紙 2がそのおもて面を照明の照射の向きに面して原稿台に置かれているときには、 [受光情報 3]を含んだ第 3メモリ情報であり、また、書類用紙 2がその裏面を照明の照射の向きに面して原稿台に置かれているときには、 [受光情報 2]を含んだ第 2メモリ情報に基づくものとなる。 [0218] このように、リーダ 209は、デジタル複合機 100の原稿台に置かれたもの力例えば、複数枚の用紙が綴じられた書類の場合においても、その綴じられた用紙のうち照明の照射の向きに面した最上面の書類用紙 2に設けられた無線 ICタグ 1からそのタグ情報を受信して、さらに、そのタグ情報に含まれた受光情報の別によつて、タグ情報に含まれた受光情報力 [受光情報 3]のときには、書類用紙 2はそのおもて面を照明の照射の向きに面して原稿台に置かれており、また、 [受光情報 2]のときには、書類用紙 2はその裏面を照明の照射の向きに面して原稿台に置かれているものと、書類用紙 2の裏表の向きを検知することができる。

[0219] その後、デジタル複合機 100は、画像読取りのための照明を消灯し、画像読取り部での 1つの画像の読取りを完了する。

[0220] ここで、画像読取り部での画像の読取りが複数の書類用紙 2について行われる場合には、以上のステップ S1からステップ S6までの動作がその複数の書類用紙 2の数だけ繰返し行われることになる。

[0221] 以上述べたように、光透過窓における光の透過率が、光が透過する方向に対した少なくとも一の方向において、一様ではなぐかつ、他のいずれとも互いに異なったパターンを成し、そして、無線 ICタグの内部に受光素子を 1つ備えたものあっても、第 1の実施例のものと同様に、それが埋め込まれている物の裏表の検出ができ、そして、書類用紙 2などにおいて複数束ねられた形態で使用されるときでも、その束の表面にある書類用紙 2の面についての情報を伝えることができる。

[0222] なお、遮光板 38は、照明の書類用紙 2に対する照射領域についてその非照射領域との境界をある程度明瞭にするためのものなので、例えば、照明の光量分布自体が明瞭な境界を有するようなものであって、それが、図 12に示されるような受光グラフとしたときの結果においてその時間的変化がある程度明瞭に得られて図 12Aの場合と図 12Bの場合との識別が可能な程度であれば、無くても構わないが、その時間的変化をより明瞭にして識別の精度を上げるのに効果的である。

[0223] また、光透過窓は、その光の透過率が成すパターンを、直交する 2の方向のそれぞれに有するものとしてもよ、。

[0224] 図 14は、光透過窓における光の透過率が、直交する 2の方向のそれぞれに成している無線 ICタグ 1を模式的に示すもので、図 14Aは上面図、図 14Bは線 A2での断面図、図 14Cは下面図である。

[0225] 図 14において、光透過窓 41及び光透過窓 42)は、図 9における光透過窓（30、 31 )と同様に、タグカバー 7の一部を成し、透明な榭脂を素材として無線 ICタグ 1への外光をさらにタグ 1の内部へ透過するためのものであり、光の透過率が、図示された白い部分 (W)では高ぐ濃く網掛けされた部分 (B)の部分では低い。そしてその光の透過率のパターンは、タグ 1のおもて面（la)と裏面（lb)とでは異なるものとしている。

[0226] ここで、光透過窓 41及び 42は、その光の透過率のパターンが、光透過窓 30及び 3 1とは異なって、図示したように、線 A2の方向にカ卩え、その方向における W部分 ·Β部分の並びをそれに直交した線 A3の方向にっ、ても同様として設けられて、る。すなわち、本実施例では、パターンは、図示したように、線 Α2の方向について、また、それに直交した線 A3の方向についても、タグおもて面 laの光透過窓 41では中央部を Wとして、 w— B— W— B— wの順に並んだものであり、タグ裏面 lbの光透過窓 42では中央部を Bとして、 W— B— Wの順に並んだものとしている。ここで、 wは、幅が Wに比べて狭いものである。

[0227] このように、光透過窓におけるその光の透過率のパターンを直交した 2方向に設けることで、無線 ICタグ 1が埋め込まれて設けられた書類用紙 2がその画像読取りのためのスキャナ（照明）の移動（走査)の方向に対してデジタル複合機の原稿台面上のいずれの方向に置かれても、照明の移動（走査）によって、受光素子 29での受光量は、前述した図 11に示したような時間的変化を示す。これによつて、原稿台面における書類用紙 2の載置方向にかかわらず、すなわち、書類用紙 2の縦横がいずれの方向であっても、 CPU34は、その変化の様子を検知し、その変化の様子の違いを識別して、照明光が光透過窓 41及び光透過窓 42のいずれを透過してきたものかを判断することができる。

[0228] なお、上述の実施例では、書類用紙に埋め込まれた無線 ICタグ 1について説明した例を説明したが、無線 ICタグ 1を書類用紙 2に貼付するようにしてもよい。例えば書類用紙 2のおもて面と裏面のそれぞれに無線 ICタグ 1を貼付する。この場合、原稿台に面する無線 ICタグ 1のみ力読取り完了コマンドに対し応答をリーダ 209に送ることになる。これによつても、書類用紙のおもて面と裏面とを区別することが可能である。さらに、上述のように光透過部にパターンを設けることによって、書類用紙の置かれた方向を区別することができる。

[0229] またデジタル複合機 100は、上述のような無線 ICタグ 1が埋め込まれた紙などの媒体に画像を印刷出力する際に、無線 ICタグ 1にタグ情報を書き込むためリーダをさらに備えることができる。

[0230] 図 5の例において、画像形成部 106は、給紙カセット 300に格納された印刷用紙に、カラー画像を形成するため、シアン、マゼンダ、イェロー、ブラックの各色に対応する 4つの画像形成ユニット 301を備えている。これらの画像形成ユニット 301は、中間転写ベルト 302上に各色のトナー像を形成し、 4色のトナー像が重ねあわされる。そのトナー像は、中間転写ベルト 302と転写ローラ 303の対向する転写部で印刷用紙に転写される。レジストローラ 304は、給紙カセット 300から搬送路 305に給送された印刷用紙をトナー像に同期して転写部に搬送する。定着部 306は、印刷用紙に転写されたトナー像を定着する。排出ローラ 307は、排紙トレイ 308に印刷用紙を排紙する。

[0231] またこのデジタル複合機 100は、両面印刷をするために反転ユニット 309を備えている。反転ユニット 309は、定着部 306を通過した用紙をレジストローラ 304の上流に戻す反転搬送路 310を備える。その反転搬送路 310に用紙を搬送することで、その用紙の画像形成面を反転させる。印刷用紙の片面の印刷が完了してからその用紙を排紙せず、反転ユニット 309により画像形成面を反転させ、印刷用紙の他の面に印刷を行うことにより、両面印刷を行うことができる。

[0232] さらにこのデジタル複合機 100は、定着部 306と排出ローラ 307との間に、印刷用紙に埋め込まれた無線 ICタグ 1にタグ情報を書き込むためのリーダ 311と、その無線 ICタグ 1を照明するための光源 312Aとを備える。この場合、情報処理回路 200には、リーダ 311及び光源 312Aも接続される。例えば印刷用紙のおもて面が光源 312A 側に向いている場合に、リーダ 311の通信範囲内に無線 ICタグ 1が入ると、光源 312 Aを点灯しない状態で、タグ情報の書き込みコマンドを無線 ICタグ 1に送る。無線タグ 1は、受光素子 5及び 6の、ずれも外光を受光して!/、な!/、か受光量の差が小さければ、そのコマンドによるタグ情報を第 1の記憶素子 26に書き込む。その書き込みが完了すると、情報処理回路 200は光源 312Aを点灯し、リーダ 311はタグ情報の書き込みコマンドを無線 ICタグ 1に送る。この状態では、無線 ICタグ 1は、受光素子 5が所定の受光をしているので、そのコマンドによるタグ情報を第 3の記憶素子 28に書き込む。その後、その印刷用紙の画像形成面が反転ユニット 309により反転される。反転搬送路 310を通過すると、印刷用紙のうら面が光源 312側に向くことになる。リーダ 3 11の通信範囲内に再び無線 ICタグ 1が入ると、情報処理回路 200は光源 312Aを点灯し無線 ICタグ 1を照明し、リーダ 311はタグ情報の書き込みコマンドを無線 ICタグ 1に送る。その状態では、無線 ICタグ 1は、受光素子 6が所定の受光をしているので、そのコマンドによるタグ情報を第 2の記憶素子 27に書き込む。このようにして無線 ICタグ 1の複数の記憶素子それぞれに、異なるタグ情報を書き込むことができる。

[0233] 印刷用紙に埋め込まれた無線 ICタグ 1がすでにタグ情報を記憶している場合、リーダ 311は、タグ情報を書き込む場合と同様にしてタグ情報を無線 ICタグ 1から読み出すことができる。また無線 ICタグ 1に記憶されたタグ情報を書き換えてもよ!/、。

[0234] このような構成によって、印刷出力の際、印刷用紙などの媒体を搬送している時に光を無線 ICタグ 1の外光として照射し、そのもとで、タグ情報における少なくとも無線 I Cタグ 1が記憶する情報についてやりとりを行うことができる。このため、デジタル複合機 100は、媒体の複数の方向または向きについて、受光状態の区別を無線 ICタグ 1 に可能とさせる光の照射を行うことができ、その照射光を受光した無線 ICタグ 1での受光信号に応じた受光情報を含むタグ情報を、無線 ICタグ 1へ書込み又はタグ 1から読み出してやりとりすることができる。

[0235] このようにリーダ 311が、印刷用紙などの媒体に埋め込まれた無線 ICタグ 1とタグ情報をやりとりするため、光源 312Aの照射量を複数段階用意し、無線 ICタグ 1が受光量によってその段階を区別するようにしてもよい。この区別をすることによって、リーダ 311は、媒体の搬送方向を変えずに、媒体の複数の方向に対応するタグ情報を無線 ICタグ 1とやりとりすることができる。

[0236] 両面印刷を行う場合に、複数の記憶素子それぞれに、異なるタグ情報を書き込む例を説明したが、これに限られるものではない。片面印刷を行う場合に、 3つの記憶素子 26乃至 28にタグ情報をそれぞれ書き込むため、光源 312Aとは逆側の面から印刷用紙を照明する光源 312Bをデジタル複合機 100が備えるようにしてもよい。第 1の記憶素子 26にタグ情報を書き込む場合、情報処理回路 200は、両光源 312A及び 312Bを消灯する。第 3の記憶素子 28にタグ情報を書き込む場合は、光源 312A を点灯し、光源 312Bを消灯する。第 2の記憶素子 27にタグ情報を書き込む場合は、光源 312Aを消灯し、光源 312Bを点灯する。印刷用紙を排出するまでにこれらの手順を行えば、片面印刷の場合でも、複数の記憶素子すべてに、異なるタグ情報を書さ込むことがでさる。

[0237] 片面印刷の場合には、当該面に対応するタグ情報に、印刷済みであることを示す印刷済み情報を含めるようにしてもよい。片面印刷の行われた印刷用紙が、給紙力セット 300に再び収納され、もう一方の面について印刷が行われる場合に、その印刷済み情報を用いれば、当該面が印刷済み力どうかをデジタル複写機 100が判別することができる。その印刷済み情報の読み出しには、例えば給紙カセット 300の直上流にも、リーダ及び光源を設ければよい。その光源及びリーダにより、印刷済み情報を取得すると、デジタル複写機 100は、その印刷用紙の搬送を停止することができる。それによつて、印刷済みの面に、さらに印刷を行うことを避けることができる。

[0238] さらに印刷済み情報は、その印刷用紙の紙面力画像を読み取りその画像を印刷するときにも利用することができる。デジタル複写機 100は、画像の読取り面に対応するタグ情報に、印刷済み情報が含まれていない場合、読み取った画像を他の印刷用紙に印刷するのを中止する。これにより、無駄な印刷を避けることができる。

[0239] また無線 ICタグ 1に書き込むタグ情報には、機密情報またはその機密情報へのァクセスのためのアクセス情報を含めることができる。アクセス情報は、例えば、機密情報がネットワーク上のサイトなどに置かれているときのそのサイトのネットワークアドレス、サイト名、ファイル名、パスワード等である。デジタル複合機 100は、機密情報またはアクセス情報を含むタグ情報を無線 ICタグ 1から取得した場合に、タグ情報を画像として印刷する際、アクセス条件を満足しなければ、そのタグ情報から機密情報またはアクセス情報を除いた情報を画像として印刷する。アクセス条件は、例えばユーザ ID やパスワードが合致することである。アクセス条件を満足しなければ、機密情報は可視画像化されない。一方、アクセス条件を満足していれば、その機密情報またはァクセス情報を含むタグ情報を画像として印刷する。アクセス情報がネットワークアドレスやサイト名を表している場合、デジタル複合機 100は、そのアクセス情報を使ってそのサイトにネットワークを通じて接続し、機密情報を取得する。そして、無線 ICタグ 1 自体やサイトから取得した機密情報を原稿画像に重ねて可視画像化させて印刷したり、機密情報のみを印刷したりすることができる。さらに、パスワードが有する機密情報に対する権限レベルなどに応じてその権限に係る機能を種々異なるものとすることもできる。さらにデジタル複合機 100の有する複数の機能ごとに機密情報の扱いを異ならせるようにしてもょヽ。例えばファクシミリ送信や画像の転送を行う場合と印刷出力を行う場合とで、アクセス条件や権限レベルを異ならせることができる。

[0240] そして、このような印刷物についてもその裏表の面毎に異なるセキュリティを掛けるなどして (例えばネットワークアドレス、パスワード、その他が異なる）、機密情報を印刷物の裏表の別によつてそこに印刷された画像と関連付けて、特定の者のみに開示することなどができる。

[0241] また、複数枚の書類用紙が綴じられた書類が、雑誌やカタログ、書籍などの見開き原稿である場合、一枚の書類用紙のおもて面と他の一枚の書類用紙の裏面とが同時にデジタル複合機 100の原稿台に面することになる。この場合、リーダ 209は、その原稿の画像の読取りを完了するまでに、 2つの無線 ICタグ 1と通信を行う。リーダ 2 09の検出範囲に同時に 2つの無線 ICタグ 1が入る場合、タイムスロットを異ならせるなどの衝突防止機能をリーダ 209に設けて、各無線 ICタグ 1と順次通信を行うことができる。この場合も、無線 ICタグ 1から受信するタグ情報によって、リーダ 209は、見開きを構成する 2枚の書類用紙 2の裏表などを区別することが可能である。また、原稿台に面しない書類用紙 2に埋め込まれた無線 ICタグ 1は読取り完了コマンドに対し応答しないので、見開き原稿の複写を行う者は、その見開き原稿から 1枚の書類用紙を分離することなぐそのまま原稿台に載置することができる。

[0242] また上述の実施例では、無線 ICタグ 1が、リーダ 209からの所定の電波などを受けたとき、タグ情報をデジタル複合機 100におくることで、書類用紙 2が置かれた方向' 向きをデジタル複合機 100に伝えていた。これに代えて、光に対する反射率が 1次元又は 2次元の方向にぉ、て一様ではな、パターンを成すように変えることができる面を所定の方向'向きに有した外光反射手段を用いて、書類用紙 2などが置かれた方向 ·向きをデジタル複合機 100等に伝えるようにしてもよい。

[0243] 図 15はさらに他のタグの例を模式的に示すもので、図 15Aは上面図、図 15Bは下面図である。この無線 ICタグ 1は、タグカバー 7表面に液晶表示部 401を備えている。無線 ICタグ 1は、デジタル複合機 100に内蔵されたリーダ 209からの指示にしたがつて、光に対する反射率が一様でな、特定のパターンをその液晶表示部 401に表示する。図 15Aおよび Bに示すように、無線 ICタグ 1は、リーダ 209からの指示にしたがって、複数の異なるパターン 402および 403を液晶表示部 401に表示する。ここでは、一次元方向において一様でないパターンを採用している力二次元方向において一様でないパターンを採用することも可能である。そのパターンには、一次元又は二次元のバーコード模様を用いることができる。

[0244] デジタル複合機 100の情報処理回路 200は、パターンの表示を指示する通信をリーダ 209が行った後、書類用紙 2の紙面を読み取ることにより得た画像内から、予め ROM203に記憶された複数の基準パターンのいずれかに整合するパターンを抽出する。液晶表示部 401に表示されるパターンは光に対する反射率が一様でな、から、画像読取りの際に照明されると、読み取られた画像にそのパターンが含まれる。情報処理回路 200は、画像内からそのパターンを抽出する。

[0245] ROM203は、各基準パターンに対して、例えば書類用紙 2の方向や向きを表す情報を関連付けて記憶している。情報処理回路 200は、いずれかの基準パターンに整合するパターンを抽出した場合、その基準パターンに関連付けられた情報を ROM2 03から読み出す。リーダ 209は、その読み出された情報に基づいて無線 ICタグ 1とそのタグ情報のやりとりを行う。読み出した情報が、書類用紙 2の裏面またはおもて面を表している場合、リーダ 209は、書類用紙 2の裏面またはおもて面に対応するタグ情報を取得することができる。

[0246] この例のように、無線 ICタグ 1は液晶表示部 401を所定の方向又は向きに対して複数有することができる。また一つの液晶表示部 401が所定の方向又は向きに対して複数のパターン表示領域を有するようにしてもょ、。 [0247] このように、無線 ICタグ 1が、光に対する反射率が一次元又は二次元の方向において一様でな、パターンを成すように変えることができる面を所定の向き '方向に有した液晶表示部を備えることで、デジタル複合機 100の情報処理回路 200は、自らの指示に応答する無線 ICタグを選択することができ、さらには、そのようなタグ力もの情報を、電磁誘導又は電波でのデータ通信によって得ることができるほか、面にて反射された光がその面上の各所における反射率の差異によって成すパターンでもっても得ることがでさる。

産業上の利用可能性

[0248] 本発明の無線 ICタグは、書類の紙面上の画像を読取って原稿とし、その原稿を別の用紙に印刷して書類の複写などを行うデジタル複合機などの情報処理装置において用いられる書類用紙又は印刷用紙に利用すること、また、その無線 ICタグとの間で情報のやりとりを行うリーダは、デジタル複合機などの情報処理装置において利用することがそれぞれ可能である。

Claims

請求の範囲

[1] 有体物に付けられて又はその一部に含められて設けられ、情報の記憶ができ、かつ、電力が無線で供給され、そして、電磁誘導又は電波で、前記有体物の外部に存するリーダとの間でデータ通信を行って、当該タグが記憶する情報、その他のタグ情報を前記リーダとやりとりすることができる無線 ICタグであって、

当該タグが設けられた前記有体物に対する複数の所定の方向 ·向きのそれぞれにおける外光を互いに区別して受光することができる外光受光手段を含み備え、前記リーダ力もの所定の電波などを受けたとき、前記リーダとの情報のやりとりに関し、前記外光受光手段が前記外光を受光して得られたその受光信号に基づき、その受光信号によっては前記リーダへの応答を行わず、又は、やりとりする前記タグ情報を少なくともその一部にその受光信号に応じた受光情報を含むものとすることを特徴とする無線 ICタグ。

[2] 前記外光受光手段は、当該素子それぞれが前記所定の方向'向きに向いた複数の受光素子であることを特徴とする請求項 1記載の無線 ICタグ。

[3] 前記外光受光手段は、当該部それぞれが前記所定の方向 ·向きから照射された光を当該タグの内部へ透過させる複数の光透過部と、当該素子それぞれが前記光透過部の一に対応してその対応した前記光透過部を透過した光を受光する複数の受光素子とからなることを特徴とする請求項 1記載の無線 ICタグ。

[4] 有体物に付けられて又はその一部に含められて設けられ、情報の記憶ができ、かつ、電力が無線で供給され、そして、電磁誘導又は電波で、前記有体物の外部に存するリーダとの間でデータ通信を行って、当該タグが記憶する情報、その他のタグ情報を前記リーダとやりとりすることができる無線 ICタグであって、

当該部それぞれが、当該タグが設けられた前記有体物に対する所定の方向 ·向き力も照射された光を、当該タグの内部へ透過させる複数の光透過部と、

前記光透過部を透過した光を受光する 1以上の受光素子と、

を含み備え、

複数の前記光透過部は、それぞれ、光の透過率が、光が透過する方向に対した少なくとも一の方向において、一様ではなぐかつ、他のいずれとも互いに異なったパターンを成し、

当該タグは、複数の前記光透過部のいずれかを透過した光を前記受光素子にて受光し、そして、前記リーダ力もの所定の電波などを受けたとき、前記リーダとの情報のやりとりに関し、光の透過率の成す前記パターンに対応した受光信号に基づき、その受光信号によっては前記リーダへの応答を行わず、又は、やりとりする前記タグ情報を少なくともその一部にその受光信号に応じた受光情報を含むものとすることを特徴とする無線 ICタグ。

[5] 前記光透過部は、光の透過率が、その光が透過する方向に対した 2つの互いに直交する方向それぞれに前記パターンを成していることを特徴とする請求項 4記載の無線 ICタグ。

[6] 光の透過率が成した前記パターンは、そのパターンの成す方向におけるその一端側と他端側との間で、それらの中央を横切る軸に対して線対称であることを特徴とする請求項 4記載の無線 ICタグ。

[7] 光の透過率が成した前記パターンは、そのパターンの成す方向における端部での光の透過率が、複数の前記光透過部の全てについて同じであることを特徴とする請求項 4記載の無線 ICタグ。

[8] 有体物に付けられて又はその一部に含められて設けられ、情報の記憶ができ、かつ、電力が無線で供給され、そして、電磁誘導又は電波で、前記有体物の外部に存するリーダとの間でデータ通信を行って、当該タグが記憶する情報、その他のタグ情報を前記リーダとやりとりすることができる無線 ICタグであって、

光に対する反射率が 1次元又は 2次元の方向にぉ、て一様ではな、パターンを成すように変えることができる面を所定の方向 ·向きに有した外光反射手段を含み備え前記リーダ力の所定の通信を受けて、その通信された情報に基づく所定のパターンを前記外光反射手段における前記面に現すことを特徴とする無線 ICタグ。

[9] 前記外光反射手段を複数備えてそれぞれの前記パターンが成される前記面が所定の方向 ·向きに面したものである、又は、一の前記外光反射手段が前記面を複数有してその各面が所定の方向 ·向きに面したものであることを特徴とする請求項 8記載の無線 ICタグ。

[10] 前記パターンが成される前記面は、光に対する反射率が 1次元又は 2次元の方向にお、て一様ではな、前記パターンを液晶にて成すものであることを特徴とする請求項 8記載の無線 ICタグ。

[11] 前記外光反射手段が成す前記パターンは、 1次元又は 2次元のバーコード模様であることを特徴とする請求項 8記載の無線 ICタグ。

[12] 複数の前記所定の方向 ·向きは、前記有体物のおもて面が面した向きと、その裏面が面した向きとであることを特徴とする請求項 1、 4又は 9記載の無線 ICタグ。

[13] 前記受光情報は、前記受光信号のその内容自体を示す受光信号情報、又はその受光信号情報を含んだものであることを特徴とする請求項 1又は 4記載の無線 ICタグ

[14] 光を受けて電圧又は電流を発生する受光素子と、電荷を蓄える蓄電手段とを含み備え、

前記受光素子によって得られる電力を前記蓄電手段に蓄えて当該タグの電気回路のための電力の少なくとも一部とすることを特徴とする請求項 1又は 4記載の無線 IC タグ。

[15] 請求項 1から 14のいずれ力 1項に記載の無線 ICタグが設けられたことを特徴とする紙、フィルムその他の書類用媒体。

[16] 有体物に付けられて又はその一部に含められて設けられ、情報の記憶ができ、かつ、電力が無線で供給され、さらに、前記有体物に対する複数の所定の方向'向き力も照射される光を区別して受光する機能を有した無線 ICタグとの間で、電磁誘導又は電波でデータ通信が行え、前記無線 ICタグが記憶する情報、前記光の受光に係る受光情報その他のタグ情報をやりとりする無線 ICタグ'リーダであって、

前記タグ情報から、前記無線 ICタグが前記有体物に対する複数の所定の方向 ·向き力も照射される光を区別して受光して得たその受光情報を抽出することができ、そして、その情報をもとに、前記有体物への光の照射の方向'向きを識別する光照射方向識別手段を含み備え、

前記無線 ICタグとの間にて電波などでデータ通信を行って情報のやりとりをし、受信したタグ情報のおける受光情報をもとに、前記光照射方向識別手段によって前記有体物への光の照射の方向 ·向きを識別して、前記無線 ICタグが設けられた有体物の姿勢の方向 ·向きを特定することができることを特徴とする無線 ICタグ'リーダ。

[17] 照射域が有体物の一の面において一定の方向に相対的に移動され又は走査される光を照射する光照射手段を含み備えたことを特徴とする請求項 16記載の無線 IC タグ'リーダ。

[18] 紙などを媒体とした書類などについてその媒体面上の画像を読取るなどの処理を行う情報処理装置であって、

画像読取りの照明として照射域が前記媒体の一の面において一定の方向に相対的に移動され又は走査される光を照射する照明手段と、

前記照明手段による光を前記媒体への照明光としてその媒体面上の画像を光学的に読取る画像読取り部と、

前記媒体に付けられて又はその一部に含められて設けられ、情報の記憶ができ、かつ、電力が無線で供給され、さらに、前記媒体に対する複数の所定の方向，向きから照射される光を区別して受光する機能を有した無線 ICタグとの間で、電磁誘導又は電波でデータ通信が行え、前記無線 ICタグが記憶する情報、前記光の受光に係る受光情報その他のタグ情報をやりとりする無線 ICタグ'リーダと、

前記タグ情報から、前記無線 ICタグが前記媒体に対する複数の所定の方向 ·向き力も照射される光を区別して受光して得たその受光情報を抽出することができ、そして、その情報をもとに、前記媒体への光の照射の方向'向きを識別する光照射方向識別手段と、

を含み備え、

前記無線 ICタグとの間にて電波などでデータ通信を行って情報のやりとりをし、受信したタグ情報のおける受光情報をもとに、前記光照射方向識別手段によって前記媒体への前記照明光の照射の方向 ·向きを識別して、前記無線 ICタグが設けられた媒体の姿勢の方向 ·向きを特定することができることを特徴とする情報処理装置。

[19] 光に対する反射率が 1次元又は 2次元の方向にぉ、て一様ではな、パターンを成すように変えることができる面を所定の方向 ·向きに有した無線 ICタグが設けられた紙などを媒体とした書類などについてその媒体面上の画像を読取るなどの処理を行う情報処理装置であって、

前記画像内から特定のノターンを抽出してそのパターンが表わした情報を認識するパターン認識手段と、

前記媒体に付けられて又はその一部に含められて設けられ、情報の記憶ができ、かつ、電力が無線で供給される無線 ICタグとの間で、電磁誘導又は電波でデータ通信が行え、前記無線 ICタグが記憶する情報その他のタグ情報をやりとりする無線 IC タグ'リーダと、

を含み備え、

前記無線 ICタグ'リーダが、前記無線 ICタグに対し、光に対する反射率が 1次元又は 2次元の方向にぉ、て一様ではな、所定のパターンを成すよう指示する通信を行つた後、前記パターン認識手段がその所定のパターンを抽出してそのパターンが表わした情報を認識できたとき、その認識された情報に基づきその無線 ICタグとそのタグ情報のやりとりを行うことを特徴とする情報処理装置。

画像を紙などの媒体に印刷出力するなどの処理を行う情報処理装置であって、前記媒体を搬送して当該装置の外部へ送り出す媒体搬送手段と、

前記媒体への印刷がされる面へ光を照射する光照射手段と、

を含み備え、

印刷出力の際、前記媒体搬送手段が前記媒体を搬送している時に前記光照射手段が光を照射し、そのもとで、前記タグ情報における少なくとも前記無線 ICタグが記憶する情報についてのやりとりを行うことを特徴とする情報処理装置。

機密情報を含んだ又は機密情報に関連した情報の印刷出力の処理において、機密情報についてはそれ自体又はその機密情報へのアクセスのための情報を前記無線 ICタグに記憶させ、そして、紙などの前記媒体上には機密に係るものを除いた情報を画像として印刷することを特徴とする請求項 20記載の情報処理装置。